偽物な彼女
どうやら、彼女は僕に隠し事をしているみたいだ。
何か、嫌われている風には思えないんだけど、どこか後ろめたそうにするんだ。
見た目も内面も僕からすると天使な彼女なんだけど、性格がとても奥ゆかしいんだ。
絶滅危惧種の大和撫子って言えばそのままなんだけど、いつも、半歩下がって、僕に気を遣ってくれている。
何度も、そんな気を遣わなくていいよって言っても、聞いてくれない。
そんな内面が特に愛らしい彼女が、隠し事をしているみたいなんだ。
僕何かが、全く釣り合わない程に素晴らしい彼女だから、やっぱり僕が駄目なのかな?
でも、聞いたら教えてくれるかな?
時々だけど、あんなにも寂しそうな瞳をされたら、僕まで泣きそうになる。
まだ、手すら繋いだ事がない僕達なんだけど、実は、彼女から告白されたんだ。
あの時の事は、今でも忘れられない。
古式ゆかしい方法で、後者裏に呼び出された僕は、夕日なんかにも負けない程に、頬を染めた彼女から小さな声で告白されたんだ。
靴箱に、封筒が入ってた時は驚いたね。
手を前で組みながら、もじもじと彼女は、経緯を教えてくれたんだ。
スレンダーだけど、組まれた腕の間で潰れる胸の破壊力は、凄かったよ。
ずっと気になってたんだって言われたけど、良く分かんなかったんだ。
今日は、彼女との3回目のデートだった。
やっぱり手を繋げなくて、焦れったかったけど、楽しかった。
でも、彼女の態度は少しおかしかった。
僕なんかより、もっと良い人がいるのかも知れない。
でも、彼女から告白した手前、分かれを告げにくいのかもしれない。
「僕と別れないか?、 僕といる事で、そんなに悲しい顔をされると、大好きな君だから、余計に悲しくなるんだ。」
「絶対に嫌よっ!、 私も大好きなんだからッ!」
「じゃあどうして、時々、そんなに悲しそうにするんだい?」
しばらく言い淀んでいた彼女だったが、意を決したかのように、叫んだ。
「私の胸は、偽物なのっ!」
「あなたが嬉しそうに見ていた胸は、パットなのよッ!。」
叫び終わった彼女はぽろぽろと涙を流し始めてしまった。
どう見ても晒し者にしている状況なのは理解していたが、僕の胸には別の感情が湧いていた。
涙を流し続ける彼女に近づくと、肩に手を置いて、腫れた大きな瞳を覗き込んで、僕はそのままの気持ちを伝えた。
「僕は、貧乳派なんだ。」
「絶壁幼児体系に近ければ近い程、大好物なんだ。」
その時の彼女のあきれた瞳は、あれ以来拝めていない。
読んで下さって、ありがとうございます。
書いてて、これほど空しくなるのもなかったです。
オチを考えて、走ったんですけど、つらかった。
明るいモノから、病んでるんじゃないの?ってのまで、種々雑多に書いてます。
「偽物」ってワードで、初めに思いついたのが、これでした。(吐きそう)