ある雪山にて
猛烈な勢いで吹雪く山を一人の男が歩いている。
少し先を見る事すら難しい勢いで雪が叩きつけ、常人であれば、歩くことすら困難な状況であるにも関わらず、男はしっかりとした足取りで山を登っている。
「こんな吹雪になるとはな・・・」
男は、誰にともなく話し始めたが、周りには誰もおらず、当然返事はない。
「あぁ、もちろん感謝している。お前の力がなければこんな吹雪の山を歩くのは無理だからな・・・それで、奴はどこにいるんだ。雪も心配しているし、あまり遅くなると格好悪いだろ?」
男は相変わらず一人で話を続けている。
「そう言うな。それに《鬼》に関する依頼だ。俺がやるしかない。おい聞いてるのか?」
誰かへの問いかけの後、男は無言になる。吹雪の勢いは弱まることなく男へと襲いかかるが、それを気にした様子もなく進み続ける。
ほどなくすると目の前に洞窟が現れた。
「やっとか・・・この中にいるんだな? 全然プレッシャーを感じないが、本当にいるんだろうな。こんな所まで来て無駄足はダサい」
男は、洞窟の中に入り、真っ直ぐと進む。洞窟内には分岐はなく、やがて大きな曲がり角が見えてくる。
「この先か? 本当に何も感じないなんだが、間違いないんだろうな」
曲がり角の前で男は立ち止まり、先の様子を窺いながら誰かへと話しかける。
「それじゃあ、3つ数えたら一気にいくぞ。1・2・3!」
タイミングを取り、一気に曲がり角の先へと進んだ先で男が目にしたものは・・・