今日から入学です(投げやり)
いつも読んでいただきありがとうございます。次回は11/29(土)投稿予定です。
「今日いよいよねぇ。」
とあるメイドが、今日は洗濯日和になると占い師から聞いたので朝早くから洗濯物を気合いを入れて干し始める。
洗濯係のメイドは見習いのものが多く、彼女もそのうちの1人であり、話しかけた相手も見習いメイドである。
4月で春の陽気になったとはいえ洗った洗濯物が冷たく感じ、両手を擦りながら相手の幼いメイドはシーツを干し始める。
「いよいよって何が?」
「何がって・・・あんた、今日がお嬢様の学園入学式だって事忘れたの?」
呆れたように言い返した言葉に、言われたメイドもようやく今日がなんの日か思い出す。
「そうだった!毎日忙しくて・・・えへへ。」
「まったく・・・だから皆慌しく動いているっていうのに・・・。」
「でもコーデリア様にこの前たまたま遠くから見れちゃったんだけど・・・すっごく綺麗な人だったなぁ。本当に同じ10代なのか疑うくらい・・・。」
あの時の事を思い出してメイドはほわっと頬を赤める。長い美しい長い髪の艶やかさ、そしてその美貌にスタイルまで、全て完璧だと言える。
「そういえば、コーデリア様のお隣の方も違う美人な人だったなぁ。」
「あら?もしかしてあんたアイリス様知らないの?」
素直に頷くと、小さくため息をはく。
「アイリス様はね、公爵様が後見人の方でコーデリア様とも仲がとても良いんだ。」
それにあの華奢な腕で魔物の討伐へ率先し圧倒いう間に功績を立てた。この前のAランク魔物の大群も彼女が1番多く狩ったのだというと幼いメイドは俄には信じ難いと怪しげに眉を顰めた。
「うっそだー、だって遠くから見てもそんな騎士様のように倒すなんて信じられないよ。」
「まぁ、私も半年前に入った時は信じれなかったんだけどね。」
「え〜・・・あんなに可憐な人なのに?」
見習い達からそんな事を言われているとはつゆも知らずアイリス達はまたせている馬車の前に立っていた。
勿論、指定の制服を身に纏いながらコーデリアは両親に抱きしめられていた。
「行ってきますわ、お父様、お母様。」
「あぁ、せっかくの学園生活だ。楽しんできなさい。」
「体調には気をつけてね。休みの日には帰ってきて元気な顔を見せてちょうだい。」
「はい、勿論ですわ。」
「アイリス、コーデリアの事は頼んだよ。」
公爵の言葉に、アイリスは優雅にスカートを摘み優雅にお辞儀をする。
その所作はコーデリアと同等に完璧な淑女としての礼儀作法で、周りの従者達も思わずほぅと見惚れる。
勿論、こうなるまでに彼女の血の滲むような特訓に挑み、この2年で取得した成果の賜物である。
公爵も満足げに頷く。
そしてアイリスは可憐な姿で顔をあげる。
「おうよ!勿論だよ公爵様、ちゃんとコーデリアのサポートするから安心してくれ!」
うぐっ、と誰がか声をくぐもらせる音が公爵の耳にも届く。
可憐に儚く笑みを浮かべているのにこの口調である。
そう、所作は完璧なアイリスだったが、結局口調は変えることができなかったのである。
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