まさかの貴族登場か
いつも読んでいただきありがとうございます。次回は6/21(土)投稿予定です。
「え?!」
まさか言い返されるとは思っていなかったのか、馬車から出てきた貴族の子は驚きの声をあげたがアイリスは不機嫌な顔のまま見やる。
何故か分からないが周りから見たアイリスの表情は悲しげでな眼で戸惑っている表情に見えるらしい。
主人公という枠組みによるチート補正なのか、ただ単にアイリスの顔が可愛いだけなのか理由は不明であるが大概の人間は暴言を吐いても気のせいと思うかそばにいる人間が言ったのかと勝手に勘違いをする。
現に今目の前にいるこの少女も困惑している様子で暴言を吐かれたとは思っていないようだった。
しかし・・・まぁーーー。
改めてアイリスは目の前にいる少女の姿を足の爪先から頭の先までじっくり見る。
ゴテゴテの赤と黒であしらったドレスに縦ロール巻きの金髪、そして綺麗な顔をしているが釣り上がった紅い瞳で印象がキツく見える。
なんというかいかにもな服装にアイリスは思わず眉間に皺を寄せていると、ドゥルー神父が彼女を叱っていた。
まぁ、叱っていると言っても彼の場合注意程度だけどーーー。
「ダメだよ、コーデリア。そんな風に言っては。」
「でも叔父様!こいつは女性ですよ!何か変なことを企んでいるかも知れませんわ!」
企んでないよ、言いがかりな・・・でも、叔父様って事はもしかしてドゥルー神父って貴族出身ってこと?
コーデリアという名前の彼女の言葉に、アイリスは妙に納得する。
彼の佇まいに所作、そしてただの普通の田舎の教会なのに何故か上等な質の法衣。
顔の美貌もそうだが、何かしら訳ありな人だとういうことは薄々気がついていた。
でもだからって深く聞こうと思った事はないし、人生長く生きていれば秘密なんて色々出来るものだ。
たった12年生きてきたそんな私でさえ前世持ちっていう秘密があるんだし別に気にしてないしね。
「ははは、コーデリアは本当にドゥルーが好きだねぇ。」
「お父様!」
ひょこっと彼女の後ろから現れた、これまたハンサムイケメンが顔を出す。
「兄上。」
ドゥルーは彼の顔を見た途端嬉しげに笑う。
「よく時間が取れましたね?」
「ははは!コーデリアにとって大切な儀式だし、弟にも会いたかったからね。元気そうでよかったよ。」
「兄上こそ!変わらずで安心しました。」
アイリスの前で握手を交わす二人組をじっと見つめる。こうして見るとドゥルー神父に似ているな、なんて思っていると、彼の兄と言われた男と目が合う。
「おっと、もしかして君がアイリスかね?」
あれ?なんで名前知ってんの??
「君のことはドゥルーからの手紙で存じている。」
「そうだったんですか・・・。」
「なんでも友人だそうだね?」
その言葉にこくんと頷く。
「はい!マブダチです。」
「マブ?」
「彼女でいう仲の良い友人という意味だそうですよ。」
ドゥルーの言葉に一瞬間があったがすぐさまそれはいいと笑い声が響いた。
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