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C.B.B.NEW FACE  作者: 怠慢兎
第一章・顔合わせ
62/83

62.でも(ಠ_ಠ)見られてる気配はある

 グラウンドから離れてここは開放された中央棟の出入り口、マヌゥ達はそこに避難していた。


「ちっくしょ〜! 何なんだあの人! 何しようが全然効かねぇじゃねえかよ!?」

「落ち着きゃマヌゥ、まだ全員やられた訳じゃニャい。主力の二人はまだ大丈夫そうだし、屋上にはラーニャとルルーニャが構えてる。にゃんとかにゃるにょ」

「……ん? 何か言ったかオリヒコ?」

「耳イカれてんのニェ……」


§ 遡ること20分前


 作戦会議を始めたカール達は、念の為にアーサーから50メートル以上の距離を開けた場所で円陣を組んでいた。中心ではセイスが唸るような声で祝福(バフ)の準備詠唱を行なっている。

 全員、手に愛用の武器を握り締めて臨戦態勢を保っていた。


「いいか? (アーサー)は集団戦に滅法強いが無敵って訳じゃねぇ。陣形はさっき言った通りだが、アドバイスとして止まるな、目を離すな、休ませるな、それと人間と思って生半可な攻撃はするな、だ」

「確かに、私の使った弾は非正規だけど、歴とした強壮弾なのよ。普通なら掠っただけで四肢をもぎ取る威力はある筈なのに……」

「そんなノ使ったのカヨ……」

「基本的に俺とレオンが前後で攻撃を仕掛け続ける。剣はこの俺の槍で牽制するとして、他の……」


ブスッ

 バアアアァァーーーーーーーーーーン!!!!!!!!


「「「うわああああ!!!!???」」」

「シューーーーーーッ!!!!!」ガッ


 突然の破裂音に数人が耳を塞いで蹲る。耳鳴りを我慢してアーサーの方を見れば、円の範囲内で一人ガッツポーズをして奇声を上げる姿を捉えた。


「あの野郎……?!」ギリリ…


 そしてカールの持つ槍には、破裂して萎んだバスケットボールの残骸がぶら下がっていた。


「テメー!! 武器はそのナマクラ2つだけじゃなかったのか?!」

「( •3•)武器じゃないもーん、ちょっと壁当てゲームで遊んでただけだもーん。ボールの落下地点に偶然(・・)、突起物があって刺さっただけで、気付かねーバァカが悪いんだよーんwww

 あとナマクラって言うな!」

「クズ鉄! 手抜きコピー!」


 お互いに50メートルの距離間で罵詈雑言をぶつけ合うので当然ながら大声で叫んでいると、何だ何だと野次馬も集まって来る。そんな野次馬の中には、最近知り合ったばかりの者も居た。


「君達こんな所で一体、何をしてるのかね? 大の大人がみっともない……」


 声を掛けて来たのは昨日、カールと対戦したウィル・ゴードン中尉だった。まだ全身に包帯を巻いているもののギプスは取れていて、当然のように自力で歩き回っていた。


「ゴードンのおっさんか。元気そうじゃねぇか」

「コラ、おっさんとは随分な言い草だぞ。ちゃんと"ゴードン中尉"か"中尉"と呼びなさい。まあそれはともかく、先程の破裂音といいボロボロなようにも見受けられるが何をしているんだ?」


 チラッと振り返るとカールの側に居たマヌゥとセイスが項垂れており、他は悪態をつく元気はある様子だった。

 ただでさえアーサーを包囲(リンチ)するには少数に思っていただけに、まあまあ動ける奴と補助(バフ)担当がいきなり潰されるのは油断していたとしか言えない。


「ああ、ちょっとした腕試しの際中なんだが……」

「ほう、腕試し?」


 事情を説明すると道具の供与や怪我人の移動、そして特殊な機材を使用する場合のみ攻撃に参加する条件でローレル中隊が協力してくれる事になった。

 ゴードン中尉の部隊と合同でアーサーの包囲網を敷き、CBBメンバーが主軸となってアーサーを攻め立てる。猛獣用の捕獲網を発射したり、催涙ガスを充満させたり、ブルドーザーを使って集めた土砂を四方から押し付けて生き埋めにしようとしたり……etc


§ その結果……


 アーサーが描いた円の上にはアイドル状態のブルドーザーが停車していた。当のアーサーはと言うと、座席に座ってゆったりと一服している。

 その周囲ではレオンやリーサル植本、ジェリコとジェット、ナナラとセーナまでもがグッタリと横たわっている。マナミとセイスだけはローレル中隊が回収に成功していた。


「耳が悪いならコレ塗りな。いやーしかし中尉(おっ)ちゃんも頑張ってくれたけれども、最後の娘婿(シャトル)がね〜……」

「あ、あざっス、ビアンカさん! でも動いて大丈夫なんスか? 頭イかれてクジラみたいな出血してたけど」グリグリ

「大丈夫大丈夫、受け身は取れてたしー、ってクジラ見た事あるの?」

「年に一回鼻水かみに空からやって来るドラゴンみたいにでっかい魚っスよね? 薬草の肥料に重宝されるとかで有り難がられてっけど、子供の頃から上空に現れたら流されないよう屋内に避難しなくちゃいけなくて嫌いでしたっス」

「流されるくらいの鼻水って汚いにゃー。何でそんな所に町があるの?」

「毎年はぐれクジラが同じ場所に現れるから、鼻水(それ)目当てに町が出来たって父ちゃんから聞いた気がする」

「へー、ところでカールはどこ行った?」

「10分で戻るとだけ言ってどっか行ったっス」

「そーなんだ」


 そのカールは、イェンにDMで交渉している所だった。


『イェン、起きてんだろ? ギフト転送で銃のスクラップを2〜3スタックほど送ってくれや』


 CBB(ゲーム)では基本的にあらゆるものをアイテムとして(インベントリ)に収納可能なのだが、例外として銃器類だけは破損していたとしても組立済みの物は入手する事が出来なくなっている。だが分解してパーツに分けてしまえばその限りではなく、NPCの調達依頼で求められる事も有れば鋳潰してクラフトの材料にしたり等となにかと需要のある換金アイテムになる。


『え〜何いきなり……共有倉庫じゃダメ?』

『アーサーも触れるからダメだ。何やってっかは知ってんだろ? Lサイズのスクラップが有れば十分だ』

『換金率高いからいっぱい有るけど、パーツ探すのも組み立てるのも時間掛かるし、例えパーツが揃ってて組み上げられたとしても、CBBで銃は撃てないでしょ』

『前に拷問した男が最後っ屁に使おうとしていたし大丈夫だろ。それにCBBで射撃する裏技くらい常識だろ』

『知らん。じゃあ銃器のLサイズスクラップ1スタックで3500万クレジット、端数は切り捨ててあるからちゃんとCBB通貨で振り込んでよ?』

『おい、(マメ)は?』

(モノ)に依るから、組み上がってから言いな? それくらい常識だろ? じゃまた』ブツンッ


「……チッ、足下見やがって、どうせ弾は別だろうし。えーと、7000万と弾金に500万出しとくか。く〜高ぇなオイ」


 30分後、退屈で鼻をほじったりして寝そべっていたアーサーが、この世界に来て初めてあんぐりと口を開いて驚愕することになる。


「待たせたなぁ、覚悟しやがれよ」ガラガラガラ


 カールがアレンの愛驢馬のガレオンゴールドに引かせて持ち出した物は"GAU-8"、本来なら航空機に搭載されている重ガトリング砲である。


「…………おま、お前らどっからそんなモン持って来やがった?! あ! イェンだな!? 換金用の鉄屑(スクラップ)だろ!?」

「正解♡。ちょいと改造の必要はあったが、ここの技術部の連中が喜んで協力してくれたぜ」

「クソッ、あの野郎〜」

「驚くのはまだ早いぜ〜、ビアンカ!」

「うっせー!! こっちの方をそのロバに引かせりゃ良かったろーがよー!!!」

「グギギギギギ!」プルプルプル

「ニャガガガガ!」プルプルプル


 遅れてビアンカとマヌゥ、そしてオリヒコが運んで来たのもまた同じGAU-8、だが少しだけ見た目が違った。


「ゲェーーー!!? 二連装砲!!!?」

「これも技術部の連中が喜んで…」

「言わんでもわかるよ! つうか今こんな所でインフレしてたら、後でネタ切れになっちまうだろーが!!」

「んなもん、テメエの心配する事じゃねーぇよ! お前ら下がっていいぞ、ロバもちゃんと連れて行け?」

「お役に立てて嬉しいです」

「ニャハー! クッソ重てえニャ!」

「ゼェゼェ……ここでグダってんじゃねえよバカ、まだやる事あんだろうが」

「ニャ! バカって言うニャ!」シャー!

「早よ行けアホ共」ガスッ!

「痛え!! へ、へい〜!!!」スタコラサッサ

「……いいのか? 撃ってる間に寝てる奴らを回収するんじゃなくてよ?」

「それもテメエが心配する事じゃねえ。準備は良いかビアンカ?」

「いつでもオーケ〜」


 アーサーは機関砲から延びる弾帯がカールとビアンカそれぞれの腰に下げている鞄の中へ繋がっている事に気が付いた。


「弾切れの心配は無さそうだな。うん、でもまあ三連装35mmガトリング砲とかよりはマシだよな」


 アーサーがちょっぴり現実逃避がしたくなってチラッとカール達より後方に目を向けると、中央棟の上階から双眼鏡で見下ろすギャラリーと目が合った。


「………ま、偉い人に俺達の有用性をアピールするっつー、昨日の延長線として張り切ってやりますかー」スラッ スッ


 アーサーの両腰から抜いた"剛剣・レイピア"はレイピアの名の通り、見た目は叩き付ければ簡単に曲がってしまいそうな細身の剣である。


「改めて言っておくが、"剛剣・レイピア"は俺が造った、俺の普段使い用のレイピアだ。んでもって、剛剣の名はハッタリj」

Burrrrrrrrrrrrrrrrrrrrrrrrrrrrrrrrrrrrrrrrrrrrrrr!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!


 高速回転する7本ある30口径の銃身から毎分約4000発もの徹甲弾を放つガトリング砲が3挺、アーサーただ一人に向けて一斉に火を噴いた。


「聞こえねーぇなあああ?!!! ギャハハハハハハハハ!!!!!」


 着弾直後からブルドーザーが蜂の巣になりながら押し流されて行く。濛々と立ち昇る土煙の中へアーサーの姿がかき消えていった。

(*☻-☻*)<ここのネタ切れ感?を払拭する為に、解説したい事を考えて来たZ!


 その4.紛らわしいルビについて


(@曲@)<上の眼鏡、見え難い。じゃなくて、具体的には"幽霊遁"のルビのことね!より正確には"幽遁"と"霊遁"。


(@∀@)<"幽遁"には『幽=スピリット』、"霊遁"には『霊=ゴースト』と言った具合のルビを振ってるんだけど、"遁"の字の存在の所為で読み方に混乱が生じる気がするのね。


(@-@<)<こんな感じかな?

(スピリット)遁…スピリットとん、スピリッとん

(ゴースト)遁…ゴーストとん、ゴースとん


(@_@)<語呂が良くない気がして、個人的には"スピリッとん""ゴースとん"って呼んでるけど、イェンはどっち?


「"ゆうとん"と"れいとん"」


( ゜д゜)<え?


「"ゆうとん"と"れいとん"。もう何?眠たいんだけど」


( ゜д゜)<・・・・・う〜ん。


( ゜д゜ )<よし!みんな、読み方は好きにしようね!今日はここまで!


「なんなの……?」

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