結局のところ避けられなかった。
いつも読んでいただきありがとうございます。次回は7/19(土)投稿予定です。
痛みに耐え終えたアイリスは嘘のように自分の身体が軽くなっていくのを感じ取り取りながらその場から立ち上がった。
あれだけの疲労感を持っていたのに、嘘のように疲労感を感じない。
これはもしや自分のステータスの数値が関係しているのだろうか?
いや、そんなことより自分のスキルだろう。
残念ながら懸念していた【リミッター解除】のスキルをもらっている事も遺憾だが、それよりもこの【闇の権化】はどう考えてもまずいだろう。
「・・・は、ていうか嘘だろう?」
っていうかこのスキル・・・前世でやってたゲームのスキルじゃねぇか!
アイリスとして目覚める前やっていたゲームのアバターのスキルそのままそっくり自分に反映されていることに気が付いたアイリスは思わず心の声が口から漏れた。
【闇の権化】もそうだけど【最強錬金術師】に【歴代大魔法師】、なんてあの時していたソロでイベントクリアするために集めた称号ばっかじゃねぇか!
しかも念のためにつけていた【大聖者】なんてものもある。
・・・嘘だろ?もしかしてさっき神様に文句言ってたからか?
「嘘だろマジかよぉ・・・。」
「アイリス!」
自分のスキルに頭を抱えていると、後ろから声がかかったのでゆっくりと振り返ると、読んだドゥルー神父が顔色を変え距離を取ろうとしたのが分かった。
「君は・・・アイリス、なんだよね?」
流石に聡いなとアイリスは彼の行動を冷静に見やる。
彼は聖職者だ、おそらく自分のスキルを過敏に感じ取ったのだろう。
闇の権化、約200年前に小国を3つ壊滅させた人間が持っていたとされるスキルと全く同じだ。
別名魔王と呼ばれたというーーー。
とにかく、このままじゃ埒があかねぇよな。
「ドゥルー神父が何を聞きたいかはなんとなく分かります。正真正銘、アイリスです。ただ、厄介なことになったんだけど。マジどうしたもんか・・・。」
はぁっとため息を吐いたアイリスの様子にいつもの彼女だと確信したドゥルーはホッとする。
「よかった、怪我はないかい?」
「無いけど・・・ドゥルー神父どうすりゃいいと思う?隠蔽しとく?」
「隠蔽だけで隠せたらいいけど、きっとそれは難しいだろうねぇ。それよりこの漏れ出る禍々しい魔力は・・・スキルのせいかい?」
「そう、いくつかスキルもらっているけどこの黒い魔力はどうやら【闇の権化】が原因みたい。」
自分の身体の周りにまとわりついているような黒く毒々しいその魔力の正体をドゥルーに伝える。
ついでにしれっと他のスキルは教えない。
「なんということだ・・・何故そのようなスキルが・・・。」
いつもあまり驚かないドゥルーでさえも彼女の周りに出ている原因を知ると顔を青ざめた。
「どうにかして、それは隠蔽しないと。王の耳にでも入ってしまえばーーー。」
これもステータスのせいか彼の小さく呟いた言葉を聞き、自分はまずい状況になったのだと理解する。
やべぇな、下手したらこれ私危険人物として逮捕される可能性か?
アイリスはどうしたもんかと頭を悩ませた。
いつも読んでいただきありがとうございます。




