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6.箱の中

 途中で由加が青ざめます。それは何故でしょうか? 考えながら読んでみてください。

 温かい春の陽気の日曜日の朝。朝食を済ませ2人分の食器を由加が洗っていると拓実の悲鳴が聞こえた。

 由加は洗い物の手を止め、慌てて拓実の所に駆け付けた。


「大丈夫!? 悲鳴が聞こえたけど。」

「由加、これを見て!」


 拓実の指さす先には、段ボール箱があった。由加が中を覗くと、箱の隅に白いふわふわした毛に覆われた何かが居た。


「ぎゃあああ!? 何これ!?」

「・・・分からない。でも気持ち悪いね。」

「拓実、これネズミじゃない? 毛っぽいのがあるよ。」


 2人は近づきすぎないように遠くからネズミと思われる物を見た。動かないことから、死んでいるようだ。


「でも、今までネズミなんて見たこと無かったのに。」

「僕の実家でネズミが出た時は、夜中に走る音とか鳴き声が聞こえたけど、ここでは聞いた覚えがないな。」


 由加は突然何かを思い出し、青ざめていた。


「由加?」

「・・・何でもない。あとで処分しないとね。」


 由加はキッチンに戻り洗い物を始めた。


 拓実は段ボール箱を改めて見た。中にはネズミの死骸がある。ネズミがみかんを食べに段ボール箱に入り、出れなくなったか何かの理由で箱の中で死んでしまったのだろうか。


(この段ボール箱はたしか・・・)


「みかん」と大きく書いてある段ボール箱。冬に由加と出掛けて買って来たみかんだった。最後に見た時には残り少なかったので、みかんを移して箱を処分するように由加に言ったのを思い出した。


 その時、拓実はある事に気がついた。


 青ざめた拓実はキッチンに居る由加の元へ急いだ。


「由加!! 段ボール箱の中の、ネズミじゃないよ!」

「え!?」


 由加は洗い物をする手を止めるとキッチンから出ようとした。だがその手を拓実が掴むと、振り向いた由加の顔は青ざめていた。









「由加!! あれはネズミじゃなくて、カビの生えたみかんじゃないか!!」

「・・・バレちゃった?」


 由加は青ざめながら笑ってみせた。


「いやー、さっき気がついたんだけど、焦ったよね!放っておくと、カビってあんなふうにフワフワになるんだ。本当びっくり!!」

「残り少ない時に箱から移した方がいいって、僕言ったよね?」

「いや、そうなんだけどね、やろうと思って忘れてたのよ。ごめん、ごめん。」

「由加!! さすがにこれは無いよ!!」


 普段は温厚な拓実だが今回ばかりは由加をしっかり説教し、そのあと2人でみかんを処分した。

 読んでいただき、ありがとうございます。

 5月23日まで、思いついた事を連載しようと思います。

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