表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
106/106

第96話 出現!トリプル・シュラ

 シエルはもう父親とは思いたくないケイトに一発入れることが出来た。しかしレイアストとの再会は叶わずに終わった。


「ブレイズ、帰るわよ」

「あぁ、そうだな」

「待ってくれ二人とも!ここに来てもらったのには他にも理由があるんだ!実は──」

「その通りだ。せっかく邪魔な二人が揃ったというのに帰られては困る」


 会話に割り込んだのはかつてアトナリルでブレイズが交戦したシュラ・コウベであった。コウベは3つの頭を分離させ、彼らを頭上から睨み付けていた。


「封印が解けたのか…!」

「コウベだけではないぞ」


 今度はアイクラウンドでシエルと共に交戦したシュラ・シュムが、マンホールの蓋を開けて下水道から現れた。しかし封印しただけのコウベとは違い、謎の剣士によって消滅させられたはずのシュムが現存しているのは妙だった。


「アクト!こいつらは──」

「説明不要。既にシュラ・キャクが挨拶を済ませているはずだ」


 この都市に来たばかりのアクトはシュラ・キャクと遭遇していた。そのシュラ・キャクはケイトに捕まった後、自ら気化したはずだった。


「我らはシュラは一人でも生きていればこうして復元できるのだ。こちらを見ろ」


 声がした方を振り向くと、そこにシュラ・キャクが出現したのだった。


「似たようなやつらがこんなにも!」

「出し惜しみをするな!こいつらは手強いぞ!」

「手強い?お前達では我らには勝てない。戦うな。こいつらには勝てない。そう言うべきだな。もっとも、おめおめと見逃すつもりはないが」


 手強いからと言って逃げ出すつもりはなかった。シエルとブレイズは目配りをすると、一番弱そうなキャクに仕掛けた。


「せやぁぁぁ!」

「はぁぁぁ!」

「ほら見ろ。我が狙われた」


 キャクは右足一本だけで立ちながら、左足で二人の攻撃を防いだ。


「なんなのこいつ!?」

「頭上だ!」


 攻撃を予感したブレイズはシエルを抱えると、滞空していたコウベからの連続光線を回避しつつアクト達と合流した。


「俺がこいつらを消し飛ばす!お前らは伏せてろ!」

「貰い物の能力に過信するのはパターン過ぎて感心しないな、慶斗。お前達が我らに誘導されたとも気付かない程なら無理もない話だが」

「ほざけ!」


 ケイトは周囲の3体を一撃で仕留められる事象を起こそうとした。だがその直前、固まった4人の身体が突如光り始めた。


「クココトトルレー」

「グザトマーレー」

「タットハビ」


 1つにまとまったコウベの頭が何か呪文を唱えながらケイト達の元に降りて来た。何か起こると分かっていながらも、全身を押しつぶされるような圧力によって4は共動けなかった。


「これは…転移魔法か!それも次元を超えるほどの!」


「山桐進太郎、榎本慶斗、元いた世界に帰れることを喜ぶといい」

「元いた世界だと?!」

「おいおいマジかよ…」


「メアリス。お前は我らに仇なす存在のようだったが、想定していたよりも未熟で安心した。それにお前のおかげでターゲットが集まったのだから」

「ちくしょう…すまない!俺のせいだ!」


 シエルを見下ろすかのようなシュムは何も言ってくれなかった。だからシエルは、こちらから喧嘩を吹っ掛けた。


「お前達とツツジを倒すために!私達は絶対にアノレカディアに戻る!」

「それは無理な話だ。後ほど我らが排除しに出向くからな。それにこの正規の転移魔法ですら次元を突破するのは困難──」

「それはどうもありがとうね!?わざわざ別の世界にまで遠ざけるって言うのにやられに来てくれるんだ!」

「…なんだと。錯乱しているにしても口が過ぎるぞ」

「初めてだな。我らシュラに怒りを覚えさせる人間は。それが計画とは何の縁もない原住民だとは」

「怒った事ないの?それじゃあいい経験になったわね。それも最初で最後だろうけど!」


「ケパンー」

「クスチパムンー」

「本当に我らに勝てるつもりでいるのか?よぉく考えてみろ。力の差は歴然。何を根拠に勝つつもりでいる?」

「あんた達こそ、負けた時の言い訳が惨めにならないようによぉぉぉぉく!考えときなさいよ!楽しみにしてるから!」


 コウベの頭の1つが詠唱をやめてまでシエルに尋ねた。


 シエルが質問に対して命令を返した瞬間、4人の身体はその場から消滅した。


「口だけは達者なのは、流石女と言いたいところだな。性別の括りから抜けられない未熟さを感じた」

「しかし我らを侮辱したことは許せない。早く追うぞ」

「落ち着けキャク。まずは次の発動が出来るようになるまで力を回復させるぞ」



 シュラ達はケイト達に狙いを定めていたものの、この都市はどうでもいいようだ。アズレアから離れた高原に身体を降ろすと、次の転移魔法発動のために回復を急いだ。


「それにしても…件の剣士とやらは出てこなかったな」

「調べたところによると、我が遭遇した時に準備していた魔法陣はこの世界に悪影響を及ぼす物だったらしい」

「しかし今回は合法とされてる魔法を使った。すると邪魔をしに来なかった。そうなるとつまり、アノレカディアではその排除(デリート)と名乗った剣士の癪に障らないように心掛ける必要があるな」




 シエル達はシュラ達の策略により、ブレイズとケイトがかつていた世界へ送られる。敵の眼中にもなかったシエルは、そこで一体何を経験するのだろうか。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ