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C.B.B.NEW FACE  作者: 怠慢兎
第一章・顔合わせ
12/83

14.(-ω-)さっきのは一体…?

「……………あの〜?」

「お嬢さん、ノックもしないで返事を待たずに扉を開けるのは感心しないよ」

「ぇ? あ! こご、ごめんなさい!」

「やり直し」

「ええ〜?!」

『ビアンカが茶番を始めた今のうちにカールを治療するぞ! ユウ! コレ使え!』

『合点………使い方分からないです!』

『そのまま中身をぶっかけろ!』


 手当ての甲斐あってカールの傷は治った。ちょっと臭いけど。


「……失礼します」コンッ ガチャッ

「アンタ何を聞いていたんだい!? まずノックして、用件を言って返事を待ち、入室を許可されてから入室するのよ」

「ほぇ〜成程〜」

「もういい、で? 何の用?」

「あ、グレイシャード隊長が呼んでおりますので、案内に参りました」

「だってさ、みんな行くよ」

「所で気の所為だったら失礼ですけど、どなたか怪我を…」

「そりゃ気の所為だ、多分お茶の香りだ、さぁ行こうー」


 案内された部屋に入ると、ガスマスクを装着したグレイシャードが、古傷が厳つい老人とその老人と顔がそっくりな老人と一緒に待っていた。


「君達がユウ一行か、何でも手練れの集団だと聞いている。まあまずはそこにお座り下さい」


 部屋の真ん中に机を挟んでソファが二つ据えられていて、向かって奥側のソファに二人の老人が座り、その後ろにグレイシャードが控えている。

 手前側のソファにアーサーとユウが並んで座り、その背後にビアンカとイェンが控え、カールは出入り口の脇に立った。頭上で回るファンがカールの角刈りとスレスレだったからだ。

 

「この御二方とは初対面でしょうから紹介させて頂きます。こちらはここ、コールロア村の村長、"シャイターン=サニタリー"氏です。そしてこちらはコールロア村の治安維持隊隊長、"イブリース=サニタリー"氏です」

「うむ、見ての通り双子の兄弟だ。では単刀直入に話そう、この近隣に出没する賞金首二名を捕獲してもらいたい。生死は問わずに賞金を払おう」


 シャイターン村長は一息にそう言うとソファにゆったりと身を沈める。まるで仕事は終わったとでも言う様に。

 そして依頼内容は予想の範囲内だったものの、単純に見えて結構難しい依頼だ。


「ふん、そうだなぁ、とりあえず情報も報酬も少な過ぎる。引き受けるかどうかで言えば断りたい」

「まあ待て、早とちりしないで貰いたい。報酬は一人につき5,000リール、二人とも捕縛すれば12,000リールを支払う」

「その金額の大小がよく分からない、田舎者なのでね。現物を積んでくれなきゃ、仕事に対する意気込みも無いでしょう?」

「都なら老舗ホテルのスイートルームに泊まれるぞ?」

「言葉遊びがしたいなら帰るぞ」


 アーサーが不機嫌を示して席を立とうとすると、イブリース隊長がニヤニヤしながら机の上に札束を置いた。


「クックックッ……シャイターン、平民とのお飯事(ままごと)じゃないんだぞ? まぁまだ座ってくれや、コレは当座の手付金の5,000リール、5人全員でこの村から都までなら乗合馬車で片道分と入都料、それから安宿なら1日分の宿泊費になるだろう。この村に留まるなら土地を買って一生住めるぞ、自給自足になるがな」


 札束を手に取ってペラペラと確認してみると、紙幣に印字された柄や翻訳機で判明した通し番号と使い古された感じから本物であると判断した。

 札束をユウに手渡し、ユウは札束を多少弄った後に机の上へ戻した。


「僕達は観光に来た訳じゃありません。恥ずかしながら祖国を失ってここに立ち寄らせて頂いたのは、"早とちり"の人違いで襲われた事に関しての弁明を聞く為であって、仕事が欲しいからではありません」


 シャイターン村長とイブリース隊長の表情が固まった。


「5,000リールが都までの旅費? 一人当たりが1,000リールで、盗賊は一人5,000リール? 僕は兎も角、四人を五倍や十倍の相手と戦わせたくはありませんね」

「そりゃ悪かった、もう少し色を付けよう…」

 バァン!!! メリッ!


 木製のテーブルにアーサーの五指がめり込む。


「さっきから聞いてりゃ舐めてんのか? 俺や後ろの連中ならまだしも、ユウの値段が俺達と同じってのはふざけるなよ。何より今の謝罪の言葉には我慢ならねぇ、それがアンタらの"早とちり"の落とし前かあ?!」

「アーサー、落ち着いて。都までの"食費"を除いた旅費が有れば、暫くはどうにでもなるよ。御二方の依頼は受けられませんが、この5,000リールで手打ちとしましょう」


 ユウが言い切って札束に手を伸ばすとシャイターン村長が慌てて札束を引き寄せた。


「待て待て!? 悪かった、この通り陳謝する」

「部下の失態で迷惑を掛けてしまった。誠に申し訳ない」


 シャイターンとイブリース、そしてグレイシャードの3人が頭を下げる。

 アーサーとユウが目配せ合って頷くと、ユウが謝罪を受け入れ口を開いた。


「貴方達の謝罪を受け入れましょう。では改めて依頼について話し合いましょうか」

「ごもっともで、先程述べた通り賞金首一人当たり5,000リールで両方討伐の暁には12,000リールを、其れとは別に成功報酬として50アールを支払いましょう」

「いや、アールとかリールとかよく知らないんですけど……」

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