2.5赤のアスター5
そんなこんなでよくわからないまま授業が終わった。集中が切れるとどっと疲れが押し寄せてくる。へとへとになったのは俺だけではないようで、隣のサージャもへたっと机に体を乗せている。ついじっと見つめているとふと目が合った。怒られると思いきや、ふひひ、と笑って難しかったねと話しかけてきた。疲れている彼女は妙に色っぽく感じる。こういった仕草は本当に元カノに似ている。いやいや相手は小さな子供だ。俺も今は肉体的には子どもだがそこは線を引かねばならない。
自らの欲望と理性の狭間で葛藤していると、ふと思い出した。ババアもサージャの出所については知らないといっていた。こいつマジで元カノの転生者とかじゃないよな。いや、雰囲気はすごく似ているがこんな顔じゃなかったはずだ。いや、でも俺も転生して少し顔が変わった気もするしそういう可能性もあるか。。。。でも、そしたらどうして、こいつはこんな子供っぽいのだろうか。素は子どもっぽかったがここまでではなかった。
そんな風に俺が悩む横で俺を見つめたままフフフとサージャは笑い出した。ババアといいこいつといい、マジで俺の思考を見透かしてるんじゃないのかと思うことがある。。。
「お前も転生者だったりするのか。。。?」
するっと口から言葉が出た。しかしサージャは口をムッとして少し宙をにらむと、よくわかんなーいといって顔を伏せてしまった。ただの気のせいかもしれないが、その一瞬少し悲しそうな顔をしたような気がした。でも何かを隠しているようでもないしやはり違うのか。別にそこまで期待していたわけでもないがやはり少し悲しい。
「ほら飯だよ。」
いつの間にかババアが戻ってきていた。いつからいたのだろうか。見られていたらめちゃめちゃ恥ずかしいんだが。。。カアっと急激に顔が熱くなる。しかしババアは気にするそぶりもなく、他のお姉さんと一緒に食事を並べている。
並び終えて俺たちの前に座るとババアは食事に手を付ける前に話し始めた。
「今日は。いや、今日からはしばらく泊っていきなさい。」
まあ正直あの家に何かあるわけでもなし、構わない。構わないのだがやはり、住む場所を変えるのは少し寂しい感じがする。俺が少し考えていると
「お兄ちゃんこれから一緒に住むの!?」
満面の笑顔で俺の顔を覗き込んでくる。
「あ、うん。まあ。。。うん」
いくらこいつが加減を知らず、暴力を是とする極悪非道のバイオレンスキッズだとしても、こうも歓迎されると断れるわけもない。まあいいか。ギー族の奴らもよくわからない奴らだし。まあいい。
そういえば大事なことを忘れているような。。。。そうだ!。危ない危ない。忘れてはいけない。あいつはどうなるのだろうか。
「アマルフィは!?」
あいつと過ごした日々はそんなに長くはないが、もはやアマルフィは俺の相棒、いやもはや娘のようなものだ。お役御免ってことであいつと離れるようなことは嫌だ。
「あいつはもうお前の従者だ。今後もお前が面倒を見てやりなさい。」
そんなこんなで俺はしばらくこちらに住むことになった。あっちの村に置いてあるノートなんかはエルフが回収してくれるらしい。何から何までありがたいこっちゃ。