いかに生き残るべきか、それが問題だ。
いつも読んでいただきありがとうございます。次回は5/10(土)投稿予定です。
乙女ゲーム「あなたの色に染めて」とかいう、ある意味エチチに聞こえなくもないこの題名の乙女ゲームは妹がハマっていた魔法ある世界のファンタジーな貴族学園の話である。
ありきたりな設定なこの乙女ゲームは主人公であるデフォルト名だとアイリスという少女が特殊な力を授かることで貴族の学園に通うことになってしまった王道設定から始まる。
そして、その特殊な力故、両親と別れとある子爵の養子となり16歳に学園の門を叩き、さまざま攻略対象と出会い親密になりつつ、その間学業に勤しみ女子からの嫌がらせに耐え、何と魔王復活を目論み暗躍している闇組織、そしてラスボスを親密になっていった攻略対象とその他諸々の力を借りて倒し、最後の3年の卒業の際、自分の持っている魔石に攻略対象の属性の色に染まりながら愛の告白を伝え誓い合うという最後を迎えるというものだ。
確か妹から2作目だの後日談をまとめたF Dもあるんだとか興奮気味に言っていた気がする。
でも特殊な力って何だっけ?・・・あぁ、そういえば12歳になると教会で洗礼を受けるときに自分の潜在能力を女神様から授かるっていう話だったよな?
その時にえっと強力な癒しの力と親密になればなるほど他人の魔力の増幅を可能にする【リミッター解除】っていう能力をもらうんだっけ?しかも人体の影響なしというリスク無く上限もない魔力を増大することができるっていうやつ。
だから、ラスボスも主人公狙うことになるし攻略対象、特に王太子とかが興味を持つっていう何とも美味しい存在、それが私というわけだ。
・・・え?いやだしそんなのそれってただ私の能力目当てじゃん。能力目当てから始める恋って何?
妹がこんなゲームにハマっているって知った時はちょっと引いたけど、今そんなことを言っている場合ではない。
「何とか、人物を思い出さないといけんな。」
森から帰って来たアイリスは自分の部屋に戻り、紙と羽ペンを持つ。
とにかく重要人物を思い出しとかないと回避しようにも遅れをとってしまう。
「先ずは王太子で名前は・・・・・・・・・。」
はて?名前なんだっけな?
昔の記憶と今の記憶を思い出しながら王太子の名前を懸命に思い出そうとアイリスは唸る。
「・・・・・・確か、えらい長ったらしい名前だったな。」
王太子だから名前が長いのは当たり前である。
「まぁ、いずれわかるし・・・後は宰相の息子の公爵家の・・・これも名前長かった。次は確か隊長の息子!いや、どの隊長の息子だっけ?平民・・・上がりって言われてたような・・・まぁいいや、そいつと他は錬金術とか詳しい・・・誰だっけ?確か一個上じゃなかったっけ?」
しどろもどろ紙に書き足しながらアイリスは書いていく。
「そうなると後輩の誰かとかいたような・・・ダメだ思い出せん!」
まさか妹の解説を生返事で聞いていたことを悔いる日が来るとは思わなかった。
「しかも一番知っておくべきラスボスが誰なのか・・・知らん!」
一番重要な人物が分からないことにアイリスは頭を抱えた。
「待てよ・・・これって、ほぼニューゲームの知識じゃねぇか!」
自分の知っている知識がほぼ当てにならないことを理解したアイリスは頭を抱えたのだった。
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