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『S・A・F』は最高の職場デス  作者: 春夏秋冬
出会いと別れ
10/16

9 犬耳の客人

 

 佐々木アキラ。

 28歳独身。

 身長192cm、体重98kg。

 右利き。

 今までについたあだ名はクマ、ゴリラ、etc……。

 頼み事をされたら断れない性格で、これのせいで今まで無理難題を何度も引き受けてきている。

 仕事を始めてからは忙しく、女っ気もない人生になってしまったが、現在は『S・A・F』のアリスに拉致られ、犬耳少女を助けることになった。

 都心部から少し離れたマンションの3階に住んでいて、最近はあまり部屋で過ごすが機会がなかったが、現在その犬耳少女と部屋に二人きりだ。


 熊の様な大男と小柄な犬耳少女はどうなるのだろうか……。




「とりあえず足を洗おうか」

「は、はい!」


 それと、風呂の用意もだな。

 で、お湯を溜めてる間に飯を買いに行くか。

 でもあれだな、俺の服じゃだいぶぶかぶかになるよな……。


「し、師匠!」


 背中からシロの叫び声が聞こえる。


「さ、さっきまで魔力が使えてたのに……これじゃまた、シロは役立たずで……」


 しまった……伝えるのを忘れていた。

 シロは自分の手を見つめて酷い怯えようだ。


「ここでは魔力は使えない。あっちに戻ったらまた使えるようになるから安心しろ」


 頭を撫でるが、魔力が使えない体に戻ってしまったことが相当怖いのかとても不安そうにこちらを見てくる。


 先に言っておけばよかったな。

 あれだけのはしゃぎ様だったし、よっぽど魔力が使えないことを気にしていたんだろう。


「ここでは魔力を使う必要はないからな。シロに一つお願い事をしてもいいか?」

「こんなシロに、ですか?」


 シロを連れて風呂場へ向かう。

 蛇口を捻ってお湯を溜めていく。


「この中にお湯を溜めてるんだけどな、この辺りまで来たらこれをこっち側に回して止めておいてくれるか? あと、これでお湯を掬って洗っておくといい」

「な、なんですかこれは!?」


 そう言って、実際にお手本を見せてやる。

 シロは蛇口や風呂場に目を光らせているが、大丈夫そうかな?


「じゃあ俺は飯を買ってくるから、それまで頼む」

「わ、わかりました!」




 家を出て会社に電話をかける。

 アリスさんがまだいてくれればいいが。


 お、繋がったか?


『なんじゃ、服が欲しいのか?』

「……色々とツッコミたいことはあるが、そうだ。たぶんサイズ的にもアリスさんと同じぐらいだと思う」

『いくつか部屋に送っておいたから適当に着せてやるといい。それとな、アッキー』

「なんだ?」

『入社祝いを振り込んでおいてやったから確認しとくんじゃぞ』

「え、そんなのくれるのか? 助かる」

『はははっ、私は社員想いだからな! また何かあれば連絡してくるがよいぞ!』


 入社祝いか、めちゃくちゃ助かる。

 前の仕事が安月給だったからなー、流石『S・A・F』さんは違うな。

 スーパーに行くまでにあるコンビニに立ち寄りお金を下ろそうとATMで銀行の残高を見て、俺は固まってしまった。


「残高が100万以上増えてる!? なんだこれ!?」


 俺はすぐさまアリスさんに電話をかけた。


『なんじゃ、少なかったか?』

「いやいやいやいや、なんだこれ。え、マジで言ってんですか?」

『本気と書いてマジじゃ』

「いや……入社祝いでこんな大金」

『まぁ気にするでない。好きに使え。相応の仕事をしてもらうことになるからの! それとな、アッキー』

「……なんですか?」

『女の子をいきなり連れ込むとは大胆じゃのぅ。夜は優しくしてあげるのじゃぞッ』

「……何言って『ガチャッ、ツー、ツー……』切りやがった」


 全く、シロにそんなことするわけないだろ。

 しかし何を考えてるんだアリスさんは。

 いきなり100万もの金を渡されても金額が金額なだけに素直に受け取れないぞこんなの。


 ……まぁ、今考えても仕方ないか。

 とりあえずスーパーに行こう。


 ──


 あれから近くのスーパーで食材を買った。

 何を作るかって? そりゃカレーだ。

 カレーはうまいし日持ちするから一人暮らしの心強い味方だと思ってる。


「帰ったぞー」

「おかえりなさい師匠!」


 玄関を開けるとシロが出迎えてくれた。

 玄関の狭さもあってかシロの尻尾が両壁をベシベシ叩くぐらいに勢いよく揺れてる。

 風呂を見てみるとちょうどいいぐらいにお湯が溜まっていたので頭を撫でてあげると、より一層尻尾の速度が増した。


「先に入らなかったのか?」

「べ、別に見たことがないものばかりで怖くて入れなかったとかじゃないですし! 師匠と一緒に入りたかっただけとかでもないですし!」

「いや俺は飯の用意がな?」

「い、一緒に入らない……ですか?」

「……じゃあ先にご飯の用意済ませるから、その後な」

「はいっ!」


 さて、アリスさんが服を送っておいたって言ってたしそれも確認しないと。

 洗面所においてないし、リビングか?


 そう思ってリビングのドアを開ける。


「……なんだこの量」


 そこには山積みにされた服や下着、靴なんかまで置いてあった。

 うん、アリスさんのすることをいちいち真面目に考えない方がいいのかもしれない。


「うわぁ、どうしたんですかこれ!?」

「シロ、お風呂から上がったら好きなやつを着ていいからな」

「ほんとですか!? ありがとうございます!」


 うん、シロも喜んでいる。

 それでいいじゃないか、うん。 





 というわけでカレーの用意を進める。

 炊飯器をセットし、玉ねぎ、ジャガイモ、ニンジン、肉を順番に炒めてから水を入れて煮込み、ルーを入れてさらに煮込む。

 ごくごく一般的なカレーなのだが、その調理中にシロにある事件が起こった。



 野菜を切る時は楽しそうに見ていたシロだったが、それを炒めようと火を付けた時だった。


「あ……ひ、火が……嫌……」


 怯え方が尋常じゃなかったので宥めるのに一苦労したが、村が襲われて燃やされ捕まってしまったことを考えるとこの反応は仕方ないんだろう……。


 離れたくはないようで、その後の料理している間は座り込んで足にしがみついていた。

 気を付けてあげないとな。

 しかし、こうやって見るとほんとに犬みたいだな。


「よし、出来たぞ。じゃあ風呂に入るか」

「は、はい! よろしくお願いします!」



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よろしくお願いします!

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