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C.B.B.NEW FACE  作者: 怠慢兎
第一章・顔合わせ
36/83

37.

 魔法で水を生成して自身を覆う事で爆風と熱波からの防御には成功した。だが、予想を遥かに越える高熱が水を瞬く間に熱湯に変化させる。

 重ねて悪い事に周囲の物質が溶解し、自身を覆う水を更に覆う形で逃げ道を塞いでしまっていた。


 死を覚悟して目を閉じ、次に開いた時、俺はアーサーから鳩尾への膝蹴りを喰らっていた。

 吹き飛んだリチャードの居場所を知りたいらしい。

 答えてやったのに、突き放す感じで立ち去りやがった所為で、背中を傷めてしまった。


「ゲホッ、……ッ」


 痛みを怒りで誤魔化してアーサーの後を追う。直進していたのとあの爆発でどこか怪我をしたのもあり、時間は掛からずに見つけることができた。


「…………………………オイ」


 アーサーは手に鉄板を持ったまま、足下の塊を見つめている。


「………」


 足下の塊は、真っ黒に焼け焦げ手脚のもげた人形に見える。恐らく、アレがリチャードの成れの果てだ。


「そいつはもう助からん。…………俺がとd」

「リッちゃん……お前、これくらい、いつもの事だろーが。でもよ、今日だけはいつもみてえにこのままくたばらせる訳にはいかねえぞ?」


 アーサーが俺の言葉を遮る。いや、呼び掛けに反応しないので、鼓膜をヤられて聞こえていないのかもしれない。


「もうそいつは無理だ、貴様いい加減…ぐ!?」


 近付く為に瓦礫に手を伸ばした所で激痛がぶり返す。全身が痙攣を起こして悪寒が背筋から末端まで走るが、なんとか堪えて踏み留まった。


 そうこうしているとアーサーは、リチャードに跨るようにして膝を突き、黒焦げの胸に致命の一撃を見舞った。


 グレイシャードの位置からではアーサーの背中しかよく見えない。なので悲鳴を上げる身体に鞭を打って瓦礫を登り、登り切って顔を上げると目の前で黒焦げの肉塊がブルブルと震えて泡を吹きながら、この世のものとは思えない声を上げて悶絶していた。


「貴様……!? 一体何をしたんだ!!?」

「……こんなに滅茶苦茶にしておいて、楽〜に死ねると思ったら大間違いだぞー? ………こっからは…地獄の観光ツアーだぜ。生きて帰るまでが………観…光………」ドサッ

「ハァ……ハァ………訳のわからんことをほざいてくたばるな! 死ねば貴様、ユウ殿との事は破産だぞ! オイ!」


 アーサーは、頭の穴という穴から血を噴き出して気絶してしまった。


§


(^ω^)換気扇じゃないコレ!?    回

「何だお前?」


(゜ω゜)ファ!!!? 誰?!

「グォ……!? 頭が…痛ぇ………」


( ・ω・)あんれま!君、見た事あるよ、知ってるよー

(喋るな! あ…頭が割れそうだ……!)


(ノ∀`)頭が痛い? 第三の眼が開いちゃうとか? ログアウトして再起動したら(なお)るんじゃね?

(開眼もログアウトと再起動も、出来たらやってるよ! ーークサッ!!? 気分悪ィ)ガクガク


(・_-)ん〜? あらら、泡吹いて痙攣まで起こしちゃってる。

(なんでもイイから、助けてくれよ!!!)


ピッ( •ω•)っ回 とりま換気扇付けて〜、目視してるし………ステータス……見れーーー〜〜〜〜〜おぉ! 見れそうね!

(死ぬ………)ビクンッビクンッ!


(^ω^)……………ふむ、CBBで"三酷使"使ったまま落ちたな? よりによってプリセット五の。高負荷スキル発動状態で(ゲームから)落ちると、次回起動時に最悪の場合神経外科送りになるから、寝落ち(レム睡眠)強制終了(エラー)時に初期化処理が入る筈なんだけどね?

 だけどこうしてCBBのステータス画面が見えるって事は、この空間もCBBの一部で、たぶん待機画面的なアレで、終了してない感じになってて、色々維持したままカムヒアなんだろうね。

「あぁ解除出来たぜ、ありがとよ。で? アンタ何者だ? 手抜きの1頭身アバターだけど、俺のステータスのスキル欄でプリセット内容まで確認出来るって………あ?」


(゜∀゜)あれ、天井高くなってる! 生首でも狭かったのに!

「アンタまさか………?」


( ・ω・)どれ、よっこい……


             ___

           /    |

          /   ・ω・) しょっと

         /      /

         /  ,   /

        /l  ;'   /:|

        | | | /| |

       / | /,:'" 'i |

      /  | |/   | |

     /  | |`;、   | |

    l  /| | l   | |

     |  | | | |   | |

     |  / | | |   | |

     l /  刈 l   刈

    / /    〉 〉

   / /    / / 

   | |    | | 

   |.|    |.|

   |.|    |.|

   L>    L>


「キモチワルッ!?」


             ___

           /    |

          /  ;ω; / 傷付くじゃない

         /      /

         /  ,   /

        /l  ;'   /:|

        | | | /| |

       / | /,:'" 'i |

      /  | |/   | |

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     |  | | | |   | |

     |  / | | |   | |

     l /  刈 l   刈

    / /    〉 〉

   / /    / / 

   | |    | | 

   |.|    |.|

   |.|    |.|

   L>    L>


「ああ悪かった。でも戻れ」


_(:3 」∠)_ちぇー、狭量だねぇー

「斬るぞコラ」


 (:3 」∠)_あ? 出来もしない事を簡単に口にするんじゃないよ?

「ほ〜」


 (:3 § ∠)_ ………(腕を組んでみる)

「…………」シュッ!


                   _ _     .'

          ∧  _ - ― = ̄  ̄`:, .∴ '

         , -'' ̄    __――=', ・,‘ 

        /   -―  ̄ ̄   ̄"'" .   ’

       /   ノ    ズ

      /  , イ )      ド

      /   _, \       ン

      |  / \  `、       !!

      j  /  ヽ  |

    / ノ   {  |

   / /     | (_

  `、_〉      ー‐‐`


「グハアッ!!!?」


(:3 § ∠)_ふぅ、やっぱりココに来てから身体の調子だけ絶好調だわ

「ぐぅ……くっ、今の一撃ヤバかったぜ。アンタやっぱり本体(オリジナル)だな?」


(^ω^)わかってて挑戦する所が流石だぜブラザー

「流石俺達の親父だけあって、俺の受けの技術がほとんど通用しなかったぜ」


(・ω・)え? オヤジ?

「生みの親で育ての親なんだから当然だろ?」


(´・ω・`)お前同い年…

設定(ロール)ではな、でもそんなの関係ねーよ。いや、なくはないか、キッチリとロールプレイしていてくれたお陰で、個性的な家族が居るみたいで毎日が楽しいよ」


(-ω-)"毎日が"ねぇ? 俺はまだココに来て1時間も経っていないから、楽しいとかあんまり実感が無いなぁー。

「何だって?」


_(:3 」∠)_しっかしー、俺はココに居るのに、キャラは独立して生活してるって何が起きているんだろうね?

「ちょっとすまねえ、親父はいつから、いや、ここに来る直前の記憶では何をしていたんだ?」


(・_・)……アプデ来たから新規で内容確認だよ。ビックリしたよ。アーサー、カール、ビアンカ、イェンが勝手に動いて会話して、でもちょっと感動したよ正直。

「それについてはお互い様だぜ。自分事だけど体感する全部が信じられねぇーって感じ。だけど背中を任せられる仲間と無償で見守りたい家族が同時にできて、親父には悪いけど何というか、今は生き甲斐が出来て充実しているんだ」


(^ω^)そうかい。ならこんな所でいつまでも油売ってちゃいけねーなー。コッチとソッチで時間の流れがだいぶ違うみたいじゃないの?

「らしいな。大体3日以上は向こうで過ごしているから、もう1〜2日は経過しているかもしれねぇ」


(・ω・)となると戻り方だけど、この空間がCBB(ゲーム)と同じなら、回復アイテム使えば良いんじゃない?

「だろうな。そうだ、普通に帰るのも味気ねぇーし、コイツで一献付き合ってくれよ」


(*゜∀゜*) "八塩折(やしおり)ノ神酒"!? あったねー! 味覚キャップ無視の脱法アイテム。運営が行政指導喰らって削除対象になったけど、NFT (非代替性トークン)にしてたから消されずに済んだヤツだー。

「俺のとカール、ビアンカの分で3つあるからな。リッちゃんには使う気にはならなかったけど、親父と呑むならコレが良い」トクトク


(-_-)ん? リッちゃん?

「あー気にしないでくれ、過ぎた事だ。………何に乾杯しようか?」


旦(´ω`)なら"生き甲斐"にしよう

「ありがとう。……生き甲斐に」クイッ


(^ω^)ノ日 生き甲斐に


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