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閑話 下僕ができました

次は、18時投稿です。

ブックマーク30件ありがとうございます。


 



 大会が終わって3日後、俺は報復対象達を抹殺すべく、行動を開始した。


 まずは実行犯のシャークス(サメ)だ、こいつはすぐに見つかった、治療院―――ノエルの所にいた、さすが守銭奴、やる事やってた―――から拉致すると、予め用意していた開催場所(・・・・)に拘束しておいた。


 エルライドから第一王子だけは殺したらダメと言われていたから、他の連中しか殺すしかない。


 それから4時間後、俺は武芸大会において工作を仕掛けた計58人の工作員、またはそれに関わった貴族達を拉致して、一箇所に集めた。


 スラム街の連中まで関わっていて、


 明日の朝になればこの汚い連中が一斉にいなくなって、王都を蜂の巣を突っついた大騒ぎになるだろう、今から想像するだけでも楽しくなってくるな。


 少々場所が手狭だけど、すぐにどうとでもなる。


「きっ、貴様、ここはどこだ!!

 わ、我々に一体何をした!?」


「こ、こんな事をして…た、タダで済むと思っているのか!?

 我らを誰だと思っている!?」


 等々、似たような事をグルグルグルグルと同じ事を言っている、語彙のレパートリーが乏しいなこの汚物共は。


 1枚あたり金貨10枚はするだろう高級な服を汚物が纏っているというのは、前世でもそうだったが、金ってある所にはあるんだなぁ、という感想だが、一々聞いてやるつもりはない。


 さて、そろそろ始めるか。


「はーい、今日はこのユーリ・ミツミネの強制報復イベントに集まって頂いて、ほんっとうにありがとうございました!!

 いやー、お前らが自分の家にいてくれたおかげで、探さずに招待出来たんだからな」


「な、なんだと!?」


「ぶれいなっ、混血の分際で!!」


「てめぇ、俺達がいったい誰だか分かってるんだろうなぁ、ああっ!?」


 一部俺のことを知っていて吠えてる汚物がうるさいが、特になんとも思わない。


 何しろこれから死ぬ存在だ恨み事の一つや二つ言いたくなるのも無理はない。


 最初は全員を拷問しようと考えたんだが、これは俺の魔力が減ったりするだけで、満足も出来ないので却下。


 するなら徹底的に、かつ、残酷に、そして愉快に終わらせなければならない。


 そうでもしないと、ハロルドさんに対してあんな事をしたこいつらをあっさりと殺すなんて事をしたくない。


 いや…あれ(・・)次第だから、あっさりと殺すかわからないか。


「シャークス、何をしている、早く我らを助けるのだ!!」


「何のために雇ったと思っているのだ、我らを守るためだろう!?」


 あれ、そうだったの?


 てっきり今回の大会で優勝させる為に雇ったと思っていたんだけど、違ったんだな。


「まぁいいや、どうせこいつは魔法なんて使えない、使おうとしたらその度に爪とか皮とか耳とかが裂けるからな。

 こいつの水魔法は強力だけど、所詮は小回りが少し利く程度の大砲だ。

 一発放つのに手間と時間がかかるんだから、その都度痛みを与えて邪魔すれば良い。

 それじゃあはじめようか、楽しい楽しい、魔宴(サバト)の時間だ」


 俺は予め地面に展開させていた召喚陣を起動した。


 闇魔法と言うのは本当にすごい、アドルフのくれた魔道書によると、限定的だが、闇魔法には召喚魔法も含まれていた。


 召喚、つまりこの世界、あるいは異世界から何らかの存在を呼び出す秘術の一種だ。


 それがこの闇魔法にある、この世界でもトップクラスの秘術の一角、召喚魔法。


 まぁ、悪魔(デーモン)限定というのは、俺の称号にある『魔王』らしいっちゃあ、らしいんだがな。


 召喚の魔方陣は綿密に書き込んだ、コンパス無いのに綺麗な円を書くのとか、何十回と失敗してるからな。


 他にもよく分からない記号とか、文字とか書き込んだんだが…俺、召喚魔法について多分理解出来ていないと思うんだが、本当に出てくれるのか?


 …出てこない場合、軽く甚振ってから終わらすか、興醒めになって最後まで根気よく続けられる気がしないし。


深淵(アビス)に住まいし同胞(はらから)よ、我が声に応えよ

 供物を捧げ、宴を開こう

 悪威を魅せ知らしめる者よ、踊れ、謳え、舞うのだ、我が前に顕現せよ!!」


 生憎と、俺には悪魔の友人なんていないからな、召喚のイメージは『強くて召喚主に忠実な悪魔』とまでしか出来ない。


 魔法陣に魔力をありったけ注入していく、正直手駒が欲しいからな、こんだけ手間かけたんだ、それくらいの報酬が無くては困るんだよ。


 来ない…来ない、出てこない。


 魔力を3分の1以上も供給しているが、まるで出てこない。


「な、なんだっ、いったい、何をしているのだ!?」


「や、やめ、やめてくれっ!!」


「わしがわるかった、ゆるしてくれぇっ!!」


 うるさい…うるさい、やかましいんだ…よっ!!


 クソ…半分近くやったのに…出てこない。


 こう…なりゃ、ヤケだ。


 こい。


 こい。


 こい。


 こい。


 こい。


「―――来いっていってるんだよ、下僕どもぉっ!!」


 魔法陣から俺の魔力以外の別の魔力が溢れ出す。


『…ワタシを呼んだのは…貴方ですか?

 小さな魔王陛下?』


 不愉快な声が聞こえる、なまじ耳障りが良いとなると苛立ち倍増だ、くそ、俺好みの良い声しやがって、悪魔は『誘惑』を司るって言うが、これは酷い。


「…姿を見せろよ、クソ悪魔、魔力供給今すぐ切って送還するぞ」


『―――おお、それは怖い、ならばワタシも姿を見せましょう』


 魔法陣から黒い霧が噴出した、なるほど、演出が悪魔らしいな、見栄を張るなよ、悪魔の分際で。


 現れたのは、俺より遥かに背の高い黒髪の…のっぺらぼう(・・・・・・)


「…なるほど、俺の内面を検索中って事か。

 俺好みの顔を見つけたらそこに埋めるっていうことだな?」


『ご明察です、小さな魔王陛下。

 それにしても、貴方は実に面白いですね。

 なるほど…ほう、これは』


 念話の類か、頭にずっと響いてくるのは。


 あと内面を覗いてんじゃねえよクソ悪魔、核ごと消し飛ばすぞ?


『む…それはまずいですね、これ以上の不敬はさすがにまずいですか。

 平にお許しを、小さな魔王陛下』


「…3度目だ」


『はい?』


 悪魔が首を傾げたクソ悪魔だが、ちっとも可愛くない、磨り潰したくなってくる。


 本当に分かっていないのか、こいつ?


「俺はまだ11歳なんだよ!!

 だから、俺の身長はフツウ!!

 普通なんだよ、どいつもこいつも小さい小さいとウダウダウダウダ言いやがって!?

 …俺の事を魔王と言ったな下僕?

 下僕風情が…少しは言葉を選びやがれ!!」


 闇魔法の中でも特に近い力を呼び起こした。


「世に満ちし汚濁よ、澱みよ、憎しみよ、穢れよ、我が意において一切を堕とし込めろ!!」


 悪魔だろうし、闇魔法の耐性くらい持ってるよな?


 少し反省しろよ。


 俺は魔法陣の魔力供給をカットして、クソ悪魔に魔法をぶつけた。


『ぐぅっ!!

 これは…すごい、悪魔であるワタシの穢れ以上のものを叩きつけるとは…さすがは、魔王…陛下。

 この力量…初代魔王陛下に匹敵…しますかな?』


 倒れずに悶えている姿がキモい、本当にキモいが、ここまで手間をかけて殺すのも割に合わないんだが…どうしようか、殺したくなってきたんだが。


「おーい、さっさと本題に入ってもいいか?

 お前を召喚するの面倒になってきたんだが」


 なんか話が逸らされたが、もういいや、召喚出来る事は分かったんだし、今回がハズレで次回に期待すれば―――、


『お、お待ちを陛下!!

 も、もう致しません、致しませんので、どうかお話を!!』


 ようやく慌てだしたか、ちょっと俺の魔法で汚れたが、そこは気にしない。


 悪魔は身構えているので、俺は本題に入ることにした。


「今日はお前に契約を結んでやろうと思ってな、喜べ、俺自らお前と契約してやる。

 俺の直属の部下になる栄誉をくれてやる、受け取れ」


『それは…本当に、でございますか?』


「疑うのか?

 俺の内面は分かってるんだろう?

 なら、そういう事だ、俺には手駒がいるんだよ。

 使い勝手が良くて忠実で、何よりちょっと俺が本気で魔法ぶっ放しても死なないクラスの下僕がな。

 その点、お前は合格だ。

 少しばかり舐め腐った態度を取っているが、その辺は調教してやる」


 しょうじきこいつないわー、とは思うが、まあ仕方ないな。


 疑っている悪魔は口に出して言わないと不安だったみたいで、俺が認めてやると顔は無いが喜んでいるようだった、あ、言質取った意味で必要だったんだな。


『あ、ありがとうございます、我が主よ!!

 ああ、苦節6200年、ようやくワタシの時代がやってきました!!』


 ……そうか、ずいぶんと年上な下僕だな、敬老精神が反応しない辺り、労わる必要は無いか、うん。


「じゃあ最初の命令だ。

 こいつら(・・・・)を全部喰え。

 こいつらを平らげる事で、俺とお前との契約は始まる」


 そしてこの状況を見守っていた汚物共が騒ぎ始めた。


 本当に悪魔が現れたと、現実が追いついてきたのだ。


「ひ、ひぃっ!!」


「や、やめ、やめろ、やめてくれぇっ!!」


「く、く、くるな、くるなああああああああああアッ!!」


『お任せを、我が主!!』


 悪魔が喜び勇んで汚物に襲いかかった。


 悲鳴が聞こえるが、俺には何の罪悪感も感じない。


 にしても悪魔か…本当に便利な奴だな、俺の魔力量から見て、あと1体が限界だが…2体も使役すると扱いが面倒くさそうだから、こいつで慣れてからだな。


 俺の魔力量は今も順調に増えている、まだまだ成長期なんだからな、身長もそのうち伸びる筈…だよな?


 逃げようとする汚物も切る斬るキル、皆殺しだ。


 俺が喜ぶとでも思っているのか、随分と痛みが続くような殺し方だ、嬲り殺しと言ってもいい。


 まぁ、喜ぶのは確かだな、返り血も付かないように配慮してるし、やれば出来るじゃねえか。


「あ、そうだ、良い事を考えた」


 スパイを作ろう。


 エルライドの為に、なるべく早く、確実に王になってもらう為に、こいつを第一王子側に送り込もう。


 うんうん、それが良い。


「おい下僕、1匹…そこのサメ野郎を残しておけ。

 いや、魂は食ってもいいが、肉体は綺麗なままだ。

 お前にはこれから、そいつになって情報を流してもらう」


 こいつなら自由行動もかなりできるだろうし、戦闘能力も俺に負けたという事を除けば腕は一本無いが、それでも指折りの実力者だ。


 受肉しろというと、悪魔が更に歓喜して礼を言ってきた。


 悪魔がこの世界にいる為には、まず肉の体が必要らしい。


 何でも、維持する為の魔力を抑えるからだとか、なるほど、召喚された時は裸で来ているっていう事か。


「魂も美味しくいただきました。

 ウフフ、陛下、ワタシはアルベルトと申します。

 我が忠誠を陛下に捧げます」


 肉体に入り込んだ下僕、もといアルベルトが跪いた。


 あんまり良い気分はしないな、あのクズに傅かれても嬉しくともなんとも無い。


 …今度理由をつけて殴ってみるか。


「それじゃあアルベルト、お前はこれから…えーと、そうそう、シャークスに成り代わって、第一王子側へと接近、なるべくあのクズに近しい立場になって情報を流せ。

 あとむやみやたらと殺すなよ、今回は特別に殺させたが、殺す時は俺の許可を取れ。

 よし、いけ」


 いきなり王子をぶっ殺したとかはなしだ、後々エルライドの不利になる事は避けないといけないからな。


 …となると、やっぱり貴族にすればよかったか?


 大々的に第一王子の味方をして、不穏分子を一箇所に集めてから、王様に剣を向けたりすれば…国家反逆罪で処理出来る気がするが。


 別にこの国の王様を殺さずとも、そういう事実さえあれば先に殺せば済むし…ちょっと、惜しいことをしたかも。


「ははっ、見事務めを全うして見せます!!」


 アルベルトがその場から消えた、どうやら影を使って転移したようだ。


 ステータスもかなりのものだったし、良い拾い物をしたかもな。


 4属性以外にも、闇、精神含めて平均値が80越えとか性格はあれだが、魔界でもかなりの実力者なのかもしれないな、変だったが。


「さてと、あとは死体をこの場から無くせば終わりだな」


 俺は空間魔法でバラバラになった死体を王都から少し離れた森へと転移させた。


 あとは魔獣が処理してくれるだろう、思わぬご馳走に感謝しろよ?


 眠くなってきたし、寝るとするか。


 俺はその場から去ると、いつも泊まっている宿屋へと戻った。


 その日は暗殺者も何も来ず、充実した睡眠時間が取れた。




読んで頂き、ありがとうございました。

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