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い、痛い。痛いよぉ…………。
ぼくはその夜、身体中の傷と疲労で熱を出した。
痛いけど、もの凄く痛いけど、幸い死んじゃいない。
でも全身血塗れ。
なんとか血の臭いを消さなくちゃ。このままだと臭いにつられた敵に襲われちゃう。
そういう事はなんとなくわかるんだ。こういうのは本能ってやつなんだろうね。
ぼくは疲労と熱でふらふらしながら、村の側の小川に来た。
ここにはね、強い臭いの草が生えてる。もんで身体に擦り付けるのがゴブリン式だよ。
ぼくはその草を摘もうとして……あれれ~~?
ばっちゃぁぁんっっ。
目が回って小川に落ちた。ぶくぶくぶく……。
あ、まずいかも。水深は浅いけど、倒れたぼくは腕に力が入らず動けない。顔が水に浸かってて息できない。
やばいよやばいよ、苦しいよっ
でももう指も動かせないっ。
ぼく、今度こそもうだめ?
せっかく助かったのに。ここで死んじゃうのかなぁ。
ぼくはだんだん薄くなる意識で最後まで諦めきれなかった。




