34.:(^ཀ^):しかしヒトは不快に慣れるのだ
( ゜д゜) ………キーン……
( ° д ° ) ……………「空砲?」
( Ф Д Ф ) 「舐めてんのかこの野郎」クワッ
ドズンッ!
リチャードの手に握り込んだ五寸釘がグレイシャードの腹に突き立たる。だが釘は刺さらず、グニャリと曲がって服の表面に擦り痕を残すに留まった。
ガシィ! ギュゥウミシミシミシミシ……!
「本当だったんだな……貴様らの武器には防壁に対する功膜処理がほとんど為されていない」
「グウウゥゥゥ………うわあああ!? な、何だとォ?!」ミシッ メキッ ビキ
「魔法に対する備えが疎かだと言ってやってるんだ。ま、貴様らにとって魔道具は珍しい物なんだろう? 少なくとも武器については村長の道楽に付き合わねば、知る由も無かったがな」
「クソォ!」
ズドォ!
リチャードの蹴りがグレイシャードの脇腹に食い込む。しかし今度は吹き飛ばされずに踏ん張った。
「………舐めてるのは貴様の方だろうが」
ボキッ!
「ンぎゃあああああ!!!?」
リチャードの手首と肘の中間部分が'く'の字に折れ曲がる。
「俺の服は"宝玉の蛇竜"と呼ばれる強大な魔獣の鞣革を加工した逸品だ。釘如きで貫ける訳は無いが、功膜処理が為されていれば折れることは無かったろう」
「くぅぅ……何の話だ?」
「ん? 耳聞こえとんのか? ああ、反対の耳か。何の話かだと? 自慢話だよ」ギュゥ
それから数十回に渡りリチャードを殴打するグレイシャード。抵抗する力が弱まり、遂になくなってからも更に数回は殴った。
ぐったりと倒れ込んだリチャードをグレイシャードは厳重に縛り上げる。リチャードのズボンのポケットからはみ出している鋼線を引っ張り出して更にきつく縛る。
「…‥…この鋼線も貴様の臭いがプンプンする、俺でなければ引っ掛かっていたかもな。ノロマでなければ追い付けなかった」
ギチギチに縛られたリチャードが力無く横たわる。だが意識は失っていないようで、最小限の動きだけ口を開いた。
「…………この地下にはキノコが生えている。周囲の成分を取り込んで身を守る性質を持っている。」
「………」
突然話を始めるリチャードをグレイシャードは一先ず続けさせることにした。自身も一方的に話をしたので、口を動かすだけならば見逃すつもりなのだ。
「この"周囲の成分を取り込む"について、自然に生えている物は鉱物を取り込む傾向にあるが、人為的に周囲の成分を置換すれば任意の成分を簡単に取り込ませることが可能だと、この施設の資料には記載されていた。」
「それは"重鉄茸"のことか?」
「この取り込ませる成分は、自然物か人工物かに拘らず、固体をよく取り込み、更に可燃物であれば、より燃焼温度の高い方を選ぶ事が判明している。」
「フーン……」
「ここでは丁度、新型爆薬としてピクリン酸の研究が行われている。生産方法を確立してやれば、ゆくゆくはこの国での新型爆薬として猛威を振るうだろう」
「ほう…、キノコに爆薬を取り込ませるのか? お前のその身体みたいに?」
「キノコは研究対象としてまだまだ未解明の部分が多く、面白い物体であるが、ここに来てまだ日が浅い。兎角、成果を出して資金を引き出す為にも我々の技術を一部導入して早速試作品を配備させて貰った、こんな風に」
ガチィ! とリチャードが歯を噛み締めた。
するとリチャードの寝ている床がモコっと隆起した次の瞬間、
ドブゴオオオアオ!!
「うぎゃあああああああっはははハハ!!!!」




