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C.B.B.NEW FACE  作者: 怠慢兎
第二章・神域攻略
81/83

79.(´∀`)…ま、その時はその時ね

注意:汚物表現


 戦闘が始まって10分が経過した。


 吹き飛んだ(スライム)(ゴーレム)の腕が変身して腕並の大きさの羽虫になってアーサーに襲い掛かる。羽虫は真っ二つに切られるが、更に細長い羽虫に変身して別の個体に飛び付きその失っていた腕に成り変わった。


「あ゛ー!? シェア出来んのかよ?! 鬱陶しーなー!!」ギュンッ


 ドッズ゛゛゛゛゛バア!!!

     サラサラサラ……


 頭から飛び込む勢いから繰り出した回し蹴りで変身したばかりの腕を肘から分断、すぐまた変身する瞬間に合わせた五指の斬撃で以てS・Gが木っ端微塵に切り刻まれて気流に流されていった。細胞単位の虫が全て切り殺される。


(変身中なら柔らかいし殺し切れるが……塊の身体は関節以外は剣が無きゃ切り分けられんなー。それにチマチマ殺した所で……)


 ある程度の細胞を殺すと一旦は風に乗って霧散するが、暫くすると新たなS・Gが地面から生えてくる。既にかなりの数を屠っていたが、死骸の数が増えるほどにS・Gの数も徐々に増えていた。


(死骸を鎧に流用しているから向こうの援軍が段々と増えて来たなー。まあこっちも補給無しであと5日はぶっ通しで戦えるが……ホントなら今日はただの護衛任務だったんだよなぁ)


 ド゛ン! ゴガガガッズギ゛゛ャ!!!

    バッダダダダ゛パンッゴキィ!!!

ギ゛゛゛゛゛゛゛゛゛゛゛゛゛゛ブチィイ!!!!!


 10体を越えるS・Gが入れ替わり立ち替わりでアーサーを襲う。相手の動きを見て流れるような動作で攻撃を掻い潜り、全身を自由自在に操って反撃を繰り返す。

 異形のような身体の柔軟性と化け物じみた反射神経、そして長年培った戦いの経験から生まれる勘が、アーサーの人間離れした強さの秘密だ。


 そんなアーサーを以てしても、ほんの少しずつ、僅かな傷がだんだんと大きく且つ増えていった。その事実に気付くのに、1km以上離れた壁の上から肉眼で観戦していた実力者達にとり、察するのに時間は必要なかった。


「ジリ貧ですね……」

「そうだな。ブラックの奴であれば、あの倍以上の数でも立ち回れるのだが……初回であれば上出来か」


 折り畳み椅子に座って観戦するカーマイン団長と側近のパールは至って冷静。一方でCBBの団員達は双眼鏡や狙撃銃のスコープで見ながら、防戦一方のアーサーをハラハラして応援している。


「だ、団長ー! まだまだ余裕ッスよー!!」

「イケるイケる! 頑張れニャー!」

「あんなに集られてよく無事ね。ま、私のライフル弾を摘んだくらいだし、当然よね」

「Grrrrr…この距離では声が届かぬぞ。もっと腹から声を出せえ!!!」

「「にゃ「ガオオ(=ΦДΦ=)オオオ!!!」ん」」

「うるっせーな〜」キ〜ン


 そんな声援もアーサーの耳には雑音として届いていた。


「ああ? 何騒いでやがる、チャットは無反応だし団員達か? 心配性かよー」


 とは言え傍目には状況が不利になりつつあるとしか見えず、袋叩きに遭っていながら戦闘が続いているのは奇跡としか言いようがなかった。


 そんな中で事態は急速に変化する。


「あ? 光沢の無ぇ奴が地面から生えたな。毒切れと見たか? いや、自滅覚悟で鎧の供給を加速させる狙いか?」


 光沢無(マット)なS・Gはアーサー包囲網の周囲をグルグルと駆け回り、そして頃合いを見計らって背後から奇襲を掛ける。

 その奇襲をアーサーは察知して両腕と片膝で防御する。


ミシッ!!!

「!!!? グァッ!」ギュンッ


 ッ…ーーー ド ォ ン !!!!!!

                 パラッ


 しかし防御した体勢のまま吹っ飛ばされ、朽ちてなお巨大な樹の幹に突き刺さる。すぐ頭上には大の大人三人が並ぶよりも太い枝の名残りがあり、眼下に見える地上までは100m以上はありそうだった。


「ぐふっ……!(ッッッ()ぇ〜〜〜!? 何じゃこりゃあ〜?!!)」ビリビリ…


 尻で座るように刺さった状態を良い事に防御した腕と膝を確認すると、横断する一文字のくぼみが防具にクッキリと残っている。


「ふー……ふー……(今まで表面に死骸(ゴミ)を纏っていたから鈍かっただけで、本来はこんだけのパワーとスピードが有んのか!)」


 システマ式呼吸法で痛みを誤魔化しつつ大樹から抜け出そうとしたアーサーは、そこで飛び上がりながら大量の粉塵を払い落とすS・Gの集団を確認した。


「ほー、毒が無いと思って〆に掛かったか? ふっ、こっちも身体が温まって来た所……あれ?」ぐぐぐ……


 アーサーが両手両足を樹皮に引掛けて踏ん張るも、びくともしない感触に戦慄する。


(ガードした部分より背中がやけに痛むと思ったが何だこの樹?! 朽ちて化石化するにしても、ありえねえ強度と硬度だろ!! くっ!)ジィイカチャカチャ


 ズドォォォン!!!


 間一髪、一部防具を脱ぎ捨てて這い出した直後、アーサーが刺さっていた場所に巨大な投擲槍が突き刺さる。そして槍は刺さるとすぐに形状をドロドロと変化させていく。


「シィィィイ!!!」

 ス゛゛゛バ゛゛゛゛゛バ゛゛!!!!!

    べ゛ギッ    ボギッ


 すぐさま変化するS・Gを片腕で斬り伏せるも、大樹に当たった爪が全部へし折れてしまう。しかも槍が刺さった穂先部分のS・Gまでは斬ることが叶わず、穴から翅を広げて飛び掛かってきた。


 ピシャッ


 そこへアーサーが(インベントリ)から出した小瓶の液体をぶっ掛けた。


 ブブブブブブ、バタバタバタバタ……ヒュ〜〜


 液体を掛けられた小型(ミニ)S・Gは踠き苦しみながら落下していく。


「ふー、緊急下着(ラストポケット)に殺虫剤の原液を移動させてて良かったー」


 CBB(ゲーム)内で鞄は所有品の収納やステータスの確認の他にプリセット設定やログアウトなどのシステムにアクセスする重要なアイテムとされており、身包みを剥がされ鞄も無くなった場合には緊急用として最低限の機能を備えた下着(パンツ) を使うことが出来る。

 元々ゲーム内の緊急パンツは課金しなければ収納機能が無い上に脱ぐと強制的にログアウトしてしまうが、アーサーはこの世界に降り立ったその日の内に脱いでもログアウトせず、課金で拡張した収納枠が使える事も確認していた。


「でも瓶から直で中身出しちゃったから、残りの量が心許無ぇなー」チャプ


 だが幸運な事に小型S・Gの惨状を目の当たりにしたからか人型S・Gが接近を止める。それを好機と見たアーサーは急いで装備を両脚にぶら下げたまま樹上に避難する。


 樹上は広く拓けているものの、地面は激しく波打っていて足場が悪く、反対側が見通せない程の濃霧で覆われている。この濃霧にアーサーは水中に居るかのような重い抵抗を感じた。


「〜〜〜ク…ソ、この感じ……心霊スポットだ。しかもかなり(ゴツ)いな、"神域"ってーのは伊達じゃなさそーだなぁ」ぶるる


 アーサーにも苦手なものは有る。例えば意図しない事象が発生する心霊現象(バグ)は、遭遇した際に死に掛けた経験もあって必要が無ければ見向きもしない。が、デバッグの仕事(バイト)CBB(ゲーム)内での職業(ジョブ)専用の依頼でバグに接触しなければならず、散々な目に遭ったことを思い出して身震いしてしまう。


「………下からは分からなかったが何だこの霧は? 地上には太陽光が届いてただろうが」

 ーー〜……


 独り言を呟くアーサーの声が、霧を伝って妙な反響音を残していた。


(何だこれ、反響音? 気持ちの悪い響きだなー?)


 耳を澄ませば心臓の音すら耳に届いているかのような、絶え間なく微弱な振動が感じられる。


「音か……成る程、俺ももうアラフォーだったなぁ。モスキート音みてえな音だと聞こえないな、ありゃ羽の音だったな確か……チッ、痛ぇなクソ」


 耳の穴をほじろうとするが痛みを感じでやめる。折れた爪の武器が有った指先に血が滴ってて、怪我をした指先同士を擦り合わせるように軽く手を握った。


「俺がまだ聖騎士(パラディン)の"異端審問官"だったら、こんな所今すぐにでも浄化してやるレベルだ。だが、もう違うんだよなーちくしょー。でもムカつくからせめて俺のウ◯コで神域にイタズラしてやる」ズリリ


 何故かS・Gが現れないのでパンツを脱ぐ余裕がある。


 濃霧の中で余りにも汚い排泄音が響き渡る。そこに苦悶の嗚咽も混じっていた。


「ぎぎぎぎぎぎ……ゔ〜〜〜〜痛だだだ! うっっっぎゃああああああ!!!! 痛ええええええええ!!!!! ひん!」ビビッ! ボンッ!! ブシャァア……ボトボト


 アーサーは"持病:切れ痔"だ!


 CBB(ゲーム)で血は魔法の媒体に用いられ、儀式魔法であれば誰でも効果を発揮する。そして排泄は自然界に於いて縄張りの主張を意味する儀式だ。


 こうして神の領域に放置された汚物は、後々になって厄介な領土問題を引き起こす……かも知れない。

(@‿@)>あ、そうだ!サンプルとして(アーサー)が居たギルドを紹介しよう!


 その8. 聖騎士団(パラディンギルド)について


(@_@)>聖騎士は最上級の職業で、斡旋される依頼はどれも一筋縄ではいかないよ!エンドコンテンツってやつだね!


(@ 』@)>最上級職業は他にも幾つかあるけれど、聖騎士団は最も人数が少なくて最も厄介事に縁のある職業だよ。


(;@曲@)>最も人数が少ないのは入団試験に唯一ギルドマスター本人が直々に試験官を務めるからで、繁忙期とかになるとギルマスのイン率が下がって試験の回数が減っちゃうんだ。


(@∀@)>ギルドではNPCから斡旋される仕事と運営から斡旋される依頼があって、聖騎士の場合は 道路清掃(放置アイテムの回収)の仕事から邪教徒(チーター)の殲滅依頼等等、世界(システム)に害成す存在の撲滅が主だよ。


(@д@)>俺みたいな役職持ちは更に厄介な依頼を廻されることがあって、例えば"異端審問官"は心霊現象(バグ)の発見と経過報告や再現率の確認とか、"聖者"だと教団(運営)から渡される解呪アイテム(修正パッチ)で心霊現象を浄化したりするよ。


(@_@)>まあ上記2つは裏役職みたいなもので、一般の団員だと "聖闘士":チーターの追跡とチートの種類の特定や攻略方法模索(タイマンしてボコる)、"聖人":教団から渡される解呪アイテムで怪奇現象を浄化、が主だよ!つまりは公式デバッガーだね!


(@∀@)>一応"聖人"向けの依頼は"異端審問官"と"聖者"が過去に解決した心霊現象をモデルに再構築した安全な内容だよ。まあでもチーターに対して専用バフで蹂躙できる"聖闘士"の方が圧倒的に人気なんだけどね。


(@v@)>長くなっちゃった。次回はギルド内のサービスについて紹介しよう!またね!

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