第28話:ツンデレ乙
第28話です。どうも2014年初の投稿となります。お待たせしてしまい申し訳ありませんでした。相変わらずの不定期&亀更新ですが、どうも今年もよろしくお願いいたします。……今さらですよね、この挨拶。
6月の下旬になって雨の続く日々がようやく終わった。そして、久しぶりに晴れの日続く日が来た。
あぁ…久しぶりだね…お日様…皆すごく会いたがっていたよ。でもね…もうすぐ夏が来るの…そうなるとお日様の光が暑くて厄介になっちゃうからせっかく出てきたのに…ちょっと複雑な気持ちだよ。ごめんね、お日様。
私は朝食を食べながらそんな訳のわからないことを思っていた。
「お姉ちゃん? どうしたの?」
そんな考え込んでいた私に雪華が声を掛けてきた。
「えっ?」
「ボーっとしてたよ? 大丈夫?」
「うん、大丈夫だよ。」
私は心配させないように笑顔で雪華に答えてあげた。
「…ほんとお姉ちゃんって無防備っていうか危ないよね。」
「えっ? 危ない?」
「うん、お姉ちゃんのその笑顔は危ないよ。他の人が見たら一撃ノックアウトだね。」
訳が分からない…何、一撃ノックアウトって…。
「桜花は凄く可愛いからしょうがないわよね〜♪」
母さんが雪華が食べ終わった食器を洗いながら言った。
「母さんそれ毎日言ってない?」
「本当のことだからしょうがないじゃない♪」
「…何でもしょうがないで済まさないでよ。母さん。」
これが私のいつもの朝食風景だ。朝から他愛の無い会話をしているけど嫌じゃない。むしろ家族とこういう会話ができてると思うと楽しい。
「全く母さんは相変わらずなんだから…ごちそうさま。」
「はい、お粗末様でした。ほら、二人ともそろそろ学校に行く準備しないと遅刻するわよ。」
「「はぁ〜い。」」
私は学校に行く準備をするために二階にある自分の部屋に入った。
女の子になって三か月ちょっと…この部屋は男の頃のままだ。
「…女の子みたいな部屋に模様替えとかしたほうが良いのかな。」
というか女の子みたいな部屋ってなんだろう。一番身近にある女の子部屋は雪華の部屋だけど…入りずらいんだよね〜。今日光里にでも聞いてみようかな。
「お姉ちゃん模様替えしたいの?」
「ひゃっ!? 私、声に出して言ってた!?」
「ううん、お姉ちゃん部屋の家具を見ながらボーっとしてたから。今日のお姉ちゃんボケーっとしてるね。何かあったの?」
「何もないよ。雪華の言うとおり模様替えしようかなって考えてただけだから。」
「ふ〜ん…なら良いけど。どうして急にしようと思ったの?」
「どうしてって……どうしてだろ?」
特に理由はないけど…少しは女の子らしい部屋にした方がいいのかなって思ったからかな? …って
誰に聞いてるんだ私は。
「皐一さんのため…とか?」
「な、何で皐一が出てくるの!? 別に皐一は関係ないでしょ!?」
「お姉ちゃん…顔真っ赤にしながら言っても説得力ないよ?」
「ふぇっ!? ち、違う!! 別にそんなんじゃないんだから!!」
「お姉ちゃん…ツンデレ乙、だよ♪」
「ツンデレじゃないっ!!」
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「…ということがあったんだよね。」
朝の通学路。私は今朝あったことを光里に話した。
「にゃはは♪ 雪華ちゃん面白いね♪」
「面白くないよっ! すごく恥ずかしかったんだから。」
結局あの後も雪華に弄られたんだから…。いつか仕返ししてやるんだからねっ!
「はぁ…お前は子供か。」
「うっ…。だって…あんなこと言われたらつい反論したくなるでしょ。こ、皐一に…その…や、やっぱりなんでもない!!」
「んん? なんでそこで俺の名前が出てくるんだ?」
「だからなんでもないのっ!!」
「なんだよ…。気になるじゃねぇか。」
「まぁまぁ皐一くん。恋する乙女はよく分からないんだよ?♪」
「そういうもんかなぁ。」
光里がフォロー(?)してくれたおかげでなんとか話を終わらせることができた。今更だけど皐一がいない時に話せば良かったよ…。そしたらこんな恥ずかしい気持ちにもならなかったのに。私ってほんとバカ…。
「桜花ちゃん桜花ちゃん。」
「どうしたの、光里?」
光里が私に小声で話してきたので私も小声で返事をした。
「今日桜花ちゃんのお家行っていいかな?」
「えっ? どうして?」
「お部屋の模様替えしたいんでしょ? だから私が桜花ちゃんのお部屋をじっくり見てどんな風にしようか考えるんだよ。」
なるほどね。それで私と一緒に案を出そうというわけか。うぅ…なんて優しいんだ光里は…。光里と友達で本当に良かったよ。
「うん、それなら大歓迎だよ。」
「ありがとう、桜花ちゃん。」
「ううん、むしろお礼の言うのはこっちの方だよ。ありがとね、光里。」
私は光里に笑顔で感謝の返事をした。
「…桜花ちゃんのその笑顔は反則だよ。」
「えっ? 何か言った?」
「何でもないよ。…あぁ〜あ、皐一くんはほんと鈍感だなぁ。こんなに可愛い彼女がいるのに何も感じないなんて。」
「ん? 何か言ったか?」
「ううん、何も。ほら二人とも早く行こう♪」
「「…?」」
光里の言っていることが詳しく聞き取れず訳が分からない私と皐一顔を見合わせ首を傾げた。
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下駄箱で上履きに履き替えていると美雪さんが来た。どうやら私たちと同じ時間くらいの時間に毎朝学校に到着しているみたいだ。
「おはよう、美雪さん。」
「おはよう、氷室。」
「えぇ…おはよう…。」
私と皐一があいさつをすると美雪さんは静かに返してくれた。本当に物静かな人だなぁ。まさに文芸系って感じな人だね、うん。
「ミユちゃんおはよぉ〜♪」
「えぇ、おは……ミユ…ちゃん…? それって…私のこと…?」
出た。光里の親しくなった人に愛称を付ける癖。そういえば私には愛称付けてくれなかったけど…何でだろう?。
「うん♪ 美雪ちゃんだからミユちゃん、可愛いでしょ♪」
「その…それは少し恥ずかしいのだけど…。」
「えぇ〜、可愛いと思うよね? 桜花ちゃん♪」
「えっ? う、うん。可愛いよ。」
つい反射的に答えちゃったけど本当に可愛いって思ったから問題ないよね。
それにしても、無表情な人だと思ってたけどやっぱり可愛いところもあるんだね。
とりあえず、誰とでも仲良くできる光里にはいつも驚かされるのと同時に羨ましいな〜って思うよ。
「これからはミユちゃんって呼ぶからね♪」
「うぅ……好きにすれば良いわ…」
そして光里には誰にも敵わないってことも改めて分かったよ。光里…本当に恐ろしい娘だよ…。もしかしたら最強しれないかも?
その後、教室に行き私たちは自分の席に座った。私は前から三番の席、皐一は私の前の席。……って、これは前にも言ったよね。覚えてない人は第11話を見て思い出してね。
「ちょっと良いかしら?」
席に着いた私…だけじゃなくて皐一にも話しかけてきた。その人は長くて綺麗な黒髪で、その長い黒髪をツインテールでまとめていて真面目そうな人だ。なんでだろう…この人ツンデレって言葉に相応しい人に見えるのは。
「クラス委員長さんが俺たちになんのようだ?」
そう、この人は私のクラスの委員長。名前は確か…えっと…
「そんな警戒するような言い方しなくて良いわよ。別に注意とかしないし。ただ質問があるだけよ。後、私には『風見飛鳥』って名前があるんだから、『委員長さん』じゃなくてちゃんと呼びなさいよ。」
そうそう風見飛鳥さんだ。なんだか力と技を併せ持ってて『スリャー!!』って言ってそうな苗字だよね。
えっ? もちろん私は名前を覚えてなかったよ、えっへん。…そこはちゃんと覚えなさいって? うぅ…はい、わかりました。
「それで? 俺たちに何の用だ? 風見さん。」
改めて皐一は風見さんに聞き直した。
「高城君って小鳥遊さんと付き合っているのよね?」
「まぁ、そうだけど? それがどうかしたの?」
「あなた今さっき小鳥遊さんと一緒に他の女子生徒とも一緒に入ってきたわよね? あれってもしかして高城君の友達?」
あぁ~、そっか。確かに何も知らない人からだとそう思っちゃうよね。
「否定はできないが…主に桜花の友達だよ。」
「否定はできないって、あなた小鳥遊さんを大切にしなさいよ。こんな可愛いくてしっかりした人なんて他にはいないんだから。」
しっかりした人? 私が? ……無い無い。
「わかってるよ。桜花は大切な幼馴染で彼女だからな。しっかり守るよ。」
……うわぁ、恥ずかしいよ。ものすごく恥ずかしいよ。これは皐一に言われてドキドキしてる方の恥ずかしいか、皐一がキザな感じの台詞を言って恥ずかしいのかどっちなんだろう?
「…あなたそんな恥ずかしい台詞よく言えるわね。言わせたのは私だけど。」
「あっ、それは私も今思ってたよ。ごめんね、皐一が変なこと言って。」
「別に良いわよ。私から話を振ったんだから。」
「…おいお前ら、こっちだって恥ずかしかったのになんだその言い草は。」
とりあえず皐一は私のことを大切に思ってることはわかった。
……今思い返すとやっぱり凄くドキドキする。なんだろう…この気持ちは。
誤字脱字、方言になっていて分からない文、その他おかしな点、アドバイスなどもありましたら、ぜひ感想に御書きください。最後まで読んで下さりありがとうございました。次話もよろしくお願いします。




