口は悪いが美少女ここに爆誕!
いつも読んでいただきありがとうございます。次回は5/24(土)投稿予定です。
「ねぇ父さん、俺思うんだけど、本当にあのままでいいの?」
本日快晴、畑日和だ今日も働くぞ!なんて思っていた父ナーグは不意に後ろから声をかけられ後ろへ振り返る。
「え?何がだい?ラーグ。」
呑気に返ってきた言葉にラーグと言われた8歳ぐらいの背丈の少年ははぁと大袈裟にため息を吐いた。
「何がって、父さん本気でそんなこと言ってる?姉貴のことだよ!」
「え?あぁアイリスかい?確かに今日は教会で儀式があるけど、大丈夫。あの子はしっかりしているし「違う違うそんな事が言いたいんじゃないよ」・・・じゃぁ何が気になるんだい?」
よく分からないなとナーグは頭をポリポリかく。年齢の割に髪の毛の寿命にカウントダウンな頭に手をやっているラーグはため息をさらに深く吐いた。
「たっだいまー!!」
「おぉ、帰ってきたみたいだ。おかえりアイリス、怪我はしなかったかい?」
玄関の扉を見ればそこには12歳になったアイリスが立っていた。
肩にぶら下げたあるものをそのまま置く。
大きな葉で包まれているそれを広げて満笑な顔を向けた。その笑みはまるで可愛い花を見つけたと言わんばかりの可愛らしい笑みを浮かべている。
元々容姿が整いお淑やかな可愛い印象を持つ彼女だから余計にその笑みは誰もが可愛いと思う表情だった。
「見てよ親父!良い獲物が獲れたんだ!今日は鶏肉で晩御飯だ!」
「おぉ!本当だ新鮮な肉だなぁ。」
可愛い声で次に口を開いた瞬間、後ろで黙って見つめていたラーグは顔を手で覆う。
「絶対おかしい・・・。」
「今日は結構たくさん飛んでてな!さっき近所のおばさんにもお裾分けしてきた!めっちゃ喜んでだぜ!・・・ん?どうしたんだよラーグ。腹痛いのか?」
「姉貴・・・。」
ゆるゆると手を退け顔をあげたラーグはまるで残念なものを見る目でアイリスを見ていた。
「家の贔屓目なしに姉貴は可愛いけど、なんでそんな言葉遣いしかできないの?」
「え?だって警備隊のおっちゃんらこんな感じだし、別によくね?」
「その前に姉貴は女だろ?!ギャップが激しいんだよ!」
とうとう見かねたのかラーグはズバリと断言する。
そう、前世を思い出しそれから月日を重ねるにつれ、前世からサバサバしていた性格だったせいか可憐で可愛らしい姿のまま口は男口調へと変化していたのである。
「そう言ってもなぁ・・・。」
「はぁ・・・なんでこんなに残念な感じになったんだろ・・・。」
そんなラーグの様子にナーグはまぁまぁと宥める。
「良いじゃないか、口調が変わっていてもアイリスは優しい子だし、そのらの男より腕は立つじゃないか。私はとても誇らしいよ。」
「流石親父!大好き!」
「ダメだ、この親子。」
嫁の貰い手がなくても知らないよとラーグはボソリと呟いたが2人は全く耳に入っていなかった。
いつも読んでいただきありがとうございます。