第15話:恐怖と安心
第15話です。小説本編とは全く関係のない話ですが…今日で私は18歳の迎えることができました。あっという間に感じましたね…18になるのは。
…だいぶ前書きに書くネタがなくなってきました(汗)
あの後、私は先生に何があったか説明し、昨日と同じように皐一たちと一緒に帰った。ただ昨日と違うのは会話がないだけ。私を気遣ってくれてるのか…それとも話す言葉が見つからないのか…私には分からなかった…。
私は怖かった…とにかく怖かった…。あんなに男が怖いと思ったのは初めてだ…。男だった頃、喧嘩や怒られるときにも怖いと思ったけど…腕を強く掴まれて振り解けないと知って…抵抗できないと知ってとても怖くなった…。こんなにも力がないことが怖いだなんて…。
「………。」
私もあれから一度も話してはいない…。ううん…違う…話すことができないほど精神的にきたんだ…。私は元々メンタル面は弱い方で後に後にと引きずっていく方だ…。今日の出来事で私はかなりショックを受けた…私にはなにもできない無力さと男に対する恐怖に…。
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「それじゃあ…桜花ちゃんをよろしくね、皐一くん。また明日。」
「あぁ、また明日な。光里。」
「……光里…皐一…私の家に来てほしいんだけど…ダメ…かな…?話したいことがあって…。」
「…ごめんね、桜花ちゃん。行きたいけどわたし用事があるんだ。また今度誘ってくれると嬉しいな♪」
「……わかった…。またね…光里。」
「うん、また明日ね♪桜花ちゃん♪」
光里と別れ、私は皐一と二人になった。
「…皐一は…私の家に来る?」
「…いいのか?」
「うん…来てほしい…お願い…」
「わかった。」
皐一はそのまま私の家に来ることになった。皐一が私の家に来るのは春休み前以来…つまりまだ私が男だった頃以来だ。あの頃はよく遊んでたなぁ…。
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「ただいま。」
「お邪魔します。」
帰宅すると母さんが出迎えてくれた。ちなみに母さんには皐一が私が春人だと知っているということを昨日話した。
「おかえりなさい。あら、皐一くん?家に来るなんて久しぶりじゃないの。どうしたの、今日は?」
「えっと、久しぶりに遊びに来たくなって。」
「そうなの、どうぞ皐一くん。上がって頂戴。」
「ありがとうございます。」
私と皐一は私の部屋に向かい入った。この部屋には皐一と一緒に遊んだり…一緒に勉強したり…他にもたくさんの思い出が詰まっている。
「久しぶりだな、お前の部屋。あの時と何も変わってないな。」
今はタンスの中の服が男物の服から女物の服になったけどね。それ以外はまったく変わってない。
「…で?話したいことってなんだ?」
「その…ありがとう…助けてくれて…。」
「何言ってるんだ?助けるのは当たり前だろ?あそこで助けなかったら親友じゃねぇしな。…まさかそれだけか?言いたいこと。」
「…ううん…まだあるよ…。」
「なんだ?言ってみろ。」
「……怖いんだよ……」
「怖い?何がだ?」
「私の未来だよ…。少しはこの体や女の子としての行動に慣れてきたつもりだった…でも違った全く慣れていなかった…あそこまで力がでないとは思わなかった…。」
「………」
皐一は黙って話を聞いてくれている。
「これからまた…あんなことが起こるのかと思うと怖くてたまらない…。もうあんな恐怖を体験したくない…。怖い…怖いんだよ…私は…これ以上皐一と光里に迷惑をかけるのが…特に光里とは友達になったばかりだから…。これ以上…迷惑かけたくない…。」
あんな可愛くていい人にこれ以上迷惑をかけたくない…私のせいで光里に辛い思いしてほしくないし…それ以前に嫌われたくない…
「そうか…。なぁ…『春人』。」
久しぶりに皐一に『春人』と呼ばれた。
「……何…」
「光里は別に迷惑じゃないと思っているはずだぞ。」
「どうしてそう言えるの…?根拠は…?」
「根拠はない。だが俺はそう思う。」
「本当かな…」
「本当だよ。迷惑だったら普通助けたりしないだろ?」
「そ、そうだけど…。」
「だから光里は迷惑だなんて思ってないぞ。明日聞いてみればいいじゃないか。」
「き、聞くの?」
「あぁ、聞かないと本当のことが分からないだろ?大丈夫だ。光里は今日みたいなことは絶対しないはずだ。」
「…わかったよ…。明日聞いてみる…。」
「あぁ。…後、まだお前に言っておきたいことがある。」
「何?」
「俺がさ…『春人』も『桜花』を守ってやる。」
「は…?どういう意味…?」
春人と桜花を守る?春人も桜花も両方とも私だ…。一体何を言っているんだ…。
「だから春人としてのお前も、桜花としてのお前も両方守るってことだよ。分かるか?」
「…さっぱりわからない。」
「あぁもう!!と、とにかく…俺がお前を守ってやる。もうあんなことにならないようにな。」
皐一が私を守る…か…そこまで弱くなっちゃったんだ…私は…
「でも…迷惑じゃない…?」
「迷惑じゃねぇよ。」
「またあいつみたいな奴が出たらどうするの…。またあんな勘違いされたらどうするの…」
「……。」
あいつとはラブレターを送ってきた相手、あんな勘違いとは私と皐一が付き合っているということだ…。
皐一は何も答えない…。
「だったら…勘違いじゃなくて事実にすればいい。」
「事実…?」
「俺とお前が付き合っているってことを事実にすればいいんだよ。」
……………はい?今なんて言った?えっと…確か…付き合っていることを事実にすればいい?…えぇぇぇぇぇぇぇぇぇ!?
「な、何言ってるんだよお前!!そ、そんなことできるわけないだろ!!」
「光里が言ってただろ?俺とお前はよく一緒に行動しているから俺たちが付き合っていると勘違いされやすいんだ。別に付き合うフリだけでもいいと思うぞ。」
「い、いやでも…め「迷惑じゃない」うっ……ほ、本気なの?」
「あぁ本気だ。明日から実効する。」
「えぇぇ…。」
「ふぅ…、だいぶ元気になってきたんじゃないか?」
「えっ?あっ。」
そういえば…さっきよりは気持ちが楽になったかもしれない。皐一がいきなりとんでもないことを言ったからかな?…それとも、親友に本音を話したからかな…。…どっちでもいいか。
「うん、少しは。」
「そうか、なら良かった。お前は一度ネガティブになるととことんネガティブになるからな。そういうの良くないぞ。」
「はぅ…か、改善するように頑張るよ。」
「よろしい。」
こいつ…本当に私のことをよく分かっているよ。さすが私の親友だ。今はどんな人よりも頼りがいのあるやつに見える。
「ありがとう、皐一♪」
私は笑顔で皐一に言った。
「っ!?お、おう。ま、まぁ当然のことをしたまでだ。礼なんていらねぇよ。」
皐一は私の顔を見た途端顔を赤くしながら視線を逸らした。なんで逸らすの?前もこんなことあったような気がする。そうだ。聞いてみればいいんだ。さっき皐一が言ってたよね。聞いてみなきゃ本当のことがわからないって。よし、聞いてみよう。
「ねぇ、皐一。どうしてさっき視線を逸らしたの?」
「なっ!?お前今それを聞くのかよ!?」
「だってさっき皐一が聞いてみなければ本当のことがわからないって言ってたから。私は皐一が視線を逸らした理由が分からないから聞いたんだよ。」
「うっ…た、確かにそう言った…。」
「だから答えて。」
「…い、言えるわけねぇだろ!!」
「むぅ~…ケチ!!」
「ケチで結構だ。」
結局聞けなかった。いつか絶対聞いてやるんだから。
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その後皐一としばらく話し気づいたら19時になっていた。
「やべっ!?もうこんな時間かよ!?はやく帰らねぇとお袋に怒られる!!」
「途中まで送ってあげようか?」
「馬鹿かお前は。今は女だろ。お前の方が危なくなったらこっちが困るから別に送らなくてもいいよ。」
「あっ、そうだった。じゃあ玄関まではお見送りさせて。」
「あぁ、それならいいよ。」
私と皐一は部屋を出て玄関まで移動した。
「じゃあ…また明日な、桜花。」
「うん、また明日。今日はありがとう、話を聞いてくれて。」
「お礼はもういいよ。じゃあな。」
そう言って皐一は帰って行った。今日は本当に皐一には感謝しなくちゃな。
「桜花~♪」
誰かに後ろからいきなり抱きつかれる。
「にゃっ!?か、母さん!?」
「『にゃっ!?』だなんて可愛い声だすわねぇ~♪それより…皐一とは随分お楽しみだったようで♪」
「ふぇっ!?き、聞いてたの!?母さん!?」
「モチのロンよ♪ちなみに言うと、最初から聞いちゃった♪テヘペロ♪」
う、嘘でしょ…じゃあ今までの全部聞かれてたってことはあの出来事もしられちゃったってことだよね…。いやいやそれ以前に…わ、私と皐一が付き合う(フリだけど)ってことも聞かれたってこと!?
「はぅわあぅ~…。」
は、恥ずかしい。顔がすごく熱くなっているのが分かる。
「あらあら、顔を真っ赤にしちゃって♪」
「母さんが盗み聞きするからだよ!!もぅ!!」
「まぁ…桜花にひどいことをした相手は許せないけど…皐一くんなら安心して桜花を任せられるわ♪本当に良い友達を持ったわね♪」
「うん…♪本当にね♪」
「でもぉ~たまにでもいいか母さんに頼ってほしいかなぁ~♪もちろん、夏輝さんにもね♪」
「わ、分かってるよ!!分かってるから頬ずりしないでよ!!ひゃっ!?い、今太もも触ったでしょ!?」
今日は散々な目にあってすごく辛くて怖かったけど…私の周りには凄く頼れる人がたくさんいるというこどが再確認できた日だった。
誤字脱字、方言で分からない文、その他おかしな点、アドバイスなどもありましたら、ぜひ感想に御書きください。最後まで読んで下さりありがとうございました。次話もよろしくお願いします。




