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『S・A・F』は最高の職場デス  作者: 春夏秋冬
出会いと別れ
15/16

14 語られる真実



 腕を組み俺とヤツの間に立ち塞がるように現れたのは、アリスさんだった。

 向こうもアリスさんのことを知ってる風だが……どういうことだよ。


「この人間を殺すのは私が許さん」


 チッとこちらに聞こえるように舌打ちをしたヤツは、腕に付けてある黒い腕輪で何か操作を始めた。


「何が許さんだ。許されんのは貴様の方だッ」


 そう言って、腕輪をこちらに向ける。


 その腕輪からはアリスさんの声……とよく似ている声が聞こえてきた。


『ド変態さんはまた約束を破ったなの。許さないの』

「な……ッ、待つのじゃ! アッキーはこっちに来たばかりで……死なせたくなったのじゃ!」

『アッキー? そんなの知らないの。ド変態さんがこっちに来たことも、その子に腕輪をはめたことも許さないの。これは3年間不干渉の刑なの』

「そ、そんな! あんまりじゃ!」

『そっちでは一瞬なの。知ってるの。それかその子の腕輪を外すかだけど、どうせそれは出来ないんでしょ?』


 ぐぬぬ、と言い返すことが出来ずにアリスさんは拳を握りしめて震えている。


「……3年間こっちには誰も来ないようにするのじゃ」

『そう、じゃあその子を置いてさっさと消えるなの』

「この子をどうする気じゃ」

『時期が来たら私が迎えに行くの。それまでは自由に生活させてあげるなの。話は終わったの。アオライちゃん、ニーナちゃん戻ってくるなの』


 腕輪からの声が消える。


「ハハハッ、我が主の前では無様だな! 絶対者の名が泣くぞッ!」

「……さっさと消えぬか」

「フンッ、行くぞニーナ」

「ま、待ってっすよアオライちゃんーっ」


 戻れと言われた二人も消えてしまった。



 ◆



 二人が立ち去った後、俺の前ではアリスさんが膝を付き申し訳なさそうに頭を下げている。


「勝手に出て来て悪かったのじゃ」


 俺として殺されそうになったところを助けてもらっただけなので、頭を下げてもらう筋合いは無い。

 むしろこちらが感謝しなきゃいけないぐらいだ。


「いや、謝らないでくれよ。助かった。ありがとうアリスさん。アリスさんが来なきゃ、間違いなく殺されてたと思うぐらいにアイツはヤバかった」

「……約束じゃ。あっちに戻るぞ」


 立ち上がり戻ろうとするアリスさんだが、俺は聞かなきゃならないことがある。


「シロをここに置いておくのか? 他にも……あぁクソッ、何が何やらだ。知らないことが多すぎて何から聞いたらいいのかわからん! なぁ、ちゃんと話してくれないとわかんねぇよ!」


 真っ直ぐに目を見るが、気まずそうに眼を逸らされてしまった。


「……その子は魔力がないわけではない。種類が違うのじゃ。その子なら魔導具の性能を何十倍にも引き出せる。だから『魔導国家ロンウェル』の中でも魔導具作りの盛んな北の町に行って強くなってほしかったのじゃ」

「『魔導国家』? ……そこならシロは大丈夫なのか?」

「大丈夫かはわからぬ……が、強くはなれる」


 大丈夫かはわからない……か。


「シロを連れて帰ったらダメなのか?」

「それはダメじゃ」

「こんな小さな子を「今は!! 私の言う通りにするのじゃ。その子はここに置いていく。帰るのじゃ」……帰ったら納得の行く説明をしてもらうからな」


 戻る前に紙とペンを持ってないか尋ねたら、アリスさんはどこからか出してくれた。

 その紙に『3年経ったら戻ってくる。ロンウェルの北の町で待っててくれ。魔導具を使う練習をしておくように』と書いてシロの腕輪と腕の間に挟む。

 言い切ることは出来ないが、これでシロはロンウェルに行って、そこで待っててくれるはずだ。

 それと、シロがこちらで困らないように金も置いておいた。

 しばらくはもつだろう。


 まだ目を覚まさないシロの頭をそっと撫で、俺とアリスさんはその場を後にした。



 ◆



「カナちゃんが来るまで待っておれ」


 それっきりアリスさんは黙り込んでしまった。

 カナの不在を問いただしてみてもうんともすんともだ。

 しばらく事務所は時計の音がカチッカチッと響くだけだったが、ようやく待ち人が現れた。


「授業中まで鳴らすのは止めて下さいって言いましたよね? バイブでもブンブンうるさいんですよ」

「カナぢゃああああん!!」


 何これはという顔でこちらを見てくるカナだが、俺も首を振るしかない。

 カナに宥められ、アリスさんは先ほどのことを話し始めた。



 ◆



「なるほど。で、私が授業中だったからアリスさんが行って、そうなっちゃったんですね」

「そうなのじゃ……」

「一応聞きますが、あの人に声はかけたのですか?」

「うむ。ダメじゃった」

「はぁ、あの人は……。とりあえず、アキラさんはもううち(エス・エー・エフ)の人間になったんですから、あの話からしてあげたらどうですか?」

「うむ……」


 あの人? あの話? 一体何のことだ。


「アキラさん、あんまりアリスさんを責めないであげて下さいね。こんなのでも、色々あるんですよ」


 首をかしげる俺にカナはそう言葉を投げかける。

 ちゃんと説明をしてくれればいいんだがな。


「私は神で、元々この地球には妹と一緒に暮らしておったんじゃが」


 うわまたなんか言い出したよこの人。



「妹は優しい子じゃったが、変わってしまった。私の元を離れ、自分の周りで遊んでくれる楽しい者たちを友達と言い、人間や獣人、動物など魔力の少ない生物は生きていても意味がないから殺すと言い出したのじゃ……」


 なんだその妹。

 ひどすぎるだろ……。


「ちょっといいですかアリスさん」

「な、なんじゃカナちゃん」

「口にガムテープ貼られて私が話すのと、ご自身でホントのこと話すの……どっちがいいですか?」


 え? さっきの話しは違うのか?

 そんなことは……とアリスさんが抵抗しようとした為、カナが説明してくれることとなった。



 ◆



 カナが話してくれたその内容はこの星のとんでもない昔の話で、聞いていくうちにアリスさんを見る目がゴミを見る目になっていくのが自分でも分かった。

 えー、悪いのアリスさんでしょこれ。


「わ、若気の至りじゃ! 今は反省しておる!」

「じゃあ妹にごめんって言えよ。さっき言えただろ」

「それは嫌じゃ!! 絶っっっ対に嫌じゃッ!!」

「だから言ったでしょ、真面目にやっても疲れるって」


 あの時カナが言ってたのはこういうことだったのかよ。


「てことはあれか? さっきのヤツみたいなのを全員倒せばアリスさんの勝ちなのか? 心情的に辛いんだが? ていうか俺の方が弱くて無理なんだが?」

「私がアッキー達を強くする! あいつらは妹を誑かしたのじゃ! 許される存在ではないのじゃッ!! 金が必要なら……ッ」

「アリスさん、もういいですよ。アキラさんがやらなくても私がいますから」

「か、カナぢゃああああん!!」


 ……なんでカナはそこまでアリスさんの肩を持つのかわからん。

 と、とにかく、なんでこんな仕事をやる必要があるのかはわかった。

 次はあれだ。

 さっき言ってたあの人のことだ。


「あぁ、精霊族を担当してるマキナさんって人がいるんですが、自分の担当関係じゃないと仕事来ないんですよ。そうですね……そろそろ怒っておいた方がいいと思うんで。──あぁ、明日は外出されるみたいですし一緒に会いに行きますか? ふふふ……」


 か、カナが怖い。

 ふふふとは言ってるが、目が笑ってねぇぞあれ。


「まぁ、どうせ3日は時間あるんですし、慌てても仕方ないですから」

「3日?」

「はい。3年不干渉と言われたのなら、こちらの時間で3日に出来ますね」


 マジかよ。

 あの時アリスさんの妹が言ってたのはこういう意味だったのか。


 っていうか、実質カナが全部話してくれてアリスさんなんもしてねーじゃねーか!



アリスさんの話は1話目の『昔々』になります!


面白かったや頑張れなど、評価いただけると励みになります!


よろしくお願いします!

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