2.3赤のアスター3
いつもの授業とは違ってババアも俺の前に座っている。
大事な話のようだ。戦争とかかなあ。戦争は嫌だなあ。などと考えているとババアは滔々と話し始めた。
「先ほど言った通りこちらの世界に移されたのは貴様が初めてではない。」
「それでこの人た。。。?」
俺が聞こうとするとババアは手で制して話を続ける。
「それでそろそろ時期でな。」
時期ってなんだ。まさか戦争の季節でーすとか言い出さないだろうな。
「そろそろお前に魔法を教える時分だということだ。戦争ではない。」
このババア俺の思考を読んだりしてねえだろうな。腹黒狸ババアだ。実は俺の考えていることは全部知ってましたとかありかねない。
「今までのものもみなこの段階になると戦争を覚悟するようじゃな。」
さすがに思考を読み取るなんてことはないようだ。
「でも自分に魔力はないんだと思ってたけど」
「マジカルアビリティか。。。エムピーとかいうのだったかね。前のものもそういうものがどうだとか言っていたな。」
ババアは顎に手を当ててどうだったかねと考え込んでいる。
エムピーってMPだよな。そういう概念を知ってる人間が前に来たってことか。でも最後にあっちの世界の人間が来たのは400年前だとか言ってたよな。さすがに400年前にMPってものは無いよな。。。あっちとこっちでは時間の流れが違うとかそういうことがあるのか。
「とにかくだ、そういう制限はわしも知らんな。少なくともウィテカートに関して言えば、そのような制限はない。イーアは才能の差はあるだろうが全く使えないということはないだろう。」
これは嬉しい話だ。全然魔法を教えてくれないからあっちの世界出身だから魔力がないとかそういう残念系主人公かと思っていた。
でも、そしたらなんでこのタイミングなんだ。最初っから教えてくれてた方が才能が伸びたりしたんじゃないか。まあ今も充分子どもだから伸びるには伸びるだろうが。
俺の考えを察したのかババアは続ける。
「本来であれば、順に世界について理解してからするわけだがお前の記憶も戻ってきているようだし本格的に始めてもいいだろうってわけだ。」
うん?俺は別に記憶を取り戻してきたわけではないのだけども。まあこれ以上ややこしくしても仕方がないか。
「それで魔法を学ぶっていうのは具体的にどういった。。。?」
俺が聞くとババアはニカっと笑って俺の隣に座る屈強な男たちを指さした。嫌な予感がする。すごく嫌な予感だ。しかもこういった予感は外したことがないから俺は青ざめるしかなかった。