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第114話 次の世界へ

 メアリスはその世界での役目を終えた場合、全快するまで休養を取ってから次の世界へ渡る。しかしレイアストとアクトナイトはツツジとの戦いから1年経って、ようやくアノレカディアから旅立とうとしていた。


「今日でタイムリミットか…」

「結局、戻って来ることはなかったね」


 これには訳がある。ツツジとの戦いが終わった後、シエルが姿を消したのだ。砂浜で回収された等剣に魔法を掛けて行方を探ったが発見は叶わず、万が一に備えて様子を見ていたのだが結局なにも音沙汰なし。メアリスの使命を疎かにすることもできず、二人は1年間という制限付きでシエルの帰還を待ち続けた。


「戦いの余波でどこか別の世界に飛んじまったのかな…」

「それはないと思うよ。クレーターの中に落ちて来て、上がって来るのを目撃した人がいたんだし」

「それもそうか…どうしていなくなったんだろうな」

「さあ…また会えるかな」




 二人は共に戦った仲間達に挨拶を済ますと、最後にケイトの眠る墓石の前までやって来た。


 ケイトが亡くなったのはツツジとの戦いから数日後。その日は島の植物が急成長し、不足していた木材や食糧を多く調達する事が出来た。その傍らで、枯れた姿のケイトが発見された。

 その日に起こった不思議な現象は彼によるものだ。ツツジを倒した彼は役目を終えたと思い、残った力をクロウ復興に当てて命を落としたのだ。パンドラの矢で寿命も少なくなっていたが、それでも命を懸けられたのは彼の凄いところだろう。


「アノレカディアは無限に広がってる。一度意志を持って離れたらもう二度と会う事はないっていうぐらいだし」

「私は…また会えるって信じてるよ。その時までにいくつ世界を守ってるのかは想像も付かないけど」


 二人のそばに裂け目が開く。別の世界へと続くメアリス専用の通り道である。


「それじゃあ縁があったら、また一緒に戦おうぜ」

「うん。また会おうね」


 アクトナイトが先に入り、少し間を空けてからレイアストが入ると、既に彼の姿はなかった。振り返った時には裂け目は閉じ、クロウの景色はなくなっていた。




 レイアストは周りを走る光を辿って通り道を進む。足元には何も見えないが、次の世界へと続く道が確かに続いていた。

 毎回、この道を進んでいると感じるものがある。それは今までいた世界から旅立つ事の寂しさ、そして新しい世界への期待だった。


「次はどんな世界なんだろう…」


 レイアストの向かう先に、次の世界からの光が差し込む。こうしてメアリスは使命に従い、守るべき世界へ足を踏み入れるのだった。

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