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遺跡の中の冒険者  作者: 雨月


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遺跡への道のり

 冒険者ギルドを出たアリスと三人の男は、昼の帝都を歩いていた。


 行き交う人々の喧騒の中、男たちは先輩風を吹かせるように、依頼書の見方を語り出す。


「魔物を倒したら、ギルドカードに記録されるんだ。どういう原理かよく分からないんだけどな」


「へえ……」


「記録はされるけど、討伐したやつ持っていけばギルドで解体して買い取ってくれるぜ。へへ」


「解体料は高いから自分でできるなら自分でやれるほうが得だが」


「解体した魔物は研究とか魔道具に使われるのかしら?」


「そうだぜ。価値ある部位を傷つけずに倒すのが腕のいい冒険者ってやつだ」


「ふーん」


 帝都と外を行き来する正門に到着する。昼間だが、人でごった返しになっており、巨大な門を通る馬車がたくさんある。


「ギルドカードが通行証になるから自由に出入りできるぜ」


 言われた通りカードを門番に見せると、門番が何かを書くだけですぐにカードを返してくれる。


「遺跡までは歩いて2時間ってところだ」


 正門から出て、草原のなかの街道を歩く。

 周りには行商人の馬車がたくさんあり、いくつかの馬車の周囲には護衛と思わしき、冒険者の姿も見える。

 塀の近くには兵士が歩いて周囲を警戒しているのが見える。

 

 1時間ほど街道を歩いたあと、街道を逸れて森の中に入る4人。


「ここからは森だ。森の中までは軍の連中も魔物退治ができてないから注意していくぞ」


 それぞれが武器を取り出し、周囲に注意を向ける。

 男たちの雰囲気が変わったことを感じ取り、アリスは「これが冒険者か」と感心した。

 整備されていない薄暗い森の中。歩みはどうしても遅くなる。


 アリスは肩で息をし始める。


「嬢ちゃん、大丈夫か?」


「大丈夫よ、気にしないで」


 無論、アリスもこういうことは想定して悪路を歩く練習はしていた。しかし、それでも疲れる悪路。


「コレはいい経験ね……」


 そんなことをつぶやきながらも足を止めずに歩く。そこに、


「来たぞ」


 男の1人が険しい声を出す。目の前の木の陰から緑の肌の小人が現れる。


「ゴブリンだな」


「あれが実物のゴブリン……」

 腰布のみのほぼ全裸、手には頑丈そうな太めな木の棒を持っている。長めのとがった耳に、獲物を見定める獰猛な瞳。そして距離はあるのに匂う獣臭。

 それが3体。


「コレは本ではわからないわね」


 初めて見る実物に最初は興味を持てたが、匂いに気づいてすぐ嫌悪を表すアリス。


「来るぞ!」


 アリスが右手を出すと、いつの間にか長い杖が現れ、それを掴む。

 長い杖の柄で地面を突く。

 すると、こちらに向かって走ってきていたゴブリン1体の足元が突如として陥没し、落とし穴のように落下する。


「ナイスだ、嬢ちゃん」


 落ちたゴブリンに槍を持った男が穴の縁から突き刺す。木の棒しか持たないゴブリンには何もできずに槍に突き刺されるだけとなる。

 その間に残りの2体のゴブリンも残りの男たちに斬り伏せられていく。


「ゴブリンは使えるところがないくせに一番遭遇するからなぁ」


 すでに死んだコブリンの首を落として先ほどの落とし穴に落としていく。


「アンデット対策だな、やらねー奴もいる」


 全て埋め終えるとアリスが杖を振るう。土がゴブリンの死体を埋めてしまう。


「嬢ちゃん、土属性か。他は何の属性なんだ?」

「……土だけよ」


 僅かな間からそう答えるアリス。


「1属性とは珍しいな」

「そんなもんでしょ。行きましょ」


 再び森のなかの悪路を歩く。

 薄暗い森の悪路を進む。

 木々ばかりの単調な景色が続いたが、魔物に遭遇することもなく、4人はそのまま歩き続けた。そして、


「お、ついたぜ、嬢ちゃん」


 木々の切れ間の先、

 薄暗い森の中にそびえ立つ、ツル等の植物に覆われたレンガの建物が姿を現した。


「これが、魔物の遺跡ね」


 アリスは胸元の肩から掛けているウエストポーチから1冊の分厚い本を取り出すと中を見る。


「スケッチ通りの見た目ね」


 遺跡に近づいて張り付いているツルを手で千切ってレンガに触れる。


「資料通り保存魔法がかけられてる」


「ほー、さすがは魔法使いだな、俺らにはさっぱりだ」


「魔法文明時代の保存魔法、だけど、資料には魔法機械文明初期の遺跡になってる」


 本を片手にブツブツと言うアリスを尻目に男3人が近寄る。


「牢屋の部屋でいいか?」

「俺からだからな。わかってるな」

「しょうがねーな、約束だからな。へへ」


 小声で打ち合わせでもしてるように話す3人。そんなこと何も気にせず本と遺跡を交互に見てブツブツと独り言を言い続けるアリス。


「ねぇ」


 突如、3人の方を振り向きながらアリスは3人が何かを話していたのかも何も気にせずに問いかける。


「入ってもいいのよね?」

「あ、あぁ。何も問題ないぜ。この遺跡は罠とかもないしな」


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