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『S・A・F』は最高の職場デス  作者: 春夏秋冬
出会いと別れ
8/16

7 初めての



「あ、あの……聞き間違いかもしれないなのでもう一度言ってもらってもいいですか?」

「うん、だから胸触らせてもらっていい? って」


 この人は何を言ってるんだろう。


「大丈夫。裸になってとかじゃなくて、服の中に手を入れてそこから胸を触るから」

「や、やっぱり私の体が目的だったんですね!?」


 これは……逃げなくてはっ!



 とにかく必死で距離を取ろうと走りました。

 フフ、魔力が無いからってシロを侮りましたね。

 これでも白狼族ですし!


「そ、それにしてもあの男、耳と尻尾を触って今度はお、おっぱいまで触らせろだなんて。よくよく考えたらおかしい話です。魔力を使えるように出来るなんて聞いたこともないですし! 嘘をついておっぱいタッチだなんて! シロは騙されませんし!」


 あの人間、やはりシロの体が目当てでしたね。

 まぁシロは初めからわかってましたよ。

 母上も言ってました。「男は皆狼なのよ。白狼族なんだから当たり前なんだけどね。でも、尻尾を触らせてあげたなら、しっかりその人に応えてあげないとダメよ」って。


 か、勝手に触られただけだから違うよね?


 そんなことを考えながら走っていると突然現れた大きな壁にぶつかってしまった。


「いてて、いきなりな……ん……い、嫌……」

「グルルル……」


 突然のことで、そのまま後ろの木にもたれかかる。


 シロはこの熊を本で見たことがあります。

 たしかアイアンベアー。

 とても獰猛で、集団で行動して獲物を狩る熊。

 その体はとても固い毛で覆われており傷を付けるのは困難。

 1頭みたら30頭はどこかに隠れていると思えって。


 母上、生きているならば先立つ娘をお許し下さい。

 もう死んじゃってたら、そっちに行くから待っててね。


 あぁ、そんなに大きく手を振りかぶらなくてもいいのに……せめて苦しくなかったらいいな。

 怖くて目を閉じて耳を抑える。

 何も見たくない、何も聞きたくない。

 死が迫る瞬間なんて見たくないし、自分の潰れる音なんて聞きたくない。


 ……おかしい。

 さっきから全然攻撃が来ない。

 か、考え直してくれた? いや、昨日の龍みたいに目をあけたらまた絶望するかもしれないし……



 そうしていると、予想していたものとは全く違う感覚が胸を襲った。


 ──フニッ


「ッッッ!?!?!?」

「【魔力共有(シェア) 】!!」


 そう聞こえて、シロは初めて魔力が体を流れる感覚と、胸を触られる2つの感覚を知ることが出来たのでした。


 これが、魔力?

 とても暖かくてふわふわして……気持ちいい感覚が体を駆け回るような。


「これで魔力を使えるようになったはずだな」


 目を開けるとそこにはアイアンベアーが倒れていたが、それよりも自分の体から溢れる魔力に驚いた。

 こここっこれは一体!?

 ていうか……は、恥ずかしいからそろそろ手をどけて下さいー!





「師匠ー! 師匠ー! すごいです! こんなに高くジャンプすることも出来ます!」


 襲ってきたアイアンベアーを片付けた。

 他にも隠れているようだが、ひとまずは襲ってくるやつだけ片付ければいいだろう。


 あれからシロは俺のことを師匠と呼ぶようになった。

 なんでかって? おそらく魔力が本当に使えるようになったことと、使い方を教えるとすぐにシロが使えるようになったからだろうな。

 どう教えたかって? そりゃあ、こう……バッてやってグッてやるんだよ! って言いながら襲ってくるアイアンベアーを殴り倒していった。

 シロも見様見真似で同じように出来るようになったからな!


「すごいです! こんなに動けるようになるなんて。村でもこんなこと出来る人はいませんでしたよ! シロはこの御恩を忘れません! 師匠に一生ついて行きますし! パ、パートナーですし! 子供は二人ですか!?」

「と、とりあえず落ち着こうか」


 目を耀かせ、とてつもない勢いで尻尾を振るシロをなだめる。

 今シロが口走ったパートナーだが、そう。

 今シロの腕にはアリスさんからもらったパートナー用の腕輪(リング)がはめてある。


 【魔力共有(シェア)】を使ったらシロからとてつもない魔力が溢れ出たからだ。

 それを抑える為に咄嗟に腕輪(リング)をはめたのだが、腕輪(リング)の説明をすると「パ、パートナー……」と何故か顔を赤らめていた。


「とりあえず俺は一旦帰るから、またここで待っててくれるか?」

「あ、はい。い、一緒に行けないところなんですか……?」


 シュンと耳と尻尾が項垂れる。

 ちなみに向こうの世界のことはまだ伏せている。


「そこを含めて確認したいことがあってな。動いてお腹も減っただろうし、すぐ戻ってくるからいい子で待っててくれないか?」

「は、はい! シロは師匠の帰りを待ってます! いい子ですし! だ、だからっ」


 そう言って頭をずいっと前に出してくる。

 撫でてほしいんだろうか。

 これじゃ狼というか犬っぽいな。

 いや、似たようなものなのだろうか?

 そう思い苦笑しながら頭を撫でると、シロはとても気持ちよさそうに目を細め、尻尾を大きく揺らしている。


 さて、戻るとするか。


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よろしくお願いします!

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