2.11赤のアスター11
「なあ、どうすりゃイーアって使えるようになるの?そろそろ具体的なアドバイス的な何かが欲しいんだけど」
俺はやわらかな聖域に体を預けたまま、すぐ横で素振りをしている男たちに話しかけた。というかこいつらもう素振りとかいらないだろ。これ以上筋肉つけてどうすんの?筋肉の化け物にでもジョブチェンジすんの?というかやっぱこいつらもエルフなんだろうし、女は皆痩せてるから多分、体質的には筋肉が付きやすいとかそういうわけじゃないよな。どんだけ鍛えてきたんだ。絶対やばい。俺だったら絶対逃げ出してる。イカれてる。
「具体的にって言われても。。。俺達もイーア使えないし。。。」
「は?。。。フィリスたちも練習中ってこと?」
「いや、俺たちは根本的に使えない。使えるやつもいたらしいけど俺らは使えない。」
「は?」
は?どういうこと?魔法の訓練だと思ってたのは俺だけってこと?どういうこと?
「いやいや、これってそのイーアの訓練でしょ?どういうこと?え?」
意味が分からない。つまりあのババアがこじらせたショタコンでした~とかそういうこと?いやマジで頭おかしいんじゃない?
俺は思わず体を持ち上げた。
「イ、イーアというか、お前のための訓練。練習。。。」
「。。。じゃあこれって体を鍛える以外に何も意味はないってこと?」
こいつらは何も悪くない。指示に従っているだけだ。でも自分でもしょうもないと思いながらもついつい責めるように語気が強まってしまう。
「ムツキにとっては同じことだと聞いている。。。」
こいつら本当に、何もかもがいちいち抽象的すぎる。だからもっと具体的に教えてほしいっつってんのに。頭に血がのぼるのがわかる。どうしたものかとこめかみを右手で押さえていると、助け舟のように太ももの主が口火を切った。
「族長は、ドライア様は強き人間はよく見て指を使えるものだと仰っていました。」
「指。。。ですか」
掌を上にして自分の手をグーパーグーパーとしてみるも、何の変哲もない普通の指だ。
彼女はそんな俺の様子を受けてかさらに言葉を重ねる。
「また、何事もタイミングだとも。。。」
またそれだ。何度も何度も聞いたことだ。そりゃ何事もタイミングは大切だ。でも訓練の意味を知るタイミングってなんだよ。その時になったら神様が下りてきて俺に教えてくれるとでもいうのかね。
もう仕方がない。理解するのは諦めるしかないか。
それにしても指か。そういわれると、サージャも魔法を使うとき指を動かしていたような。指か。。。ハンドグリップなんてこの世界には無いだろうし。。。木の枝でも握ってみようか。
いろいろ考え込んでいるとまたも美女が語り掛けてきた。
「前、ドライア様は感覚をつかむのが先だとおっしゃっていたような。」
確かにそうだ。訓練の時に理解よりも感覚が先とか言ってたような。えらく体育会系だなと引いた覚えがある。。。あれ、でもこの人ババアがいるとき訓練に来てなかったような。
「ムツキ!そろそろ続きっ。。。やろう!」
なんだか違和感にもやもやし始めたタイミングでアスニが声をかけてきた。正直殴られるのはもうごめんなのだが、することもないし、何より殴られっぱなしってのが気に入らない。
「っしゃあ!」
俺は気合を入れなおして拷問場所へと足を向けた。




