2-1 お茶
『お前将来なんになりたい?』
『クラール人たるもの科学者だろう』
『俺は教師!』
『そうか……僕は生徒の注目を浴びるのは向いてないだろうからな……』
「先生! ぼーっとしてどうしたの?」
目の前で手を叩かれ、ハッと我に返る。久々に奴の姿を見たせいで昔のことを思い出してしまった。
「カテキンの新着おかしいな」
「それカテキンちゃう、カチキソや」
「うわホンマや!」
「こら男子、授業中にタブレッティオ視聴るの止めなさーい!」
グリッタが注意すると、生徒はしぶしぶ自分の席に戻る。
「講師! ふせてください!」
バーン! 黒板に何かが当たり爆発が起きる。とっさに回避し防護魔法を張って無傷で済んだ。
「ティム・アスパル。教室内で爆発はだめでしょ」
「ランヴァーナのアネゴ、講師、すいません!」
正しい教育者の行動を学ぶべく、後ろから授業の観察をする。
「はーい皆さん席についてくださーい!」
授業を聞いていて、昨日のは出身星もあれど新参だったことでのレアケースなのだと実感する。
信頼を得るにはコツコツと積み重ねることが重要なんだな。
「授業は終わりです」
悶々と考えていたところで早くも授業が終了してしまった。
「いい目をしていますね。アナタ教師に向いてそうです」
「あ、どうも……眼鏡はしてますが……視力はいいほうで……」
同年代の異性に対する接し方がわからない。
「そういう意味で申し上げたわけではないんですけれど……」
視力のことがわかるのかと勘違いしてしまったが、どういう意味だったんだろう。
初対面相手に失敗した。早くどこかへ行ってくれ!
「先生! 一緒にビーチューヴァー視聴ましょ」
「ああ、失礼します」
◇◇◇