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ある研究家の考察


その時私は、ただ茫然と立ち尽くした。


私は国の研究機関に所属する研究者だ。

長年その道に身を捧げ、それなりに名も知られた、第一人者と自負している。

その私が、長年研究対象として密かに保護・観察してきたものが、巣ごと荒らされ壊滅していた。


なんどいう事だ。

漸く数も増え、巣としての機能が期待されてきたところだったのに。

前回の調査では、胎児を抱えた個体が複数確認され、今回は幼体の確認ができると意気込んで調査観察に来たというのに。

私はガックリと肩を落とし項垂れた。人目がある為なんとか堪えたが、無ければ正直膝から崩れそうだった。


この保護・観察区域に何があったかは明白だ。

恐らく密猟者が巣ごと襲い、狩って行ったのだろう。ここに保護していたのはゴブリンだったのだから。


今世界にはゴブリンは勿論、魔物と呼ばれる種族は絶滅の危機に瀕している。百年以上前に世界中で大流行した魔物狩りのせいである。

冒険者を名乗る強者共が、我先にと挙って魔物という魔物を狩り尽くした。

結果、人々は危険な魔物に襲われる事は無くなったが、生態系が乱れに乱れ、世界はその様相を一変した。

今まで害とも思わなかった生物が繁殖し、畑や家屋に被害に齎す。素材として生活に活用されていた魔物の一部が手に入らなくなり、高騰、市場が荒れた。

世界は今、魔物の安全な復活を求めている。


そうした人々の渇望に国が立ち上げたのが、私の所属する「魔物研究機関」である。




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