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最終話 Brave

 遥か昔、クロウという国は出来上がって間もなく、二度も邪悪な脅威に晒された。


 しかし勇敢な戦士達によって国は守られた。戦士達はその後も各々の役職を果たしながらも、国に危機が迫れば武器を取って立ち向かったという。

 忍術を駆使する少年、仲間を武器に変身させる少女、自ら最前線に立つ指揮官、子供達に危機が迫れば誰にも負けない力を発揮する教師。

 個性豊かな戦士ばかりなのは今でも語り草だ。



 ところで、大して重要な話でもないので歴史の教科書に載ることはないが、戦士達は揃って似たような事を口にしていた。


 苦難の連続だが建国当初ほどの出来事は一度もない。建国当初にはクロウを守る戦士が他にも三人いた。その内の二人は数多の世界を渡る存在、それに対して残る一人は変哲のない冒険者だった。




 島の中心には終戦の地と名付けられた観光名所がある。そこに存在するクレーターは侵入防止の柵で囲まれており、その中心には怪物を押さえる勇者の銅像が置かれている。なんでもこの銅像を造ったのは、建国当初に起こった戦いの結末の目撃者らしい。


 怪物を倒した後、勇者はクレーターから這い上がり、黙ってその場を去っていたそうだ。


 その勇者、名をシエル・ラングリッターという。書類上での冒険者ランクはBであり、なんとも評価しづらい。さらに国に住んでいた期間も短く、今ではこの戦いそのものがフィクションなのではと語られている。

 しかし実際に戦いはあった。そして国を守ったのが彼女なのだ。




 シエルは万年Bランクの冒険者として消息を絶った。かつて望んでいたAランクに上がることはなかった。


 それでも、何万年経とうと、勇者(Brave)としての勇姿が風化することはないだろう。共に戦った仲間の伝説と共に。

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