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C.B.B.NEW FACE  作者: 怠慢兎
第二章・神域攻略
80/83

78.(•∀•;)うーんバレたら俺はデー削か?

R7/5/25 後書きの修正 (@人@;)矛盾が有った、ごめんね

 凄まじい破裂音と共に防壁から飛び出したアーサーを見送り、パールは息を呑んだ。


「……身体能力だけなら他国の代表とも十分にやり合えそうですね」

「ほぅ、私を差し置いて他国か……つまり身体的に私よりも強いと?」

「いいえ! そんな事は言っておりません!!」

「ふんっ、身体能力だけで代表は務まらん。先程も言ったが本気を出してもらわねば、信用に値するかの判断はしないつもりだ」

「団長……、もしもアーサー・リッパースターがあの怪物()を相手にしてさえ本気を出さずに勝ってしまった場合はどうなさるお積もりでしょうか?」


 パールの質問に腕を組んだまま顔をチラッと向けたカーマイン団長は、すぐに正面を向いて"その時はその時だ"と言いたげに肩をすくめた。


§


 武器を持たずに手刀を繰り出したアーサー、その装具は両手足の指先に長くて鋭い爪の付いた猛獣を彷彿とさせる姿だった。


「へっ、"(ハンド)一刀流・肉断(チョッパー)"が通じるなら"機械型"ほど厄介ではなさそーだなー」


 空手チョップを喰らったS•Gの身体は、頭頂部から腰部にかけて真っ二つに裂かれている。その断面をアーサーは視力を強化して注意深く観察する。


("三酷使"!)ビキビキビキ……!


 アーサーの眼の周囲に血管が浮き上がる。

 体表の毛穴を覗き見るように凝視して見えるのは、繊維質の埃に無数の鞭毛が付いたような微生物。それらが繋がり合って人型の見た目と動きを再現していた。


(うーん、ナノマシン程に小さくはないけど、極小の虫の集合体に間違いは無いなー)


 ズビ゛ァ!!!


 更に五指で抉るように切り裂く。不気味で前衛的な生け花みたいな姿だ。


(今までの"(スライム)(ゴーレム)"にゃぁ"機械(マシン)型"と"液体(スライム)型"が居たが、こいつはどちらとも異なるなー。生物が協力して形を成してやがる。区別するなら一旦、"生体型"とでもするか)


 アーサーがこれまでに遭遇した個体は、SF世界産の極小機械(ナノマシン)型と、ハイファンタジー産の魔物の死骸を素体とした液体人形(スライム・ゴーレム)型の2種類。どちらもプレイヤーを除けばアーサーにとって脅威的な戦闘力を持った人型の怪物という印象だ。


 だからこそアーサーは弱点を血眼になって探した。


(チッ……これだけの規模の集団行動なら、"核"の役目を持つ個体が居る筈だぞ。どこだ?)


 更に身体を八つ裂きにしながら司令塔となる筈の個体を探して眼を凝らす。だがそれらしい個体、身体の大きいのや色違いなどの特徴が異なる個体を探すが見当たらない。


「うじゃうじゃ気持ちワリーばっかでムカつくなー!? ん?!」


 スパァ!!!


 咄嗟に身を屈める頭上を鋭い何かが横切る。すぐさま振り返るともう一体のS・Gが剣のように鋭い腕を振りかぶっていた。


「もう一体?! いや……!」ズダンッ


 攻撃をされる前に大きく飛び退いて距離を取る。着地した時、目に映ったのは新しいS・Gの軍団だった。


「おいおいおい、んな事聞いてねーぞ。ハメやがったかー? まぁ、手応え無さ過ぎとは思ってたがよー」


 ドドドドドドドドドドド ドドドドドドドド

 ドドドドドドドドドドドドドドドドドドドド

  ドドドドドドドドドドドドドドドドドドド

 ドドドドドドドドドドドドドドド ドドドド

 ドドドドドドドドドドドドドドドドドドドド

 ドドドド ドドドドドドドドドドドドドドド


「ってー、どこにこんな数がいたんだよ!?」ズザッ


 のっぺらぼうなマネキンの軍団は、様子見する素振りも無く一直線にアーサーを目指して殺到する。それぞれ手には刃物や鈍器を持っていたり、あるいは腕そのものが武器に変形していた。


「物量押しか? だったらテメーら残らず駆虫してやるよ」ググン


 迫り来るマネキン軍団に正面から立ち向かうアーサーは、四足獣の如き低姿勢から一気に軍団の後方まで突破する。直線上に居たS・Gは上空に撥ね飛ばされ、地面には鶏のマークが付いたボンベが穴を開けた状態で散乱していた。


 ボンッ! ボッボンッ! ボボボンッ!!


 数瞬の間を置いてボンベが爆発する。白い煙がS・G軍団を覆い隠す。そしてバタバタと倒れ伏し、かろうじて踏み止まった個体もプルプルと震えて動きを鈍らせる。


「いくら群れようと所詮は虫ケラ、殺虫剤の効果はやっぱり効果覿面だなあー………んん?」


 一体のS・Gがよろめきながらもなんとか腕だけを煙から出すと、その腕の先端部が砂のように崩壊する。すると輪切りにされたかのような腕の断面から、内部で無事だった虫達が流血のように連なって脱出を試みた。


 ブシューーーーッ!


 そこへ鶏印のスプレーを噴射するアーサー。


「やっぱり生きているだけあって、何としても生き延びる、仲間を生き延びさせる、どうあれ執念ってもんが感じられるぜ。"液体型"は死体を再利用してるし、"機械型"には心が無ぇ、頭使って悪足掻きってのは生き物らしさ(リアリティ)があって面白ぇーよなー」


 念入りにスプレーしながら瀕死の虫に語り掛ける。その心境は楽しさ半分、感心半分。だからそこに多少の油断が生まれる。


 ユラ……スパーーーン!!!


「…………!!!?」ヨロ…


 アーサーの兜に縦一筋の傷が付けられる。煙の動きに咄嗟に身を引いていたので、致命打にはならなかった。


 煙の中から攻撃して来たのは、金属に油を塗ったような光沢を放つ外殻を持つS・Gだった。先程までのマネキンの様な簡素な見た目から一変して、某改造人間のような防具を身に纏い、手首から先には幅広の両刃の短剣と鋭い親指が一本付いている。


「……手刀って事かコノヤロー? 俺に対する意趣返しかー?」


 シュッッスカッ スススス スコーン!


 返事の代わりにS・Gがアーサーへ攻撃を繰り返す。そしてまた一つ、アーサーの兜に傷が付けられた。


「OK OK……お前らちゃんと俺に順応して来てんだな? だったらコッチもギアを一段上げてやろーじゃねーか」


 ブブンッ


 アーサーの姿がブレる。


 ギ゛゛゛゛゛゛゛゛゛゛ッ!!!!!!

     ゴ゛゛゛!!!!!


                   ドサッ


 次の瞬間にはS・Gの両腕・両脚が根元から吹き飛ばされ、その場には傷だらけの胴体が地面に落下する。


 カチッカチカチッ


「ほーぅ、油分と死骸の装甲で毒を防いでんのか、しかも死骸の粉末が油と合わさって刃にまとわりついて切れ味を著しく落としてるな。プロテウス合金の真似か? 着眼点は良いが虫だけに、バッタもんじゃあ本物の性能には及ばねえなー」


 指先の爪同士を擦り合わせてドロッとした死骸のペーストをこそぎ落とす。そして(インベントリ)から小さな装置を4つ取り出して手の甲と足の甲にある回路に装着した。


 シュ〜……ボボッ!


 手の爪に残っていた油分が熱を帯びて燃え上がる。


「それに、複雑な組織を形成するのに時間も掛かる。そんなんじゃーネイルの手入れもじっくり出来ちまうぞ?」


 ボヒュゥゥゥゥゥゥヴヴヴヴブブブ!!!!!


 殺虫剤の煙幕が突如発生した突風で霧散する。


 ザンッ   ザッ!      ズダダン!!

           ドンッ!


 そしてアーサーを包囲する陣形で新たなS・Gが5体出現した。最後のは胴体だけのS・Gを踏み潰しての登場だ。

 どれもが先程よりも大きく、分厚く、強い光沢を放ち、背中にはトンボに似た巨大な羽を持っていた。


「戦闘中にバージョンアップをしていくタイプか、ドンドン狂暴な見た目になっていくなー」


 ズズズズズズ……


 踏み潰された残骸が踏み潰した個体に吸収されていく。


 キ゛゛゛゛゛゛゛゛゛゛゛゛゛゛゛゛゛バギンッ!!!


「あちゃー、爪が一本折れちゃった♡」パシ


 と言いながら折れ飛んで落ちて来た爪を指先でキャッチする。


 攻撃されたS・Gは脚で吸収していた個体。それは右腕をもぎ取られたが、左腕で右腕をキャッチすると傷痕同士を押し当てて何事も無かったかのように再生した。


 一方のアーサーも鋭い爪の上で折れた爪を弄んでいる。両手足全ての爪を器用に操ってである。


「あれれー? おかしいなー? 爪が一本折れたのに、爪は一本も折れていないぞー? なぁぜなぁぜー?」


 ………ギチッ………


 舌打ちのような唸るような声が出た。それを聞き逃しはしないアーサーだが、出所までは判明しなかった。


 しかし挑発の通じる相手が敵である。という事実はこの上ない情報であり、恐らくその声の主が指揮官個体だ。


「虫ケラがどう集まった所で虫ケラ一匹はこの"タングステンタスク"の切先よりもデカい。お前らはどう足掻いても死ぬしかねーんだよ。一匹一匹ジワ…ジワ……と(ニチャァ」

 その7. CBBの職業組合(ギルド)について


(@-@)>職業組合(ギルド)とは、同じ職業を持つ者同士が交流できる組織だよ。ギルドマスターを務めるのはゲーム運営スタッフで、職業ごとに1つのギルドが設立されているよ!


(@^@)>同盟は誰でも自由に参加出来るけど、ギルドはジョブのメインかサブに該当の職業を設定しないと入れないよ。ジョブの変更は簡単には出来ないけど同盟の事務所では設置出来ない専門店や他ギルドとの商品の売買、プレイヤーやNPCからの仕事の斡旋等のサービスが受けられるよ!


(@_@-)>ギルド毎に所属人数が膨大になるから、役職やランクの審査はAI任せなんだ。一定度頑張ればそうなる感じ。中には逆に厳しい所だとRPにすら口を出してくるよ!鬱陶しいね!


(@曲@)>ギルド内部でも同盟同士で集まれるように派閥システムがあるけど、これがまた人間関係を複雑にして争いの原因になったりするよ!面倒過ぎてギルマスも殆どは放置しているよ。


(@A@)>因みにギルマスもプレイヤーの一人ではあるから、下剋上と称してギルド乗っ取り対戦も可能だよ。全てのギルマスは運営側だからランキングには表示されないだけの上澄みの良い所ってレベルの戦闘力だから、滅多に成功したことは無いけどね。

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