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Episode 1 桃太郎
昔々あるところに桃太郎という1人の青年がおりました。お供に犬猿雉を連れて鬼ヶ島へ鬼退 々桃太郎と 治をしました。今は帰路についたところから物語は始まります。
桃太郎「本当にみんなありがとう。みんなのおかげで鬼退治が出来た。お爺さんお婆さんに良い報告が出来るよ。」
桃太郎は感謝の言葉をお供である三匹の動物に対してのべるのであった。
そして三匹との別れの時…
桃太郎「僕は一生君たちを忘れない。共に戦った勇敢な友の事を…。」
そう言い残して桃太郎はお爺さんお婆さんの元へと帰って行きました。
猿「…行ったか。」
雉「えぇ…桃太郎さんは素敵な方でした。自らの危険を省みず鬼退治をするなんて。」
犬「確かに桃太郎は凄い奴だ。鬼の財宝を独り占め出来るのにそれをせず、村人たちに配るみたいだしな。吉備団子目当てに近付いた俺からしたらな。」
各々は短い付き合いであったが桃太郎の事を慕い、自分達にとって素晴らしい存在であったと改めて認識するのであった。
そんな中、1人の…いや一匹の発言が大きな波紋をもたらすのである。
猿「…桃太郎は凄ぇ奴だった。なんせ人間如きが刀一本で鬼とやり合うんだからな。まぁ桃太郎と俺様1人いれば鬼退治は十分だったがな。」
犬「それは聞き捨てならないな。俺には立派な牙と爪があるが、何も持たぬ猿ごときが桃太郎のお供にさせてもらえた方が驚きだよ。」
猿の発言に対して犬は憤りを感じ、猿に対して挑発するかのような態度をとった。
雉「まぁまぁ皆さんそれぞれに活躍されてますから良いじゃないですか。」
雉はその場をなだめようとするが、それが更にこの状況を悪化させるのであった。
猿「鬼ヶ島に行くのに船も漕げない奴が役にやつだと?それにただ飛んでただけの奴がさも私は役に立ってました…とでも言いたいのか?」
犬「確かに雉は空を飛んでるだけだったな。そんな奴が役にたったとは言えないよな。それに武器もないから鬼退治もろくに出来ないしな。」
これに対して雉は冷静さを多少欠きながらも反発する。
雉「確かに私は船を漕ぐことは出来ません。しかし、私は空から鬼ヶ島までの道を知り案内しました。それに鬼退治にしては私の爪と嘴で多くの鬼を懲らしめましたよ?」
猿「雑魚をいくらやったって意味ねぇよ。俺様みたいに桃太郎に背中を預けて赤鬼を狩るくらいの活躍がないとな。」
ここまでくると話はどんどんヒートアップしていくのである。
犬「猿だけじゃ危なっかしいから桃太郎が守ってくれたの間違いだろ?雉にいたってはまるで致命傷与えられてねぇし、俺みたいに1対1で巨大な青鬼を倒す位じゃなきゃな。はぁ…どう考えても俺が一番活躍したな。」
猿「なんだと!?俺様のパワーがあれば守りなんて余裕なんだよ!青鬼なんてただの木偶の坊じゃねぇか。あんなの雉ですら倒せるね。」
雉「雉ですらですって!?私がどれだけ貢献しているかご存知無いのですか?私が鬼のバランスを崩しているからこそあなた達が退治出来たんですよ?自惚れもいい加減にしなさい!」
ここまでくるともう互いに罵倒するだけで協力して鬼退治をしたのが嘘のようである。
猿「一匹も鬼を退治出来ない雑魚が偉そうにするんじゃねぇよ。桃太郎の次に多くの鬼をやった俺様が一番だ!」
犬「雑魚をいくら退治しても意味無いんじゃ無かったのか?所詮猿や雉ごときの活躍たかが知れてる…俺がお供では一番だ。」
雉「あなた方の目は節穴ですか?桃太郎さんは鬼を退治していましたが一匹とて殺めていません。それすら分からずにただひたすら攻撃し続けるあなた達が一番活躍した訳ないじゃない!お供で一番は私です!」
もうお互いに一歩も引けず、譲らず、誰が一番なのか…そんなたわいもない事で争う三匹であった。
そこに終止符を打たんと犬が言う。
犬「…じゃあ誰が一番活躍したのかここではっきりさせようじゃないか。」
猿「いいねぇ…。まぁ誰がなんてやらなくても分かりきったことだがな!」
雉「あなた達なんかに私は負けないわ!」
こうして三匹による無意味な戦いの幕がきっておろされたのであった。
つづく?