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『S・A・F』は最高の職場デス  作者: 春夏秋冬
出会いと別れ
13/16

12 初めてのおでかけ



 今日もシロと追っかけっ子をしてる。

 あれから数日が経ち、かくれんぼ等も取り入れて魔力を抑えたり察知する練習をしている。

 俺は割と苦戦しながらだったのだが、シロはどれもあっさりとものにしてしまった。


「師匠のおかげです! えへへっ」


 そう言って、もっと褒めて褒めてーと頭を摺り寄せてくる。

 うん、凄く癒される。




 さて、今では身体強化的な使い方をメインとした魔力の使い方だったが、今日は違うことを試してみることにする。


 イメージするのはヤツマタのあの攻撃。

 あいつは湖の水を口の前に集めてそれを打ち出していた。

 魔力がイメージによる力が大きいのであれば、きっと出来るはずだ。


 グッと両手を上にあげ、目をつぶって意識を集中していく。

 そして湖の周りの空気が徐々に変わっていき、重力を無視して俺の手の上に集まって球体を作っていく。


 まずは第一段階だな。

 次はこれを打ち出すイメージ。

 倒れている木に向かって数発発射、連射、最後に丸ごとブン投げる。

 よし、辺りは散々な状況となったが、実験は概ね成功だ。


「し、師匠すごいです! これってあのヤツマタのやつですよね!?」

「そうだ。見様見真似だったんだが、上手くいってよかった」


 シロにも同じように試してもらったが、向き不向きがあるのかシロには上手く出来ず、手のひら一杯程の水が集まっただけだった。


「すみません、上手く出来なくて……」

「シロは身体を使った方が性に合ってるんだろう。向き不向きは誰にでもあるから気にするな。それに、身体強化に関しては俺よりすごいと思うぞ」


 耳をペタンと下げるシロの頭を撫でてやりながらいい所を褒めてやる。

 うむ、シロも喜んでるしこれでいいだろう。



 だいたいの魔力の使い方はわかった。

 そして俺は一度アリスさんの元に戻ることにした。

 現状報告と、確認したいこともあるしな。



 ◆



「なに? 今のアッキーの強さがどれくらいかじゃと?」


 目の前でアリスさんがうんうんと唸っている。

 そんなに難しい質問だっただろうか。

 どういう風に魔力を使えるようになったかを話していた時はご機嫌そうだったのだが、自分の強さはあの世界(イリス)でどれぐらいなのかと質問してから腕を組んで思案顔だ。

 俺としては死ぬ危険がある以上は自分がどんなもんなのか知っておきたいんだけどな。

 用心しておくに越したことはないし。


「そうじゃなー、まだまだ弱いしのー強いやつとかはまだ任せられんぐらいには弱いしのー」


 そうか……自分が規格外の化け物にでもなった気でいたが、どうやらまだまだ上には上がいるみたいだ。

 その他にも聞きたいことは聞けたし、シロの元に帰ろう。



 ◆



「ロンウェル……ですか? すみません、人間の国のことはわかりません」


 シュンと耳を下げるシロ。

 まぁ、シロからしたら外国なわけだしわからないのが普通だよな。


 地図を出す。

 先ほどアリスさんに確認したことだが、この『イリス』の世界には東西南北に大きく分けて4つの大陸がある。

 そして西の大陸に人族、北の大陸に獣人族、東の大陸に精霊族、南の大陸に魔族がそれぞれ暮らしている。

 この4種族とは別に魔獣や龍族がいたり、他の種族の地で一緒に暮らしたりする者も少なくはないみたいだ。



 目的地であるロンウェルの町は人族の大陸の北端に位置しているが、アリスさんからはこの島の近くのフェーンという港町に移動出来るように腕輪(リング)に場所登録をしておいたと言われた。


 ロンウェルに移動させてくれれば早いんだが、基本はいったことのある町にしか移動出来ず、フェーンへの移動も特別とのことだ。

 どこのロープレの移動魔法だよ。

 一応、フェーンという町からはちょっとした距離だが、魔力で身体強化すればなんとかなりそうな気はする。


 正直さっさとロンウェルに行ってこの研修を早く終わらせたい。

 アリスさんの口振り的に、おそらくだがこれが終われば何かしらの特典がある。

 それとなく聞いてみたが笑いながら「秘密じゃ」と返されてしまったのだが、たぶんなんかある。


 なので出来ればこのフェーンという町もサクッと出て、多少押してでもロンウェルに向かうことにする。



「まずはフェーンという港町に移動する。そのあとは陸路で走っていくなり乗り物を使うなりしてロンウェルに向かおう」

「わかりました!」


 元気よく返事をするシロの頭に手をおいて腕輪を操作する。

 その間もシロの尻尾は右へ左へ行ったり来たりでとても可愛らしい。



 そういえばシロの服装だが、いつもは動きやすい物を着ていたが今日は町へ行くと聞いて別の服に着替えるそうだ。


「どうですか師匠?」


 着替え終わったシロが感想を求めてくる。

 シロの服装だが体のラインに合った白色のワンピースに黒いタイツ履き、上から耳と尻尾を隠せるような赤茶色のローブを羽織っていて、それを腰に巻いた大きめのベルトで止め、茶色のロングブーツを履いているという格好だ。

 スパッツを履いた時と同じようにタイツを履いたらその感触にとても感動していた。


 俺はあまり女性の服装に詳しくないので組み合わせとかよくわからんが、シロは嬉しそうに選んでいたし似合ってると思ったのでそう答えてやると尻尾を振ってとても嬉しそうだ。


 そういえば尻尾はどうしているのか聞いてみたら、ご丁寧に尻尾を出す用の穴が服と下着に開けられていたらしい。

 アリスさんは仕事が出来る人だなぁ。



 ◆



 フェーンへ移動してみたら、そこは町の周りを囲む門の近くだった。

 町を背にしてみるとそこは平原になっており、風が気持ちいい。

 アリスさんからもらったコートを来てちょうどいいぐらいだな。



 人族の大陸は北側と南側に分かれている。


 魔力の強さや戦闘の強さがその人間の立場を決める南側と、物作りであったり商業が盛んな北側で、それを分ける為に存在するかのように大陸を東西に横断する山脈が存在する。

 獣人に対する価値観は南の人間はひどく、北の人間は気にする人はあまりいないようだ。

 南の人間は獣人を戦う道具や素材として見るやつが多いんだとか。

 逆に北側では一緒に暮らしたり働いたりというのも割と当たり前の光景らしい。


 ここフェーンの町は大きい港町の中でも北の方に位置し、獣人との繋がりもある町らしいのでシロがわざわざフードを被る必要もなさそうだが、念には念を入れて様子見した方がいいだろう。





 門を通る人の列へ並ぶ。

 あまり混んではいなさそうなのですぐに入ることが出来そうだ。

 しかしなんだ? さっきからやたら周りの人たちがこちらを見てくる気がするが……シロも視線を怖がってか俺の体にピッタリとくっついている。


「そこの大きな人ー! こっちきて下さいっすー!」


 おっと、いつの間にか俺たちの番だったか。


「すまない。周りの人たちがいやにこちらを見てくるなと思って気になってしまった」

「にひひ、そりゃあんたの来てるコートのことっすよきっと。それってあれっすよね? ちょっと前に繊維大国オーリンで発売された戦神カナエル様の服を模したやつっすよね? 噂は聞いてたけど私も見るのは初めてっすねぇ! あ、身分証か入国証出して下さいっす」


 ……戦神カナエル?

 知ってたり知らなかったりな単語が入り混じってるな。


 どちらかというとカナからは淡々と仕事をこなす子という印象を受けるし、別だろうか。

 ……それかあれだろうか、一人になると自分のことをそういう風に言ってこの世界でよろしくやっていたのだろうか……くそっ、アリスさんからもらってない情報が多すぎてわからん!


「は、ははは、そうそうカナエル様のやつなんだよ。で、身分証なんだが俺もこの子も無くしてしまって困ってるんだ。身分証がなんとかなればすぐにでもロンウェルの町に向かいたいんだけどな」

「ふむふむ、なるほどなるほど。にひひ、私ちょうど今から時間あるんで案内役になるっすよ! ちょっとそこで待っててください!」


 そう言うと受付をしていた女は俺たちを残してどこかに行ってしまった。

 案内してくれるのは助かるが、先ほどシロは受付の子のある部分を見ながら怖い顔をしていた。

 ……何事もなければいいんだが。



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