1.4赤のアジサイ2
サージャはエルフのババアが来るとすぐに手を引っ込め目に見えてオロオロし始めた。体がガチガチになってロボットみたいだ。マジで何で怒られるのか分かっていなくて軽いパニックになっているのだろう。うるうると涙を溜めた大きな瞳で見つめてくる。狐のようにつりあがっているものの、大きくてキツさよりも幼さが勝る子どもの目だ。眉を中央に寄せて、少し赤みのかかった黒い瞳が大きく広がっている。今にも涙があふれてしまいそうだ。
なんでこいつは被害者の素振りができるのだろうか。そんな目で見られていると、なんだかこちらが悪いのではないかとさえ思えてくる。厄介だ。
「サージャ、お前はまた邪術を使ったのか」
バイオレンス幼女と俺が見つめあっているとババアが滔々と説教を始めた。この横暴娘は見た目だけはいいのでもう少し見つめ合っていたかったのだが。そうすれば毎日している神様への祈りももう少し長めにするってのに。
それにババアの説教の内容もたいてい決まっている。邪術を使っているとじきに蛮族に見つかって襲われるって話だ。ついでに神様へ祈るもの同様に禁止らしい。どっちか蛮族か。俺は圧力に屈しない。バラ色のハーレムもきっと前世からずっとしてきた神様への祈りがとで置いた結果だろう。
「そうやっていうことを聞かずに邪術ばっか使っていると蛮族がお前をさらいに来るぞ!」
それ見たことか。説教にも多少のパターンを実装してほしいものだ。
左を見るとサイコパスキッズがうなだれている。意外とババアに叱られるのはつらいようだ。サイコパスなのに。俺の注意には全く聞く耳を持たないのに。解せない。
まあ年相応か。むしろ5歳児で説教に反論したり話題をずらそうとしたりしてる俺がいるから、ババアも子供の扱いに慣れずきつく叱ってしまうのかもしれない。仕方がない、ここは大人として助け舟を出してやるか。ババアもこのガキと遜色ないバイオレンス婆だ。言い返すのも簡単ではない。我らの神よご加護を。
「ババアそのへん。。。」
「クソボウズ、お前今邪神に祈ったね?」
言い切る前に詰められた。
もう打てる手はない。俺は諦めて地に膝と手とついでに額を擦り付けた。
目線を上げるとクソババアもアウトローロリもなんとも物悲しそうな顔をしていた。