もしも、あきらかにモブである僕に勇者のスキルの上位互換スキル芽生えたら、勇者になっちゃってもいいよね?
王国暦179年、異世界より召喚された勇者が魔王討伐の為、ここファースト王国では出立パレードが開催されていた
勇者達を激励する大歓声の中、1人の少年が瞳を輝かせながら、道の真ん中を堂々と歩む勇者達を見ていた
『これが勇者....かっけぇ〜っ』
『僕も...僕もいつかあんな風にっ...』
少年は拳を強く握りしめ、住宅街へと駆けていった
バンッ
『父さんっ!母さんっ!僕、勇者になりたいっ!』
『もう、アルスっ!いつもドアはゆっくり開けなさいって言っているでしょう!』
『あっ、そっか...ごめんなさい、母さん。』
『アルスもそういうお年頃か。まぁ、だが夢は大きくなくてはなっ!がははははっ!』
『だが勇者になりたいのなら、まずは明日授与されるスキル次第だな。』
スキル、それはこの世界を見守っている3人の女神、ファースト、セカンド、サードの3女神から1つ授けられるものであり、10歳を迎えた時、教会において女神から授けられる
そして、3女神にはそれぞれが担っている国があり、それぞれ担っている女神がその国に加護を与えている
アルスの暮らすファースト王国の場合は女神ファーストの加護を受けている為、女神ファーストによりスキルを授けられる
『わかってるよ。僕は明日、勇者様と同じスキルをもらうんだ〜』
『勇者様と同じスキルというと、確か英雄っていうスキルだったわね?』
『ああ、そうだ。英雄というスキルは女神ファースト様が与えて下さるスキルの中でも極上のスキルだ。だから、なかなか授けられる事はないぞ?』
『ふ、ふ、ふ。それなら問題ないんだな〜これが。』
『どういうこと?アルス。』
『だって、僕は毎日ファースト様にお祈りしてるし、毎日教会のお仕事も手伝ってるからね!』
『がははははっ!そうだったな!アルスは本当にファースト様が大好きだもんなっ!大丈夫だ、明日はきっといいスキルを貰えるさっ!』
『そうね、アルスなら問題ないわ。』
『うんっ!じゃあ、明日はしっかり起きれるようにもう寝るね!おやすみ父さん、母さん!』
『ええ、おやすみアルス。』
アルスは駆け足で寝室のベッドに飛び込んだ
女神にスキルが授けられる当日、
アルスは起床すると、まだ両親が寝ている中、教会へと急いだ
『おはようございますっ!神父様っ!』
『む?おおアルスか。随分と早くきたのう。』
『待ちに待った日だからねっ!誰よりも早く来たかったんだ!それよりもさっ、もうスキルって授けられるのっ!?』
『ふぉ、ふぉ、ふぉ、大丈夫じゃよ。早速、やるかのう?』
『もちろんっ!』
『では、アルスよ。女神像の前に膝をつき、祈りを捧げるのじゃ。』
『うんっ!』
アルスは神父に言われた通りにした
すると
『アルス...アルス...』
『(ん...?この声は...誰?)』
アルスの脳内に女性の声が響く
『やっと...会え...でも...時間...な...アルスの...望...スキ...を...だか...ら...夢を...かな...て...ね...』
『(ダメだ、途切れ途切れで聞こえないっ!)』
アルスが脳内に響く声をどうにか聞き取ろうとしていると、
『アルスっ!アルスよっ!』
『え?』
呼ばれて咄嗟に目を開けると、神父が心配そうな顔をしてアルスを見ていた
『どうしたのじゃ?どこか具合でも悪いのか?』
『え?あ...いや大丈夫、大丈夫だよ。』
『そうか?なら良いのじゃが。』
『そ、それよりもっ!』
『うむ、スキルじゃな。大丈夫じゃ、しっかり授かっておるぞ。』
『よ、よかった〜。それで、僕のスキルはっ!?』
『うむ、アルスのスキルはのう....うむ?これは....』
『なにっ!?なんなのっ!?早く教えてよっ!』
『神雄じゃ。』
『へ?』