協力を得るには
さっそくアリカ達は龍種達がいる場所へ向かい始めた。
「出発してからいうのなんだけど、多分、龍種のみんなは協力してくれないんじゃないかな?」
ベースがいう。
「どうしてだ?」
「だって龍種達に戦うメリットはないじゃん。もし、マイク達がこっちの世界にも攻めてくるから、倒す必要があるって話なら、わざわざこのタイミングで僕たちに力を貸さずに自分たちの命が危険になったら戦えば良いわけだ。
だって、始まりの龍種の魂は重複しないから、死んだら呼び戻すのにトーグでも魂を使うことになるからな」
「なるほど!!」
「マイク分かってるの?」
「うーん、まあ、、、というか、ベース頭良すぎじゃね?
異世界術のこととかもなんであんな正確にわかんだよ」
「確かに!」
「そうだ、言い忘れてたな、それは、ゲートから出てきた人に教えてもらったんだ」
「ゲート?ああ、はじめにベースが見せてくれたやつか!」
「そう、仮面をしてたから顔はわかんなかったけど、異世界術について詳しかった。後、多分、あの人は、さっきアリカ達が来たマイクが闇落ちしている方の世界じゃないと思う」
「あれ?でも、ゲートから来た私が こことは違う別の異世界でも異世界術は発達していない って言ってなかったっけ?」
「そう。だから、多分、あのアリカは嘘をついている」
「え?じゃああいつらは俺たちを騙してたってことか?」
「しかも、異世界のことに詳しく話していけば良いのにすぐ帰って行ったわよね!?」
「まだ理由は分からない。とりあえず、闇落ちマイクの目的やもう一つの方の異世界の様子を考えるべきだと思う」
ベースは異世界から来たアリカが嘘をついているのを見抜いて、それを隠していたわけだ。
そんなこんなで龍種達のとこに着いた。
意外とアーベルカ王国から近くて徒歩40分くらいなのだ。
事情をみんなに話したがやはり、ベースの予想通りの理由で断られてしまった。
「ごめんねー、私もできる限り協力したいけど、、、」
「アイムソーリーヒゲソーラー」
「今はみんなと一緒に平和に暮らしたいんだよね」
「頼ってくれたのはすごく嬉しいです」
「ああ、すまんな」
というような感じだ。
「でも、なんで断られると分かってたのにこっちに来たんだ?」
帰り際にマイクが、ベースに聞いている。
「いや多分、、、」
そうベースがいって視線を移すとその先には、ライがこっちへ向かってきている。
「条件がある。場合によっては俺だけなら協力してやっても良い」
「条件って何ヨーグルト?」
「え?? とりあえず、条件を言う。 ーー俺の父さんがどこにいるか探してくれたら、協力する」
「は?」
「ひ?」
「ふ?」
「どういうこと? あなたのお父さん、ウェジラータはもう死んでいるのではないの?」
「いや、実は最後俺はトドメを指していない」
「ーーー!?!?」
「やばくないかそれは」
「もし攻撃してきたらどうするつもりだったんだ!?」
「大丈夫だと確信していた。俺はお前らよりも何千年も多くお父さんと暮らしてるんだぞ?」
「僕たちにお願いするってことは、ライの魂の感知でも見つけられなかったってことなのか?」
動揺するアリカ、マイクをよそにベースは話を進める。
「ああそうだ。だから見つけられたなら協力すると言っている。だが、このことは他の兄弟達には言わないでおいてくれ。
あいつらはもう前を見ている。父さんへの未練は俺だけで良い」
「分かったわ。ってことで、ベースえもん!なんか策あります〜?」
その声を聞かずしてすでにベースは考え始めている。
「これは思ったことなんだけどさ、ウェジラータの目的は、一度肉体と魂を破壊し、再びわずかな魂と肉をヒールで治すことが目的だった。アリカの人間魔法ならアリカの魂を失うことでかけらから元の魂を再構築することができたからね。
でもだとすると、初め死ぬ時に魂をわずかだけ残してもらう必要がある。たまたま残る可能性に賭けるとは思えないしね」
「それ私も思った!!」
「そして、一般人には龍種の魂まで傷つけることはできない」
「つまり、ウェジラータには勇者の協力者がいて、その人に魂を少しだけ残して自分を殺すよう指示していたんだわ!」
「ライ、ウェジラータを殺した勇者の魂がどこにあるのか分かるか?」
ライは魂の感知で過去の記憶から魂の反応を思い出す。
忘れるわけがなかった。
「ーーー!! ある! ネイビー王国にいるぞ!」
「ネイビー王国?どこだそこ?」
「相当遠いところよ。ここから馬車にずっと乗って3日とか」
「ウェジラータは復活した後、世界を蹂躙する予定だったから、おそらく復活と同じタイミングでそいつも姿を現すかなと思ったんだ。多分ウェジラータから龍種の一部を受け継いでいるのだろう」
龍種は勇者や魔法使いとはまた違い、龍種という種族があり、どうやってできたか詳しくは分かっていないが、オリジンかウェジラータがどこがで作ったのだろう。
龍種となれば寿命は大きく伸びるため、何千年もの間ウェジラータが復活する時まで生き続けることができたわけだ。
「実はネイビー王国は昔、アーベルカ王国から出て行った王族達が作った国なんだ。そして、アーベルカ王国の王国とはみんなブレイブさんの子孫だから、勇者だということになる」
(しかも、ゲートを繋いだ時に出てきた仮面の人がここの勇者だって言っていた)
「ここがあの王国か!」
「そんなに有名なの?」
「うん。アーベルカ王国が前のように戦力難に陥っていたのはごっそり勇者の王族がいなくなったからだ」
「そうだったのね、、、でもどうして?」
「当時の国王が最低でな。自分以外の勇者を迫害していたんだ」
「なるほど、、、」
「ネイビー王国には相当量の勇者がいるってことか?」
ライが聞いた。
「うん。その後、現地にいた人たちと共に根付いたみたいだから、国民のほとんどが勇者の可能性があるね」
アーベルカ王国では多くの人と王族が子供を産むことで、勇者となる血が薄まってしまうことを恐れて、王族は、遠く血の繋がってる貴族達と子供を産んできたのだ。
ベースの場合、始めは15歳になる前には戦場で戦い死ぬと思われていたので、王であるダンラと平民の子供なのだった。
反対にネイビー王国では王族が多くの人と子供を産み、勇者の血を引き継ぐ者は爆発的に増えているが、出せる力は少なくなっていると考えられる。
「じゃあ、行くかー!」
ということで出発!
リシャがいれば瞬間移動できるのにーとアリカがしばっていたことは秘密である。