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秘されし赤林檎  作者: 敬重感泣
20/78

2.6赤のアスター6

 こちらに住むようになってから数週間が経った。こちらに来てからは訓練(リンチ)と授業(説教)のダブルアタックでバタンキュー状態、時間を最大限使うために朝も身支度を悠長に整える暇はない。そうなると一番の問題はアマルフィだ。会えない日が続くと毎晩毎晩俺の小屋に体当たりしようとするものだから、その愛に応えるため俺があいつの小屋に住むことになった。決してエルフのお姉さんたちの目が怖いからとかではない。。。それにしてもアマルフィは全く忠誠心の塊で愛い奴だ。

 また、一つ大きな教訓を得ることになった。この世に只より高い物はない。この前の日本語が書かれている冊子の翻訳、解読、その他もろもろの研究を訓練と授業の間とか、空いた時間に手伝わされている。もちろん報酬は出ない。無給だ。当然、こっちの世界に投げ出された俺にとってもありがたいっちゃありがたい話ではあるのだが、共同で作業をしているというよりは手となり足となりといった感じだ。毎日毎日訓練と授業で身も心もボロボロにされてさらにこれだ。解せない。

 あの表紙に「むや」と書かれた本の中身は縦書きで文字が並んでいる。長い歳月をかけて書いたのか、だんだんと整って言っているように感じる。縦書きの文字列はそれぞれ流れる線のようにつながっている。全然読めない。ただ、ところどころにひらがなや漢字のようなものがある。俺は内容はさっぱりだが、中の読める字を見つけてその字と訳と用例なんかを別の紙に書き記す。それをまとめてババアに渡してババアが内容を推測する。そしてその考察を俺は教えてもらうという流れだ。

 さらにババアに用事がある時なんかは、前のようにサージャと遊んでいる。サージャはかくれんぼにえらくご執心のようで、特に自分が隠れることに楽しみを見出したようだ。俺が訓練やババアと研究をしている間なんかはエルフのお姉さんたちが相手をしてやっているようだ。命の危険も感じず、暴力的でもない。とてもとてもすごく平和で良いには良いのだが、体は小さく尚且つ遠慮がない。本気で隠れられるとなかなか見つけるのに骨が折れる。エルフのお姉さん達も苦労しているようで訓練しているそばを走り回っている様子がチラチラ見られる。

 今日もリンチを終えて研究(雑用)を行う。こうも毎日毎日殴られてりゃそれなりに俺も強くなる。。。わけがない。ただ殴られているだけだ。殴られているだけで強くなるわけがない。というかそもそも、これ魔法の練習になってるのか?魔法の特訓で殴り殴られってそんなの聞いたことがない。あのババアボケてきてんじゃないのか。ちょっと遅めの中二チックなところがあるからな。なんか武闘派に憧れでもあるんじゃないだろうか。

 グチグチと考えていると

「手を止めるなクソボウズ」

 後ろから声をかけられた。そちらを向こうとすると振り向く前に拳骨だ。へいへいと俺は作業へ戻る。読み取れる文字を探す作業もほとんど終わりかけだ。そんな中、不自然なほどにきれいに読み取れる単語、「箱庭」を見つけた。箱庭、あれだよなミニチュアとかで作る模型的なやつだよな。。。やっぱこれを書いたのは転生者なんだよな。。。ちょっとグッとくるものがある。

 とりあえず数日中には俺のメインの作業は終わりそうだ。他にも日本語の書物があったりするんだろうか。今度ババアの部屋で物色してみよう。今日の作業はとりあえず切り上げ教室へと移動する。

 ちょっとその前にアマルフィの顔を見に行こう。自分の部屋へと急ぐ。

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