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この作品には 〔残酷描写〕が含まれています。

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夜の静かな公園で

作者: をりふで
掲載日:2026/01/12

 動かなくなった女を見下ろす。

 手に残る、嫌な感触。

 抵抗して引っ掻かれた傷。

「ねぇ、殺しちゃったの?」

 後ろから声をかけられ、現実に引き戻される。

 振り返ると、小学生くらいの子どもがいた。

 人がいたなんて気づかなかった。

 手足は細く、目が大きい。

 現場を見られてしまった。

「聞いているんだけれど」

 子どもは声変わりしたばかりの少年。

 平静を装って、答えるしかないようだ。

「君、早く家に帰りない。親御さんも心配しているだろう」

 午後十一時半を過ぎている。

 未成年が出歩いていい時間ではない。

「帰る家なんてないもの。ぼくの質問に答えてよ」

 家出中なのか。

「この女の人は、倒れているんだ」

「見ればわかる。バカにしないでよ」

「俺は殺していない」

「誤魔化さないでよ。一緒にいたのに」

 子どもは女を指差す。

 女とのやりとりを見られていたのか。

 顔から血の気が引く感覚がする。

 喉が渇く。

「いつから見ていた?」

「二人が言い争っているところからだよ」

 女は外で何人もの男を作っていた。

 自分は、都合のいい奴隷のような扱い。

 お金も絞られて、身も心も擦り減らされた。

 女から離れようとしたら、泣いて縋ってくる。

 挙げ句には、死ぬまで付きまとってやるなんて言われ、女の首を絞めていた。

 それを、子どもは見ている。

 ようやく女から解放されたというのに。

 今度は違う鎖が絡みつく。

 見られた以上、始末するしかない。

 少年の細い首を両手で掴んだ。

「悪いな。君には死んでもらう」

 少年がこちらの手首を掴む。

「ぼくを殺すつもり?」

 殺されそうになっているのに、少年は冷静だ。

 なにかが剥がれる音がする。

 少年の細い腕の皮膚が剥がれて地面に落ちた。

 よく見ると、鱗の形をしている。

 少年の顔を見て、息を呑んだ。

 顔の皮膚も剥がれている。

 両手を少年の首から離し、尻餅をつく。

「ばっ、化け物!」

「ひどいなぁ」

 少年の顔や腕の皮膚は剥がれ続けている。

 鱗の一枚一枚となって。

 少年が距離を詰めてきた。

 逃げたいのに体が動かない。

 助けを呼びたいのに声が出ない。

 大きい目に見下ろされる。

「人間って、自分勝手だよな」

 低く重く、少年は呟く。

 最後に見たのは、鱗だ。


 早朝。

 公園でランニングしていた二十歳前後の青年が警察に通報した。

 首を絞められ、死亡した女性が発見される。

 近くで死亡した男性も発見された。

 口の中に大量の鱗が詰め込まれて。

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