第10話:親友…皐一
第10話です。他の方々の小説を見てると自分の小説がまだまだ良くないということを思い知らせます。これからも、上手に書けるように頑張るようにしたいと思います。
「やっぱお前だったんだな、春人。」
「えっ!?きゅ、急に何を言っているんですか?私は小鳥遊桜花ですよ?」
どうしてバレたんだ!?
い、いやまだ確実にバレたとは決まっていないはずだ。違うと言い続ければきっとバレないはずだ。
「いや、隠さなくても良いよ。もう春人だと分かってる。」
「だから違うって言ってるじゃないですか。私は…」
「さっき話してる時に俺は『春人』と呼んで、お前それに返事をしたよ。」
「えっ!?本当に!?」
俺無意識に返事をしちまったのか!?うぅっ…自分の鈍さに恨めしい。
「…うん。今確信したよ。やっぱりお前は春人だ。」
「えっ!?どういうこと!?」
「確かに俺は春人と言ったけど、お前の場合だともしかしたら聞き間違いかもしれないだろ?だからあの時は別に否定しても良かったのにお前は「本当に」って言ったからな。」
「あっ…」
…素直に反応しすぎた。
そうだよな。確かにあのまま違うと言い続ければバレなかったかもしれない。
「……はぁ、油断してたんだな〜。」
「いや実は、女のお前と初めて会った時から違和感を感じてたんだ。」
初めて会った時から?どうしてだ?あの時は母さんが従妹と言ったはずだ。どこに違和感を感じたんだ?
「女の春人と初めて会った時な、昔俺が春人と初めて会った時とのお前の反応が似ていたから違和感を感じたんだ。」
「えっ?そうなの?」
「あぁ。で、春休みになってお前からの電話やメールが一度来なかったから、もしかしたらあの時あった桜花さんは春人じゃないかと思ったんだ。初めて会ったのもちょうど春休みの初日だったしね。」
…皐一よ…お前一体何者だ?お前探偵になれるんじゃねぇか?勘が良すぎて怖いよ。
「凄いな皐一は…。」
「伊達に何年お前と親友はやってなぇよ。それくらいのこと気付かなきゃ親友じゃねぇだろ?」
か、カッコいい。皐一、お前カッコよすぎるよ。…こんな親友が目の前にいたなんてな…なんで気付かなかったんだろ…気付いていたら素直に女になったことを話せたかもしれないのに…俺は皐一ほど親友だと思っていなかったのか…なんてひどい人なんだ…俺は…
そう思うと俺は皐一にものすごく申し訳ない気持ちになった?
「…ごめんな…皐一…」
「ん?どうして謝るんだ?別に春人は何も悪くないぞ?」
「だって…俺が女になったことを隠してたし…俺はお前ほど親友だと思っていなかった…」
「………そっか。」
あぁ…終わった。皐一との関係が…親友としての関係がこれで完全に終わった。皐一は俺のこと嫌いになっただろうな。親友に隠し事をしてたし、今まで親友だと思っていた相手に親友だと思っていなかったと言って嫌いにならないやつはいないだろ。
「それはしょうがないだろ?急に性別が変わったら誰だって他の人に言いづらいだろ?」
「でも!…お前がそこまで俺のこと思っていたのに…俺はお前のことを思っていなかった…親友失格だ…」
「はぁ…お前はどうしてそんなにネガティブに考えるんだ?」
「考えるに決まっているだろ!せっかくお前が俺のことを思ってくれたのに俺はそれを無視したんぞ!?」
「だから…そういうことを思う余裕がないほど大変だったんだろ?」
「でも俺は…親友のお前を無視したんだ。…お前は…皐一はもう俺のこと嫌いになっただろ…?」
「なってねぇよ。」
「俺が女になって気持ち悪いって思っているだろ!!」
「なってねぇよ!!」
いきなり皐一が俺に抱き締めてきた。
えっ?な、なんだ?急にどうしたんだ?なんで急に皐一は俺を抱き締めてきたんだ!?
俺は訳が分からなかった。
「落ち着けよ、春人。俺はお前が女になろうがなんだろうが俺はずっとお前の親友だ。だから女になって気持ち悪いとか絶対に思わない。」
なんで…なんでこいつはこんなに優しいんだ…酷いこと言ったのになんで皐一は俺にこんなに優しくしてくれるんだ…
「…んで………なに……んだよ……」
「ん?何だ?どうした?」
皐一は俺の頭を撫でてくる。
…恥ずかしくないのかよ…親友にこんなことをして…。そんなことされると…凄く安心して…泣きそうになるだろ…。
「なんで…お前はそんなに俺に優しくしてくれるんだよ…」
「何回も言わせるな。お前は…春人は俺の一番の親友だ。今も…そしてこれからも、ずっとだ。」
「うっ…こう…いち…うぅっ…こういち…」
俺は皐一の胸で泣いた。また泣いてしまった。俺…こんなに泣き虫だったっけ…?最近泣いてばっかりだ…。
「大変だったな、春人。これからは俺に頼れよ、親友としてな。」
「うん…うんっ!!」
俺は周りを気にせずに泣いた。今日は入学式ということを忘れて泣いた。皐一の胸の中で。
「安心しろ、春人。これからは俺がいるからな。だから安心して俺に頼れ。」
「ありがと…皐一…」
しばらく泣いた後、俺は今日は入学式だと気づいた。それに気づいたのは高校の集合時間の一時間前…あれ?意外にまだ時間がある。今から行っても20分で到着することができる。えっ?まず早く行き過ぎ?…ほら、あれだよ、備えあれば憂いなしってやつだよ。うん。
俺は皐一と一緒に高校に向かっていた。
「……全く、急に抱き締めやがって…俺が男だったのは知ってただろうが…」
俺は皐一を見ながら…いや見上げながら言う。今の俺の身長は150㎝で皐一の身長は175㎝ある。約20㎝も差が出来てしまったから今の俺は皐一を見上げることになってしまった。ちなみに男の頃は俺の方が身長が高かった。今までは見下ろしてたのに…見上げことになるなんて…
「し、仕方ないだろ。こうでもしないと落ち着かないだろうと思ったからしたんだよ。」
皐一は顔を赤くしながらそう答えた。
ん?こいつ照れてる?
「他の女の子にもこういうことしてるの?」
「ばっ!?バカじゃねぇのかお前!?そんなことするわけねぇだろ!!まず俺には彼女すらできたことないんだぞ!!」
…そんな大声上げて言わなくてもいいのに。こいつやっぱり照れてるな。反応が面白い♪
そういえば俺が男だった頃はこうやってよく皐一をからかっていたな〜。いや〜反応が面白くて面白くてつい♪
「ふ〜ん♪そういえば確かにお前彼女いなかったな〜♪」
「な、なんだよ?何ニヤニヤして見てるんだよ?お前だって彼女いなかっただろ?」
「あぁ、いなかったな。作ろうとすら考えもしなかったからな。」
俺はあまり彼女を作ろうとは思わなかった。別に女が嫌いというわけではない。むしろ女は大好きだ。
ただあまり興味がなかったというか作る余裕がなかったんだ。
「なら俺と変わらねぇだろうが。」
「変わらねぇけど今は俺女になったから彼女は作れねぇよ?」
「………百合がある。」
「絶対に嫌だからな。」
とにかく俺は誰かと付き合うなんてするつもりは全くない。べ、別に悲しくなんてないんだからね!!
「そういえばお前そのしゃべり方どうにかならないのか?」
「えっ?何が?」
「しゃべり方だよ。女になったんだから男言葉はおかしいだろ。」
「むぅ…母さんと同じこと言ってる。」
「いや普通誰でも思うだろ。」
皐一と話をしている内にしゃべり方が男の頃のしゃべり方に戻っていたみたいだ。皐一と話しているとつい今までの感覚で。気を付けないとな。
「わかった。気を付けるよ。注意ありがとな♪なら皐一も私のことは『春人』じゃなくて『桜花』って読んでよね♪」
「っ!?お、おう。わかった。」
俺は皐一を見ながらそういうと皐一は目をそらしながら答えた。どうしてそらしたんだ?まだ照れてるのか?
そろそろ高校に近づいた時、周りには俺たちと同じように入学式に向かっている人たちが増えてきた。
時間はまだ30分余裕あるな。……なんか周りの視線を感じる…。
「ねぇ、皐一…さっきから気になっていたんだけど…」
「ん?なんだ?どうした?」
「さっきからお…私たち見られてない?」
「あぁ〜、そりゃお前が目立ってるからな。」
「そっか〜。」
そんなに目立つのかな?確かに金髪は目立つけどそんなに注目するほどなのかな?
「……後はお前がすげぇ可愛いからな…」
「えっ?何か言った?」
「いや、何でもない。」
「……?」
皐一はさっきから俺が目を合わせようとすると顔を赤くして目をそらしている。どうしたんだ?何か目を合わせてくれないとちょっと不安になる。
「ほ、ほら、もうすぐ学校に着くぞ。」
「うん。また同じクラスだといいね、皐一♪」
「そうだな、…桜花。」
俺は…いや、もう高校生になるんだからいつまでも『俺』なのは良くないな…。…『私』と皐一の新しい高校生活がもうすぐ始まる。
皐一のおかげで少しは楽しい高校生活を送ることができるかもしれないと私は思った。
桜花「やっと学校の話に突入したか。」
皐一「そうだな。」
桜花「あれ?皐一いたの?」
皐一「あぁ。学校が始まるなら俺も登場してもいいかなって思ってな。」
俺「いや〜二人ともラブラブでしたな〜♪」
皐一「……誰?」
桜花「はぁ…この小説の作者…」
皐一「そ、そうか。」
誤字脱字、方言で分からない文、その他おかしな点、アドバイスなどもあれば、ぜひ感想に書いてください。よろしくお願いします。




