昔々
拙い文章ではあると思いますが、書いていきたいと思います。
お付き合いいただけると幸いです。
それは遠い昔。人間が生まれるずっとずっと前。
小さな双子の姉妹の神様がいました。二人は何をするにも一緒でした。
星とともに成長し、遊ぶ時も、寝る時も、ずっと二人は一緒でした。
妹は姉よりも弱くはありましたが、とてもとても可愛らしく、いつもお姉ちゃんお姉ちゃんと姉の背中を追いかけておりました。
姉もそんな妹が大好きで、とにかく二人は一緒でした。
そんな妹はある時姉に言いました。
「お姉ちゃん、動く遊び相手がほしいなの」
その言葉に姉は生命を作り出しました。
最初は喜んでいた妹でしたが、その生命は小さく、満足のいく遊び相手ではありませんでした。
「お姉ちゃん、もっと大きくて強い遊び相手がほしいなの」
姉は少し考え、妹が喜ぶよう大きくて強い生物を作りました。
これには妹も大満足でした。
毎日毎日、その強い生き物達と元気に遊びまわりました。
姉もそんな妹の笑顔が見れてとても幸せでした。
しかし、そんな日々も長くは続きませんでした。
「妹よ、なんでお姉ちゃんと遊んでくれないのじゃ……?」
「だってお姉ちゃんよりレックスちゃんとかワオンちゃん達と遊ぶ方が楽しいなの」
これには姉も怒ってしまい、隕石を落としてその生き物達を殺すと妹に脅しをかけます。
妹は嫌だ嫌だと首を振り、二人の溝は深まっていってしまいました。
「お姉ちゃんは何もわかってないの! あの子たちは何も悪いことしてないなの!」
「黙れクソ妹が! そんなにあいつらと遊びたければこうしてくれるわッ!!」
なんと怒った姉は星を2つにし、次元を切り裂いて妹とその生き物達のほとんどをそちらに追いやったのです。
「貴様なぞ知らん! そっちで好きにやれ!」
「待ってなのお姉ちゃん! 待っ……」
妹の叫び声は届かず、次元は閉ざされ、残ったその生き物達も姉の手によって隕石が落とされ絶滅してしまいました。
それから時が流れ、次第に姉は後悔の念に駆られるようになりました。
やりすぎだっただろうか。
妹は寂しがっているのではないか。
少し様子を見に行って、反省していたら元に戻してやろう。
そんなことを考えて妹の様子を覗きに行きました。すると……
「あははは、レックスちゃんに続いてワオンちゃんも魔力が使えるようになって良かったなの! え? 他にも魔力を使える子が増えたの? やったなの!」
妹はそれはもう楽しそうでした。
そんな妹を見て姉はグギギギと、何故自分がいなくても楽しんでいるのかと歯を噛み締めました。
どうにかして妹にもう一度近づけないか、素直に一声かければ片付いたかもしれない問題に、姉はうんうんと頭を悩ませました。
妹の様子を監視してまたしばらくの時が流れ、姉は気づきました。
妹の変化に。
「魔力の少ない子は生きてても仕方ないの。殺してあげないと可哀そうなの……」
姉の知っている妹は遊ぶことに夢中になることはあっても、生き物を殺すなんてことはありませんでした。
これには姉も居ても立っても居られず、妹に駆け寄ります。
「妹よ! どうしてしまったのじゃ!」
「え、お姉ちゃん!? なんでここに!?」
「そんなことはどうでもよい! 何故そんな、生き物を殺すなんて酷いことをするのじゃ!」
「え……もしかしてずっと覗いてたの? ……キモッ! 激キモなのッ! 何勝手に覗いてるのお姉ち……いえ変態ッ!! あなたなんかもう姉じゃないのッ! 変態ッ!! 覗き魔ッ!! 特大ブーメランッ!!」
姉の制止も空しく、妹の耳には届きません。
やいのやいのと姉妹喧嘩は続きます。どれくらい口喧嘩をしたでしょうか。妹がこう切り出しました。
「……ほんとにもう来ないでほしいなのド変態さん。わかったなの。私は殺さないなの。でも、私の友達は魔力の少ない子を殺しちゃうかもしれないの」
「そ、それじゃ何も変わらないじゃろ! それとド変態ではない! 昔の様にお姉ちゃんと呼ぶのじゃ!!」
「い・や・な・の!! 私は何もしないんだからド変態さんも手を出さないでなの。この世界は弱肉強食なの。弱いということはそれだけで可哀そうなの。悔しかったらそっちも友達を使って抵抗したらいいなの。ド変態さんがここに来れるってことは友達を送ってくることも出来ると同意だと思うなの。違う?」
「ぐ……ぐぬぬぬ、わ、私の友達がお前の友達を殺めてしまうかもなのじゃぞ!? お前の周りから誰もいなくなったらどうする!? それでもよいのか!?」
姉の必死の説得に、妹は指を頬にあて考えます。
コテンと首をかしげる可愛らしいポーズで、微笑みながら言うのでした。
「その時は────……なの」
「言ったな! 約束じゃぞ!」
こうして、長年にわたる姉と妹の戦いは始まったのであった。
これは、そんな姉妹と巻き込まれてしまった者たちの物語。
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