ツノスライムとの戦闘
悲鳴がした方に走っていくと、そこには魔物と小さな剣と盾を構えた女の子がいた。
魔物はスライム…ではなく、角が付いたツノスライムだ!
クエスト屋のシュルンの情報によれば、ツノスライムはスライムとほとんど変わらないが、角がついたおかげで攻撃力が増しているらしい。
女の子はツノスライムに怯え、じりじりと後退しているようだった。
「もう!スライムを討伐しに来たのに、なんでツノスライムが来るのよ!誰か助けてよー!」
普通のスライムに苦戦した俺にとって、ツノスライムの相手は分が悪い。助けに行っても返り討ちにあうかもしれない。どうする?
そんな弱気な考えよりも、俺の体は「助けて」という声に反応していた。俺がこの世界に来たのは、魔物から人々を助けるためなんだ。俺は何とかツノスライムと女の子の間に割って入った。
「あ、あの、助けてくれるんですか?」
後ろから、女の子の驚いたような声がした。
「俺に倒せるかは分からないけど、助けに来ました!」
ツノスライムの様子を注意深く見ながら、俺は答えた。さっきみたいに【オネダリ】のスキルさえ効けば何とか倒せるはずだ!
ツノスライムが体当たりのために、体を小さくかがめ始めた。今だ!
「ツノスライム、ちょっと待って!」
これで動きが止まるはずーーーだったのだが
「ピギギィ!!」
ツノスライムは動きを止めることなく、体当たりをしてきた。
俺はなんとか剣の鞘で攻撃を受け止めたが、予期しない攻撃に態勢を崩してしまった。
「なんでだ?さっきのスライムには効いたのに」
ツノスライムにはスキルが通用しないのか?俺は困惑しながらも立ち上がり、女の子を守るように身構える。女の子は剣を構えたまま、怯えて動けないようだ。
幸い、ここから街の入り口までは遠くない。時間を稼いでいれば、誰かが救援に来てくれるかもしれない。それまでは、俺が引き付けておくんだ!
俺は覚悟を決めて攻撃に転じた。
「うおおお!当たれええ!」
だが、俺の素早さでは簡単にかわされてしまう。そして、ツノスライムの反撃が来た。
「ピギィ!」
「ぐっ!!」
ツノスライムの攻撃をよけきれず、左足を鎧ごと突かれてしまった。しかし、攻撃をしたツノスライムがじたばたともがいている。なにがあった?
よく見ると、ツノスライムの角が、俺の鎧に挟まり、動けないようだ。これはチャンスだ!
だが、さっきの攻撃を受けたときに剣を落としてしまった。拾いに行こうにも、足がうまく動かせない。
「だ、誰か、ツノスライムを攻撃してくれ!」
俺は、街からの救援を期待して叫んだ。だが、街の入り口の方を見ても人影はない。助けは来ないか?
どうすればいいかあれこれ考えていると、ズバッ!と鋭い攻撃がツノスライムを倒した。一体誰が助けてくれたんだ?
剣を持った人物を見ると、さっきまで怖がっていた女の子だった。あれ?君ってこんなに強かったの?
俺が目を丸くしていると、驚きに満ちた女の子の声が響いた。
「え?何?あたしが倒したの?ええええええええ!?」
どうやら、倒した本人が一番驚いているようだった。
こうして、俺と女の子は何とかツノスライムを倒すことができた。