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短編 語られぬその後  作者: タタッタ
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Episode 2 浦島太郎




昔々浦島太郎という青年が助けた亀に連れられて竜宮城で乙姫から宴をもてなされました。

帰路にいたり浜辺で玉手箱を開けてしまったところから始まります。

 

 

浦島「……あぁなんと言うことだ…まさか…こん…な……」

 

 

そう言い残して浦島太郎はその場に倒れ込んだ。

一方、竜宮城では乙姫が浦島太郎のことを心配していたのだった。

 

 

乙姫「あの方は大丈夫かしら…。竜宮城に来た方には玉手箱を渡すしきたり…。こちらと地上では流れる時が違うから仕方ないのだけれど、きっとあの方は開けてしまわれたでしょう…。」

 

乙姫はひどく落ち込みそれ以来あまり外に顔を出さず、笑顔も見られないようになるのであった。

それを見かねた鯛の大臣はあるおふれを出すのである。

 

「乙姫様の機嫌をとれる者を求む。出来たものには竜宮での生活と莫大な富を与える。」

 

 

これを見た海に住む生き物達がゾロゾロと乙姫を喜ばせようと竜宮城へ足を運ぶ。また城にいる者達も躍起になってさまざまな召し物を出すのである。

 

 

ヒラメ「この私の腹踊りは如何でしょうか?」

 

マグロ「私の目玉をぐるりと回して見せましょう!」

 

タコ「この八本の脚と蛸墨で乙姫様の絵を描きましょう。」

 

 

どれも見ていて面白そうなもの、素敵なものであったが乙姫は全く関心を向けずただひたすら俯き椅子に座るのであった。

 

 

鯛「他に誰かおらぬのか!?このままでは乙姫様が死んでしまわれる…。」

 

乙姫は食事すらまともにとらない日々が続き、日に日に身体は痩せていったのである。

そんなある日一匹の亀が竜宮城へと来た。

 

 

鯛「あなたはあの時の亀では無いですか!よくぞ竜宮城へ参られました。」

 

亀「乙姫様が全く食事もされずに落ち込まれていると話に聞きました。私があの方を連れてきたが為に申し訳ありませんでした。」

 

鯛「いえ、あなた方が連れてきて下さったあの方がいた時は素晴らしく乙姫様は毎日笑顔でした。今まで一番だった分今回の事に繋がったのでしょう。」

 

 

鯛の大臣はあの時の亀が来たのに希望を持った。

またあの亀が乙姫様に素敵な笑顔を取り戻してくれると…。

しかし、それは儚く打ち砕かれるのであった。



亀「今日は乙姫様にお別れを言いに参りました。私はもう年ですし地上で卵を生み生涯を終えようと思います。最後に一目乙姫様を見ようと伺った次第でございます。」

 

鯛「そうですか。残念ながら今乙姫様は体調を崩されベッドに横になっていて現在誰ともお話できません。来ていただいたのに申し訳無い。」

 

亀「いえ、それでは乙姫様に宜しくお伝え下さい。」

 

 

亀はそう言うと地上へと泳いでいくのであった。

そして地上に出た亀は砂浜で産卵を終え、海に戻ろうとするところ複数の男が近付いてきた。

 

男A「お、ちょうど亀が卵産んだみたいだぞ。よし今日はこれを売りに出そう!」

 

亀は人間の言葉を聞き驚愕したが所詮は亀…何も出来ないのである。

 

男B「この亀どうする?」

 

男A「もう用は無いからな…ひと思いに殺しとくか。」

 

 

亀は産んだ卵すら守れず自分の生涯を閉じることになると静かに目を閉じた…。


??「その亀と卵をこれでワシに譲ってくれんか?」

 

 

1人の今にも倒れそうな老いた男が手に持った金貨の束を見せながら言った。

 

 

男B「亀と卵譲るだけでその金貨くれんのか?」

 

男A「よし、その金貨でやるよ!」

 

 

そう言うと男達は金貨を老いた男から奪いとると喜びながら駆けていった。

 

 

??「ワシは亀に夢を見せてもらった…。これでおまえさんは自由じゃ、どこへでも行きなされ。」

 

 

亀は人間に二度も救われる人生に感謝しつつも男にどことなく懐かしさを感じたのだが、亀にはその訳が分からなかった。

 

 

亀「助けてくださりありがとうございます。これくらいしか私には出来ませんが竜宮城へ御案内致します。私の背に乗って下さい。」

 

 

老いた男はよろよろと亀にまたがると、亀は海の中へと潜っていくのであった。

 

 

          つづく?



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