闇落ちマイクの情報
「そうだ!二人に情報共有したくて!ブールスの話によると、闇落ちマイクがダンラを殺したって話は多分デマみたいよ」
「あ!それで言うと、俺が共感覚で感じた感情は悲しみみたいな感じだったな!」
(共感覚?ああ、確か同じ世界に複数の魂があると起こるやつか)
「なるほど」
「それで、これからどうする?もう少し闇落ちマイクについて調べてくる?」
(俺に聞いていると言うことは、この体はこいつらのボスが計画を立てる役か?)
「ああ。だが、とりあえず一度休もう。ゲートを開いたからか体力が少なくなっている」
(口調は怪しいからぼやす。一人称は入れないでいた方がいいな。休む間にどうにかしてもう一度あのゲートを使って俺の世界に帰ろう。あいつらは絶対に殺す)
あいつらというのはこのベースの世界のアリカとマイクのことである。
彼はアリカが殺人の容疑をかけられた時、それが無実だと証明するため、まず自分が容疑を被って、その後マイクとアリカに無実の証言をしてもらうことにした。
だが、彼の裁判の時二人は現れなかった。
そして牢獄の看守に
『お前は捨てられたんだよぉ!あの女の罪を被るなんざバカな真似しなきゃよかったのになぁ!』
と言われた。
そして彼はもう二人を許さないと心に誓ったのだ。
そして、三年前、異世界から来たものとして囚人が増えた。
その人はベースに自分が来た異世界のことを多く話した。そしてベースにここから脱獄するのを手伝ってほしいと持ちかけてきた。
彼はその女を面白く思い、逃してやった。
彼はその女を殺した罪も被ったのだ。
他にも脱獄をしたいと言う仲間たちも流してやった。
逃してやった三人はその女考えた案で脱獄に成功し、今も生きている。
なぜその三人を助けたと言われれば、あの看守が苦しんでくれるならそれで良かったのと、自分が人を殺したと聞いたら、マイクやアリカはどう考えるのか気になったからだ。
「ということがあったんだ」
目の前には仮面を被った男が座っている。
ここは、異世界に飛ばされてしまったこっちの世界のベースである。
「どうして、あなたはその話を?」
「私の部下にその三人がいてな。そして、私は君にベースの冤罪を証明し、こちらの世界に連れ戻してほしいんだ」
「分かりました」
「ベースは牢獄にいたはずだ。きっとそこにゲートもあるはずだ」
(どの世界でも俺たちは知り合いなんだな)
そんな疑問が浮かんだが、今はそんなことよりもアリカやマイクの安全が重要である。
「分かりました。そこに向かいましょう」
そして二人はアーベルカ王国に向かった。
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「休むならやっぱ憩いの場よね!今すぐいきましょう!」
「ああ」
「てか、なんかベースの雰囲気おかしくねぇーか?」
「そうか?」
「気のせいでしょ! 行きましょ!」
マイクはすごく察しが良い。いや、アリカが悪すぎるだけかもしれないが。
そして憩いの場に着く。ゲートは異世界の同じ場所に繋がるようで、アーベルカ王国の地下に出たのだった。
「じゃあ、俺はこれで、、、」
「え!?」
「今、ベース、なんて!?」
(まずい、一人称は俺じゃなかったのか!?)
「い、いや、なんでもない」
「そういえば、ベースは共感覚で何を感じたの?」
「え?それは、、、」
異世界のベースが言い淀んでいると、
「お前、ベースじゃねぇな?」
と、マイクが言った。
場が凍りつく。
「くっ、だとしたら?」
「ベースはどこだ?」
「え、え、まじ!?気付かんかった、、、」
「俺も知らねぇ。俺はただ俺の元いた世界に帰りたかっただけだ」
「あー、いや、よく分かんないけど、私たち、また戻るしかなさそうだわね」
「じゃあ、その話、協力するぜ!」
「え。いいのか?」
「じゃあ、せっかくだし、お礼に異世界の闇落ちマイクについて知ってることを話してくれない?」
「いいぞ。俺がきちんと元の世界に帰れたらな」
そして、二人がベースのいる世界に戻ると、
「あ!ベース!!!」
そこにはベースの姿が。鉢合わせたのだった。
「ここは移動手段が確立しててすごですね、、、って二人とも!?なんでここに!?」
「見つけたわ!帰りましょ!あと、このベースから情報がありそうだわ!」
「俺たちがあっちの世界で見つけた情報も合わせて伝えるぞ!」
「分かった。その前に、、、アリカさん、今まで騙しててごめんなさい。さっき言ってたこと、こっちのベースさんに言えますか?」
「ベース、、!?あなたは、、、」
「てめぇ、誰のせいで俺が、、!!」
「ごめんなさい。私もその時、、、、」
どうやら、アリカさんもネイビー王国の政府の思惑で証言ができないようにされているようだった。
ネイビー王国について少し気になるところだが、とりあえず、ベースは、マイクとアリカから共感覚と、ダンラを殺したのはマイクではないと言うことを教えられた。
「それで、ベースさんの話は?」
「俺は牢獄で不思議な女に出会った。あ、アリカは気にすんなよ。俺はそいつのことどうも思ってねぇーから。
そんでそいつはその闇落ちマイクとやらの世界から来てるみてぇーで、その皇帝について語ってきたんだ。
俺も良くはしらねぇが、皇帝は全属性の魔法を使うらしい。そしてそいつは愛する人を亡くしたから狂っちまったらしいぜ。
俺が聞いたのはそれだけだったな」
そう教えてもらい、三人は元の世界へ帰った。
憩いの場で作戦会議である。
「さっきのベースが言ってたことは悲しいけど、そんな狂っちまうことなんてあるのか?」
「あるわよ。マイクにはわからないかもだけど、普通はそうなってもおかしくないんじゃない?例えば、ベースはマイクが死んだらやばいんじゃない?」
「うん。マイクのいない世界に僕の生きる意義なんてないからね」
「うおお、おけ」
「でも、不思議なのは単純に狂ってるなら、こんなふうに手の込んで異世界にまで手を伸ばそうとするとは思えないよね」
「それ私も思った!」
ベースは長考したあと、口を開いた。
「もしかしたら、その女はネイビー王国の誰かで、魂はすごく薄いけど、オリジンの血を引いてるからワンチャンどこかの異世界に転生してることに賭けて、闇落ちマイクはそれを探そうとしている?」
(それならば、わざわざほとんどの国を手の中に入れたのも、異世界へ手を広げ始めていることにも納得がいく)
「僕がここに飛ばされたのも、そのマイクが、今僕たちのいる、仮面の男たちの世界へ偵察にでも行っていたのに巻き込まれたみたいだね」
「じゃあ、これから俺たちのやるべきことはなんだ?」
「引き続き情報収集だけど、その愛する人とやらの情報も探れたらいいね」
そう話していると、突然ゲートから闇落ちマイクの世界のアリカが出てきた。
「残念だけど、その時間はないわ。さっきマイクがやってきて3日後に私たちにこの世界を攻めるよう命令を出したわ。
私はあっちの世界の騎士なのよ」
「それ、まずくない?」
また作戦を練り直すことにした。
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闇落ちマイクの世界のネイビー王国、マイクとアリカのブールスを引き合わせた警官は、アリカと、マイクと会っていた時、マイクは別の国に出ていたという話を聞いた。
さらに、出会った皇帝マイクと思われる男の違いすぎる様子、そして異世界からきたものがどこに連れて行かれるか聞いてきたことを思い出す。
そして気付く。
「私が会ったのは異世界のマイク様!?よもや、そんなことがあり得るとは思えないが、一応、ブールス様に伝えておこう」
そして、、、
「マイク様、昨日、私とマイク様は会いましたよね?なんだこの伝言は、ふざけているのか?」
「会っていないが。話はそれだけか?くだらないな」
「会ってない!?!?ええ?本当ですか?」
「は?何度言わせればわかる」
「す、す、すみません」
「質問の意図はなんだ?」
(言いたくない、、、これやばい、この伝言が本当なら、、、私は許されざることをしたのでは!?え!?終わったくね!?死にたくない、、、、!ぬあああ!だが、私は!マイク様へ忠誠を誓った部下!事実をお話し致しましょう、、)
そして、ビクビクしながら昨日会ったことを話した。
「はっ、何から言えばいいのか分からないな。死にたいのか?今すぐその二人を見つけ出して殺せ」
「はい、そして、その女はアイラと名乗っていたそうです」
咄嗟にアリカはそう名乗っていたのだった。
バン!
マイクが机を思い切り叩く。その机には軽くヒビが入った。
「今すぐアイラを見つけ出せ」
「はい?」
「早くしろ。黙れ。そのアイラを見つけ出せ」
驚きながらもブールスは走ってことの収集へ向かった。
一人、豪華な部屋の中、マイクは、、、
「異世界の私にアイラ、、、ふざけているとしか思えんな」
そして窓の外の月明かりを見ながら呟く。
「アイラ。早く君に会いたいよ」