2.8赤のアスター8
暗くなってきたところですぐに授業を終わらせてババアはさっさと行ってしまった。今生の別れってわけでもないけれど、少々淡白だ。元気でなとかいってギュッとハグとかしてくんないかね。ババアはババアだけど見た目だけは若いからな。ギュッとしてくれるだけで俺の男の子は元気溌剌生き生きするんだが。まあ、冗談は置いといて、割と寂しさはあるんだが、どうやらウルダーたちは移動が得意らしく、サクッと行って帰ってこられるらしい。こいつら実はでかい山羊が変身してたりするんじゃないよな。。。
こちらに住むようになってからは結構な確率で夜這い、もとい闇討ちを受けるのだが、ちょっとセンチメンタル乙女になっている今日に限って来ない。あいつはウルダーに夢中のようだ。どうやら前からの知り合いらしく、飛びついて抱き付いての大盤振る舞いだった。俺も女の子だったら同様にするのだが。母親みたいな存在が必要か。エルフ達はババアは論外だし他の奴らも遊びには付き合うけどなんか付き合い方が事務的なんだよな。まだサージャはガキだし等身大で付き合ってくれる女の人が必要なのか。どうせなら礼儀作法とかその辺の人としての態度ってのも教えてやってくんねーかな。
でもあいついつも俺にはまず魔法をぶっ放すのに、ウルダーには全くしてないんだよな。男女差別か?クソっ。
俺が枕を殴っていると心配してアマルフィが俺の背中に頭を押し当ててきた。やっぱこいつしかいない。俺にはアマルフィしかいない。うしうしと撫でてやるとアマルフィは心配などどっかにほっぽって、興奮してきてしまった。まずいと思った瞬間にはマウンティングを取られて一方的にやられ放題だ。
ベッドでじゃれあいながら今日の授業のことを思い出す。授業内容はいつも通りあまり理解できていないが、最後に変なことを言っていた。
「魔法は本質的には一つだ。ウィテカートもイーアも。」
なんやねんこいつ。散々ウィテカートは邪術だとか言ってたくせに、最後の最後に意味深なことを吐きやがって。
あの本についても結局全然核心的なことは教えてくれなかった。腹黒狸クソババアだ。魔法も全然使えるようにならないし。
はあとため息をつくと、心配そうにアマルフィが顔を覗き込んできた。大丈夫だよと頭をなでてやる。なんにせよ明日からは訓練がないわけだしゆっくり寝よう。アマルフィの頭を抱いて眠りにつく。
翌朝目覚めると、屈強な男たちが枕元に立ち心配そうに俺の顔を覗き込んでいた。