一緒に儀式を受けるって、フラグしか思えん。
いつも読んでいただきありがとうございます。次回は6/28(土)投稿予定です。
「弟のドゥルーには友人と呼べる友人が出来なくてね。ずっと心配してたんだが・・・なるほど、これも女神様のお導きかもしれない。」
おっと、もしかしてこの人も信奉者か・・・親父より過激じゃなきゃいいけど・・・。
ちょっとした発言で豹変しないかなと内心恐々思っているとドゥルーの兄がそうだと何か閃いた顔をした。
「君、歳は?」
「え?・・・12ですけど。」
「じゃぁ娘と一緒だ。もしかして儀式を受けにここに来たのかな?」
「え?・・・まぁそうです・・・。」
誤魔化そうとしたが鬼の様な顔の父の姿を思い出したアイリスは渋々素直にそう言うと、そうかと目の前の男は笑う。
「それは良い!これも何かの縁だ。君も一緒に儀式をしようか!」
「え?」「お父様!」
儀式をしに来たって言っているのに何を言ってるんだと思っているアイリスと自分の父親の言葉に悲鳴に近い声をあげたコーデリアと声が重なる。
「私は絶対嫌よ!なんで平民なんかと!」
私だって貴族となんてやだよ・・・思ってても口にしないけど。
近い未来貴族の関わりを避けたいと常日頃思っているアイリスは嫌そうな顔をする。
ただそれも困った様な健気な少女の表情にしか見えず、誰もアイリスの心情を把握は出来ていない。
「こら、コーデリアがそのように言うから彼女も困っているじゃないか。」
困ってはない、嫌だなと思っているだけです。
「?・・・ドゥルー神父、そもそも儀式って貴族と平民だと何か違うの?」
「うーん・・・実はこれは秘密にして欲しいんだけどね。」
え?秘密案件な訳?
聞くんじゃなかったなーって後悔しているとドゥルーは説明する。
専門用語も結構あってちんぷんかんな部分もあったが、要約すると平民と貴族の儀式は基本同じではあるが平民は昔からある建物に彫られた陣で儀式を行い、貴族は神官が書いた陣を使って行うらしい。
しかも特殊なインクを使って書いたその陣は女神の加護を受けやすくするための呪いが込められているらしい。
これは特に後継、後継者の子息息女の貴族に使うらしく、厳しい審査を受けそしてある程度の力を持つ聖職者がいないと出来ないとのことらしいがーーー。
「え?そんな限られた儀式なの?」
「えぇ、だから一般の方には秘匿されているんですよね。ですから内緒にしていてもらいたいです。」
えぇ・・・聞きたくねぇ・・・ん?
ということはだ、その厳しい審査に通った儀式にたまたま出くわした人間、それに平民ごときにそんなおいそれと一緒に儀式しようぜ!なんて軽率すぎやしないか?
「コーデリア、確かに縁だと思ったのもそうだけどね、正直私の能力の勘が告げているんだよ。この子も一緒に儀式を受けさせるべきだって。」
考えれば考えるほど断った方がいいんじゃないかと思い始めたアイリスは断ろうと口を開いたが先にドゥルーの兄が先に言い始めアイリスは思わず開いた口のまま彼を見た。
絶対断れないじやつじゃん。
一類の望みをかけてコーデリアを見つめる。
お前の我儘を押し通せ!
「・・・そんな、お父様の勘と言われてしまえば・・・私反対できませんわ。」
おいー!!なんで急にしおらしくなるんだよ?!
まさかの即座の白旗にアイリスは思わず馬鹿野郎と思っていると、ぽんぽんと肩を叩かれた。
振り向くと大の大人2人がにっこりと笑っている。
「じゃぁ娘の了解ももらったことだし、一緒にしようか?」
「え?いやあの・・・。」
「あぁそうだ、自己紹介がまだだったね。私はジルベスタ=バイア・v・ロンマンディリというものだ。これでも公爵家で自慢じゃないが宰相を務めているから素性はしっかりしているよ。」
「え!公爵?!」
自分が思った以上の格上の地位だったことに素っ頓狂な声を出すとジルベスタは笑った。
「まぁ、そんなに驚かなくていいよ。それより早速儀式をしようか。準備はできているのか?」
「大丈夫だよ兄上。」
これは・・・逃げられないな。
もう断れない雰囲気にアイリスは心の中で頭を抱えた。
・・・変なことにならなきゃいいけど。
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