ん?・・・待てよ?これって悪者の所業に似てないか?
いつも読んでいただきありがとうございます。次回は10/4(土)投稿予定です。
「彼女は、平民自信のなかった私を勇気づけてくれた、数少ない友人に対してその言葉取り消しなさい!」
え?元平民だったの?公爵夫人。
新たな事実にアイリスは軽く目を見張る。痩せこけているとはいえまさか自分と同じ身分出身とは到底思えないような清廉な立ち振る舞いはそれだけこの人が努力した結果なのだと理解する。
でも、それにしては随分コーデリアは平民を馬鹿にする態度だったな。
「おっと、他の人は呼ばないでくれない?面倒になるから。」
「んー!!」
母親の出自が恥ずかしく思っているのかと自分なりに推察していると彼女が衛兵を呼ぼうとしたので思わず魔法で拘束し、口も見えない魔法の手で塞ぐ。
目が合うと恐怖の目の色で怯える彼女に参ったなとアイリスはため息をする。
別にこちとらあなたに危害加える気さらさらなかったんですけど?・・・まぁ仕方ないか、聞く耳なかったし。
公爵夫人を拘束した事を正当化しつつ今の状況さてどうしたもんかと考える。
本来ならここで夫人の理解を求め穏便に相手を粛正する方向にしようかとも考えていたが、それは難しいと判断した。ジィっと夫人の目を見てアイリスはなるほどと合点した。
「夫人、貴女随分前から魅了にかかっているみたいだね。よく公爵家欺けてきたなあの女。」
夫人のもっと深く痕跡を見ていったアイリスは雁字搦めな魅了の魔法がかけられている事に気がつく。
自我はそのまま、好感を植え付け刷り込んだような魔法にアイリスは嫌な顔をした。
「成程、だからあんなにあからさまな態度を見せても何も言われなかったのか。っていうかコーデリア、最悪少しは公爵もかかってる可能性あるな。つーか、魅了って禁止魔法の一つだったよな?よくしたなーあいつ。」
呆れを通り越して感心する。
まぁ、そんなことよりこの人にかかった魔法の解除しないとだけど・・・段階踏まないと精神壊れそうだな。
でもなー何度もここに足を運べないし、その前にこの薬飲まされておじゃん、なんて笑えないし。
・・・うん、この方法しかないか。
「なぁ夫人、私と賭けをしないかい?」
怯えたままの夫人ではあったが取り乱す事はなく、私の話を聞いている姿勢を確認し話しを進める。
「私と共に行動すればその病治してあげるよ、それでその間さっきの言葉が真実か嘘かかけてみようじゃないか。貴女が信じるご友人が貴女の言う友人なのかどうか。」
夫人は何か訴えるようにくぐもった声を出す。だがアイリスは塞いでいる魔法を解除する事はなかった。
大方、旦那様の意見を仰いでーーーとか何とか言っているんだろうけど。
「悪いけど、時間がないんだよ。選択はハイしかないよ。」
そう言うとアイリスは彼女の髪数本を切り落とすとその髪に息を吹きかける。
舞った髪の毛は宙で大きく何かに膨れ上がったあと形作る。
そこには夫人と瓜二つな人がそこにいた。
思わず夫人は悲鳴をあげるが誰にも届かない。
「貴女の身代わりです。意思は無いので空っぽの人形な存在ですが、貴女と同じ血肉をもつ存在です。これがここに居座ってどうなるか見てみましょうか。」
そういうとアイリスは宙に大きな穴を作り出す、そしてそのまま本物の夫人をその穴の中へと沈み込ませていく。当然、夫人は悲鳴と小さな抵抗を見せた。
「大丈夫だって、ちゃんと色んな外のモニターは見せるしご飯だってちゃんとお世話しますから。」
言い聞かせるようにいったアイリスは夫人を悲鳴事穴の中へと沈み込ませた。
どぷんと水の鈍い音のようなものをさせて夫人を取り込むと、大きく伸びをした。
「さて、10日・・・いや20日ぐらいいるかなー。」
そう言ってアイリスは部屋を後にした。
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