やっぱりフラグだったじゃん。
いつも読んでいただきありがとうございます。次回は7/5(土)投稿予定です。
アイリスは半ば強引に儀式を同伴することになり、内心嫌々ながらも教会へと足を運んだ。
だって前にドゥルー神父、隣にコーデリアという同い年の貴族令嬢、そして背後には令嬢の父親で何故かホールド状態されてんだよな。
退路を断たれたようなポジションにいるアイリスが小さくため息を吐いていると前を歩いていたドゥルー神父の足が止まった。
丁度礼拝堂の女神像の前だ。
背後のステンドグラスの光が女神像に当たり神々しさを出している。
その前にはいつもなら小さな祭壇があるが撤去され、何か魔法陣が地面に描かれ施されれていた。
いや、描かれているというよりは床に彫っているのか。
アイリスがマジマジ見ていると、ドゥルーが何かを手に持ってきた。
銀の杯、聖水である。
それを手慣れた様子で何か聞き慣れない言語を呟きながえら彫られている部分へ聖水を注ぐ。すると黒色の陣が金色へ輝き出した。
「さぁ、準備ができましたよ。」
「私が先にやりますわ!」
聞くや否やコーデリアが先に名を上げる。
もちろん、アイリスに先にしたいという意思はないのでもちろん譲る。
そんなアイリスの態度が面白くないのかフンッと鼻を鳴らしながら陣の中央へ行き跪くと、両手を組んで彼女は祈りのポーズをした。
祈り始めてしばらくして魔法陣が先ほどより強い光を放つと天井から光の粒子が舞い降りてくる。
へぇ・・・こう見ていると本当に女神様っているんだなぁ。
その神々しさにアイリスは見惚れていると光に触れたコーデリアも己自身光出す。そして、すぐに光は収束した。
「や、やった・・・やりましたわお父様!加護が授かりましたわ!」
少し興奮気味に陣から出てきたコーデリアは父親に報告する。
そんな娘の様子にジルベスタも満足そうに笑い、彼女を抱き止めた。
どんな加護を授かったのか不明だが、きっと彼女にとって良いものだったのだろう。よかったよかった・・・。
「さぁ、アイリス。君も陣の中に。」
他人事のように突っ立って2人を見ていたアイリスだったが、自分も儀式を受ける予定だった事を思い出しドゥルーに促されるままアイリスも陣の中央へ向かう。
とうとうきてしまったか・・・。
ティリエスはコーデリアと同じように両手を組み祈るポーズを取る。
思えば前世の事を思い出してはや2年ーーー。
主人公と同じ道を辿るまいと対策を講じてきたが、とうとうここで水の泡となるのかと思うとアイリスは落胆する。
いや、鍛えられたから別に無駄ではなかったけどーーーでもさ。
ここでアイリスは考える。
他人のために力を増幅させるスキル、マジいらねえ。
女神は己の願いを聞き届けることがあるって言われたことを思い出し、アイリスは女神に祈る。
女神様、女神様。
私、正直他人の為に力を与えたいとかそんなの露も思ってません。なのでそんな能力与えないでください。
というかなんで私、この世界にいるんでしょうね?やり込んでいたゲームとか仕事とか推しの追いかけとか、色々あったんですよ?
本当、独り身だったけど私充実してたんですよ?なのにここにいるんです。本当もう勘弁してほしいわけ。
祈るうちに女神に愚痴が止まらなくなりアイリスはだんだん苛立っていくのが分かった。
だけどもし自分が今ここにいるのは女神のせいでということならと思うと止められなかった。
もー本当に嫌なんですよ。なんで他の男とキャッキャッうふふなことしなきゃなんないのか・・・ぜってー貴族の人間に会いたくない。だから平々凡々なスキルをくれ・・・いや、本当あのゲーム頑張ったのに全部おじゃんした。その悔しい気持ちはいつまで経っても治らない、なぁ女神もし聞こえているんなら・・・ゲームで鍛えた私をそっくりそのまま私のステータスに変えてくんないかな?勿論全部、生産系も戦闘系も。
なーんちゃってとそう思っていたら、辺りの光が酷く眩しくなりティリエスは思わず「へ?」と間抜けな声を出した。
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