第110話 最強形態、破れたり
シエルが突き出した等剣とツツジの拳が激突する。そこから発生する衝撃によって、地上の木々が大きく揺れた。
「へへ…」
「反射しない…」
ツツジの反射スキルはミラクルミューズソードによって無効化されていた。さらに分離したセイバースプリームソードの刃が死角から敵に迫る。反射を封じた上での挟撃に、ツツジは防御を強制させられた。
「ハァ!」
セスタの突撃に合わせてシエルが剣を振り下ろす。しかしツツジは両者の動きを一瞬にして見極めると、同士打ちするように攻撃を受け流した。
シエルから伸びるアームと刃が連結すると、等剣と共に左右から挟撃を繰り出した。それを防御するために敵が両腕を使った瞬間、残る3つの刃が同時に斬り掛かった。
「「「ドオォ!」」」
頭部と両脇に巨大な刃が直撃したことによりツツジの姿勢が大きく崩れた。シエルはその隙を逃さず、等剣での連続突きを繰り出した。
「そらそらそらぁ!」
戦いが始まった頃に比べてシエル達の勢いは増していた。4つの刃が離れていくのと同時に、最大威力の突きでツツジを吹き飛ばす。そこへさらに分離した刃が襲い掛かり、ツツジを切り刻んだ。
シエルは左手に等剣を握り、右手からショートレンジのケンソォドソーダーを発生させると真っ直ぐに飛行した。そして4つの刃がツツジを弾いて軌道を変えた先でのすれ違いざまに、シエルは2本の剣で力強くツツジを切り裂いた。
「みんな戻って!あいつにトドメを刺す!」
切り裂いたはずだったが、ツツジには深い傷が付いただけだった。それを確認したシエルは仲間を呼び戻すと、シュラ・リュウを葬った必殺技を構えた。
「「「「「イクスシルエットチャージ!」」」」」
そして力が溜まると躊躇せず、虹色の刃が伸びる腕をツツジに振り下ろした。
「「「「「シエルナイトスラァァァッシュ」」」」」
両断されるツツジは断末魔を叫ぶことはなかった。
しかしシエルはすぐに気付いた。真っ二つになった肉体が、シュラの時とは違い消滅を起こさなかった。
「倒せて…ないの?」
「いや、手応えはあった…」
シエル達は再びエネルギーを溜める。一度で駄目なら二度、三度でも斬るつもりだった。
しかしその時、二つに分かれた肉体の中から黒い縄のような伸びて結び合った。そして切り裂かれた肉体が引き寄せ合い、元通りとなった。
「も、戻った!?」
「シュラが注意しろって言ったのも無理はない…とんでもない技だ。だけど…」
今の姿、そして放ったシエルナイトスラッシュの核がシエルであると見抜くと、ツツジは急接近。アームと繋がった4本の刃を強引に引き離して放り投げると、本体を掴まえて急上昇した。
「シエルを追うんだ!」
「ハァ!」
ツツジは衝撃波を下方へ向けて放ち、4本の刃を地面に叩きつけた。ダメージを受けたブレイズ達は元の姿に戻ってしまい、空を飛ぶ事が出来なくなってしまった。
「どうせお前らじゃついて来れないけどな!」
落下地点に駆け付けたフラリアが、ヂカラセフィラで再び剣に変身させようと試みる。しかし本人達が消耗していたのもあってか、剣にさせる事ができなかった。
「シエルさん…」
クロウに残された仲間達は、ただ空を見上げて無事を祈るしかなかった。




