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胸が痛いこれは恋だな

作者: 青いバック

 早まる心音は私が恋をしていることに、気づかせてくる。

 気付かないふりをしていたのに、コイツはそんな事お構い無しに心臓を早く鼓動させる。デリカシーのない奴だ、私の心臓は。


 私が男の人だったら、こんなデリカシーのない心臓には恋を抱くことは無いだろう。そもそも、心臓に恋を抱くことすらがおかしいのだが。ファンタジーの世界の悪役なら、心臓に恋することは有り得るかもしれないが、私は現実世界に住む、1少女だ。


 私の隣に立つと影を作るほど、身長が高くて、細身の筋肉質の君の横顔に見惚れる。グレーのロングコートに身を包んで、服に似合わない運動靴。


 いつもは、かっこいいと思っていなかったはずなのに好きとわかった瞬間これだ。人間の恋心は恐ろしい。こんなのおかしいじゃないか。ただ、好きと分かっただけなのに。


「どうした、さっきから黙りこくって」


「あ、いや、夕陽が眩しいなあって」


 好きとわかってしまった時から、ずっとだんまりを決め込んでいた私を心配する。顔を見ることすら(まま)に出来ないのに、喋るなんて紐なしバンジーだ。


「お前夕陽って、ここ建物の影だぞ?」


「え、あ、なら、夕陽向かって走れ〜!」


「あっ、ちょ、待てよ!」


 なんと私は顔に見惚れすぎていて、ここが建物の影になっていることに気付いていなかった。1番してはいなけい失態を犯してしまった私は、赤くなる顔を誤魔化すために夕陽目がて走り出す。


 2人の走る足音だけが、住宅の間を木霊する。


「はぁはぁ、急に走っんなよ。 疲れるだろ」


「そ、そうだね。 でも、ほら見て綺麗な夕陽」


 住宅街を颯爽と駆け抜けた先には、まん丸いオレンジがかった太陽が顔をのぞかせ、やあ、こんにちわ。

 私の赤い火照った顔も、今はこの太陽が誤魔化してくれる。


 早まる鼓動も走ってかき消すことが出来ている。あぁ、認めるしかないな。胸が痛いや、これは恋だ。


「……好きだよ」


「えっ? 今、なんて」


「私に追いついたら、教えてあーげる」


「おい、また走るのかよ〜!」

ではまた。

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