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この作品には 〔ボーイズラブ要素〕が含まれています。
苦手な方はご注意ください。

推しの幸せと僕の幸せ

僕の名前はクリス・ハウンド。

ハウンド伯爵家の次男坊なんだけど、僕にはちょっと困った幼馴染がいる。


その幼馴染というのがアルティ・ランサー。

ランサー伯爵家の次男坊で可愛い物好きなやつ。

ただの可愛い物好きの幼馴染なら問題ないけど彼は僕の幼馴染ってだけじゃなくて婚約者でもあるんだ。

それなのにアルティは僕じゃない男を可愛がるんだよ!酷いと思わない?


それがクロム・ダルク侯爵令息!!

黒髪ふわふわヘアのぱっちりおめめのアルティ好みの可愛い系!!

15歳だし声変わりしてるはずなんだけど、僕より高くて可愛い感じの声!

アルティったら婚約者の僕そっちのけでクロム令息ばかり構って、あまつさえクロム令息の婚約者にまでクロム様のおすすめポイント!とか言って勧めてるの!!


昔は僕の事を可愛い可愛いって頬擦りしてた癖に、浮気者め!

だから僕は今日もお母様からお勧めされたスキンケアを塗ってふて寝することにした。




♢♢♢




僕の名前はアルティ・ランサー。

ランサー伯爵家の次男坊でクリス・ハウンドの婚約者だ。

僕には前世という別の人の記憶があって、5歳になる頃にはこの世界が『月夜の涙』という全年齢版と18禁版があるBLゲームだと気付いていた。

前世から可愛い物好きだった僕はゲーム紹介ポスターの少年達に惹かれて購入、腐男子でもゲイでもないけどゲームキャラの可愛い一面に惚れて全クリアするくらいにハマっていた。

その中でも特に推していたのが攻略対象の婚約者の1人、クロム・ダルク侯爵令息である。

黒髪ふわふわヘアにぱっちりおめめという見た目だけじゃなく婚約者であるジルナ・カルトン侯爵令息に甘えられない一面も可愛くて大好きなのだ。

まぁ、あくまで推しであり恋愛感情はないけどね。


そんな僕は今日も推しの魅力を本人(クロム)とその婚約者(ジルナ)に余す事なく伝える。

せっかくなら推しも僕とクリスみたいにラブラブになって欲しいからね。

僕、頑張って推しの魅力を伝えるよ!!




♢♢♢




僕の名前はクロム・ダルク。

侯爵家の三男でジルナ・カルトンの婚約者。


最近困った事があってね、何故だが僕の事を僕以上に詳しく知る人が現れたの。

それがアルティ・ランサー伯爵令息。

誕生日とか好きな食べ物くらいなら誰かから聞いたのかな?って気にしないんだけど、僕のジルナへの気持ちとか夜にジルナに冷たく接しちゃったって1人反省会して泣いちゃった事とか僕も気付いてなかった癖とか色々知っててちょっと怖くなってジルナに泣きついちゃった…恥ずかしい…


だけど初めてジルナにツンツンせずに関われたかも。

泣きついた時にジルナがぎゅって抱き締めてくれたの、めちゃくちゃドキドキしたぁ〜…




♢♢♢




俺はジルナ・カルトン。

カルトン侯爵家長男で妾の子、つまり訳ありの為家督を継ぐ事が出来ずクロム・ダルクと婚約した。


侯爵家ではあるものの、妾の子だから父上の持つ他の爵位を引き継ぐ事が出来ず、伝手を使って上手く行けば商人としての地位を将来的に確立出来そうというライン。

婚約者を大事にしたいとは思っているものの、彼は結構ズバズバ言うタイプだし、将来性や妾の子である俺に対して嫌悪感があると思っていた。


そんな婚約者が先日俺に抱き着いて来て心臓が止まるかと思った。

俺より柔らかな髪が俺の首元をふわふわと擽り、すっぽり俺の腕の中に入った彼が震えている、そんな事が起こるなんて思わなかった俺は恐る恐る彼を抱き締めた。

めっちゃ良い匂いがしてそっと抱き締めるつもりがぎゅっと抱き締めてしまったよ。


クロムが震えていた理由を聞き出して理由がアルティ君だと分かり、俺が彼にクロムが魅力的なのは分かるけど俺という婚約者がいるんだから諦めてくれって言いに行ったんだ。

そしたらさ、クロムのファンではあるけど恋愛感情は全くないと宣言してクロムのあれこれを彼の口から色々聞いてしまった。

聞いちゃいけない事を聞いてしまったと思ったし、何故彼が俺の婚約者についてそんなに詳しいのか嫉妬しそうになったよ。

まあ、彼は話の合間合間に自身の婚約者であるクリス君の惚気話もしていたから嫉妬心はすぐに治ったけどね。

あと何故か俺についても詳しくてドン引きしたよ。

ドン引きしたけど少なくとも俺の情報は正確だったからクロムについても正確なんじゃないかなって期待する。



もし彼の言う事が正確なら俺はクロムから好ましく想われているみたいだから。

だから俺はもっとクロムに積極的に行こうかなって思い、まずはデートに誘うことにした。




♢♢♢




ゲーム内の僕、アルティ・ランサーはクリスのお助けキャラとしてキャラクターの蘊蓄(うんちく)を話すんだけど、最近その蘊蓄から学んだ知識が凄く役に立っている。

ジルナ曰くドン引きしたし、クロムが怖がっていたと聞いて落ち込んだけどクロムから嫌われてない、寧ろ好まれていると知ったジルナがデートに誘ったという話を耳にした僕は前世で出来なかったジルナ×クロムのハッピーエンドが現世で達成出来そうで凄く顔がニヤけた。

推しが幸せそうでなによりだ!


そう、推しの事については問題解決したんだけど、暫くクロムとジルナに構っていたからさ、クリスが拗ねちゃって僕の顔を見てくれないんだ。

拗ねたクリスも可愛いし、婚約者を構わなかった僕が悪いんだけど話しかけても顔を背けられるし、学園外で会ってくれなくて泣きそう…


泣いても解決しないからクリスに縋り付いてたくさん謝ってなんとか許してもらわないと…!

もう2度とよそ見はしないから…!!



♢♢♢



僕はアルティからよく『月夜の涙』について聞いていたからそのBLゲームについてよく知ってるんだ。

だけど彼はもう10年も僕の婚約者なのにあまり僕について分かっていない。

前世も含めるなら約16年も一緒にいたのにね。


彼、アルティ・ランサーに初めて会った日、僕はようやくこの世界が『月夜の涙』である事に気付いた。

だから彼が推しと推しの婚約者が上手く行くようにする為に僕との婚約を勧めたのも、僕へ愛を語ったのも知っている。

だって前世の君も推しへの語り愛が凄かったもの。

このゲームを僕に教えてくれたのも前世の君だったし。


ねぇ、横澤くん(アルティ)

当時の僕は君が好きだったからゲームの中の推しに嫉妬していくら君が勧めようともゲームをしなかったけどさ…横澤くんが亡くなって2年経った頃、とある有名漫画家がイラスト投稿した事からSNSにトレンド入り、人気急上昇してコラボカフェとかアニメ化とかしたんだよ。

それでね、君が勧めてくれた全年齢バージョンも当時高校生の君がやりたくて仕方なさそうだった18禁バージョンも全部やってみたんだ。

まさかの18禁バージョンにお助けキャラだったアルティ・ランサーが隠しキャラとして出てきた時にはびっくりしたけど今思うとやって正解だったなって思うよ。

だって君ですら知らない事を僕は知ってるんだから。

拗ねたり冷たくされたら追いたくなるのも君の色んな意味で良い所も。



だからね、僕の想い受け止めてね…?

ご覧頂きありがとうございます。



⭐︎宣伝

他にも話書いているので良ければどうぞ!



●追記(一応あった設定)

⭐︎ゲーム内

ゲームヒロインはクリス。

クロムはクリスに婚約者を取られた悲しみからクリスを暗殺しようとして失敗、逆にジルナに殺されるエンドか2人のイチャイチャに耐えきれず自殺エンドが主なゲームルート。

回避方法はクリスとジルナがくっつかなければクロムが死ぬ事は回避。

ただクロムはジルナに素直じゃない為、愛を感じ無い結婚となる。


⭐︎現世

前世のゲームで知っていたアルティは父上に頼み、ゲーム開始年齢より早くにクリスとの婚約を取り付ける。

後にゲームのヒロインという事もあり、ゲーム内(全年齢版)ではシルエットだったクリスの可愛さに一目惚れする。

※アルティはヒロインのお助けキャラ(モブ)

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