第112話 別の世界との繋がり
ツツジとは一体何者だったのか。目的や境遇こそ判明していたが、人柄までを掴む事は出来なかった。恐らく会話が通じる相手でもなく、戦う以外に道はなかっただろうが、それにしても謎を残した敵だった。
戦いから1年が経った頃、クロウには巨大な施設が出来上がっていた。ターミナルと呼ばれるそこには別の世界へ行く装置が存在しており、それを使ってブレイズこと進太郎がかつて暮らしていた世界の東京都で建設途中のターミナルへ行く事が出来るのだ。
クロウと日本は友好国となったのだ。東京都のターミナルが完成するまでにはクロウも更に発展し、旅行客が楽しめるような国になるだろう。
そうして色々進めてしまったブレイズは、責任を取るという形で外交官のような役職に就かされていた。
「はぁ…」
「シャキッとしなきゃダメだよ。今日は向こうの世界から新人さんが来るんだから」
「いや…それが悩みの種なんだが」
フラリアは彼を支える秘書となった。ブレイズよりも事務作業の素質があったので、そのうち立場が逆転することだろう。
今日はフラリアが言った通り、日本から助っ人となる人員がやって来る予定だ。しばらくするとブレイズ達のいる部屋に一人の少女が入って来た。
助っ人を送ると言いつつ、東京都が送って来たのはブレイズと同い年の少女だったのだ。一応、飛び級したエリートで熱意もあり、仕事は出来るらしいのだが…
「今日からここで働かせていただく事になりました、船並透です!よろしくお願いします!…久しぶりだね、進太郎君!」
真面目に挨拶をしたかと思えば急に弾けた態度になる透。
ブレイズが横目で見たフラリアは、なんとか笑顔を保ちつつも内に沸き上がる怒りを隠せていなかった。
「船並さん。ブレイズとはどういった関係で…?」
「幼馴染です!」
「へぇ~幼馴染なんですか…ははは…そういえばいたなそんなやつ」
透はブレイズに向かって左手を差し出した。
てっきり挨拶の握手をするのかと、それに応じようと椅子から立って左手を差し出すと手首を掴まれた。謎の挙動を取る透は右手に指輪を持っていたが、その右手をフラリアが掴んで止めているという妙な状況になっていた。
「これは一体どういうことでしょうか?外交問題になりますよ?」
「別に問題にしても構いませんよ。そうなったら向こうで暮らす彼の家族がどんな風に叩かれるのか、気になりますね」
「熱意のある方が来るとは聞いていましたが、誤った方向に熱意があるみたいですね…どうぞ、お引き取りください」
「4年間一緒にいたからってあまり調子に乗らない方がいいよ」
「私よりずっと長く一緒だったのに何も出来なかったんだ。臆病なんだね」
「こら二人とも!今は仕事中──」
「「君は黙ってて!」」
「…はい」
そうして二人が取っ組み合うのを他所に、ブレイズは机に重なっていた書類に手を付け始めた。
邪悪な存在との戦いは終えたが、これからも彼らの戦いは続く。
特に二人との関係性を思うと、頭が痛くなるブレイズなのであった。




